表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

蒼の聖女は捨てられる   〜私を捨てる意味が、わかっているのでしょうか?まあ、今の私には関係ありませんが〜

作者: 神崎あやめ

 「ステラ・ブルーノワール、君との婚約を今をもって解消する!!」


 いつもと変わらない婚約者との時間を過ごすはずだった私は、突然、本当になんの前触れもなく婚約解消と言われてしまった。


 「一体私が何をしたというのでしょうか、シェリル様」


 「ふん、そんな事自分が1番よくわかっているだろう!!聖女の名を騙った大罪人め!!!」


 何を言っているのかわからなかった。私は物心ついた頃、まだ10歳の頃に聖女としての力を求めた政略結婚としてこの砂漠の国であるグランテスタ王国に連れてこられたのだった。そして目の前にいる私と同じ歳のシェリル王太子様とまだ若かったこともあり婚約した。もっと言えば後1ヶ月後、シェリル様の18歳の誕生日が過ぎれば正式に夫婦として暮らすはずだったのだから、私はシェリル様の言葉を理解することができなかった。でもすぐに、本当の目的を理解する。


 「我が国には聖女は1人いればいいのだ!!ここにいる紅の聖女(あかのせいじょ)、ルピシア・スカーレットがいればな!!!」


 「ふふふ。そういうことでございます、偽りの聖女ステラ・ブルーノワールさん?」


 そこにいたのは、ここ最近よく見かけていた赤髪の私達と同年代に見える女の人だった。おそらくは紅の聖女というのは間違いではないけれど、シェリル様に取り入るために嘘を吹き込んだのでしょう。一瞬口元がにやけたのを私は見逃しませんでした。ここで言い訳でもすればシェリル様は聞いてくれるかもしれないと少し考えたけれど、こんな嘘に踊らされるようなシェリル様には愛想も失せるというもの。私は大人しく受け入れることにしました。


 「わかりました。ではシェリル様のお言葉通り婚約を解消いたします」


 「ふん、そのいつでも何を考えているかわからないお前のことが嫌いだったのだ!!!さっさと俺の前から失せるがいい!!!」


 それは初耳でした。確かに私は、あまり表情を変えることはありません。感情表現が得意ではないのです。ですが、特に不満を仰ることもなかったのでそこに甘えてしまった私にも原因はあったのでしょう。そして、自分の国へ戻る支度をしようとした私に告げたのは、酷いものでした。


 「何をしているのだ。早く出て行け!」


 「はい、ですから出立の準備をと思いまして」


 「8年もこの国を騙してきたお前が準備だと?ここにあるものは全て置いていけ!!そして即刻この国から出て行け!!!」


 まさかそんなことを言うなんて思ってもみなかったのですが私は周りにいた衛兵にそのまま連れて行かれ、馬車で国境まで運ばれたかと思うと、そこで着の身着のまま置いていかれたのでした。ですが、馬車の御者は私にそっと言付けをしました。


 「私めには何もできませんでステラ様、申し訳ございません。あの女、ルピシアが王宮に入ってから皆変わってしまいました。どうか、この先のステラ様の未来が明るいものでありますよう、願っております」


 そう言うと、私に少しばかりのお金を渡して去って行きました。恐らくですが、ルピシアの能力は異端なのでしょう。だからといって、その力に惑わされたこの国、シェリル様を許すつもりなんて毛頭ありませんが。こうして、私の旅は始まったのです。




一方その頃、


 「ふふふふ、あはははははっ!これで邪魔だった蒼の聖女は消えた。この国はアタシのも・の!!」


 「さあ、ルピシア。邪魔者もいなくなったことだし俺達の婚約の儀について考えよう」


 「ええ、そうね!!」


 王宮に入り、その紅の聖女という名には到底似合わない魅了の力によって王太子を含めた王宮内の人間を掌握したルピシアは、この先に待つ災厄など知る由もなく純粋な人間を演じながら新たな婚約者としての生活を始めたのだった。




 お金をもらったのはありがたいことだったのですが、ここがどこなのかもわからない私はとりあえず太陽の沈む方角へと歩き始めました。もう8年も前のことなので記憶も朧げではありましたが、確かこの道を通って自分のいた国からここまでやってきたのです。ですが、いくら歩いても歩いても町はおろか人の姿すら見当たりません。それもそうでしょう、ここは砂漠の国、グランテスタ王国の国境を越えてまだそう遠くない場所の砂漠地帯なのですから。それでも私は蒼の聖女の力を使いなんとか歩を進めました。ですが、何回沈む太陽を見た頃でしょう。私は遂に意識を手放して砂に身を預けてしまったのです。


 (私の人生はこれで終わりなのですね。楽しいことも辛いこともありましたが、こんな寂しい最後になるのですね。もし、願いを言えるのならもう一度誰かと笑い合って幸せに暮らしたいものです…………)



 「ラ………テラ…………ステラ!!!!」


 「………んぅ、ここは天国でしょうか……?」


 「おお、気付いたんだねステラ」


 「……貴方は?」


 「僕を覚えてないのですね、まあ最後にお会いしたのはもう5年も前になりますから無理もないですね。では改めて自己紹介を、エイル・ブライトです。ステラにもわかりやすい名前でいうとするなら『白銀の騎士』かな?」


 「エイルさんだったのですね!と、いうことはここはアークシー公国ですか?」


 「ええ、そうです。たまたま国境地帯の巡回をしていたら倒れているあなたを見つけたので驚きましたよ?あんなところで何をしていたのです?」


 「笑わないで聞いてもらえます?」


 「もちろん」


 「実はシェリル様から婚約を破棄されまして……」


 「……は?それは本当ですか?」


 「はい、本当です。それで着の身着のまま追い出され、昔の記憶を頼りに歩いていたのですが力尽きていました」


 「なるほど……シェリル、この事が何を意味するのかわかってるのか……?」


 「いえ、でも私も悪いのです。シェリル様に『いつでも何を考えているかわからないお前のことが嫌いだったのだ』と言われましたし、自覚はありますから」


 「……何を言っているのです?ステラはこんなにも表情豊かじゃないですか」


 「そうですか……?」


 「そもそも、貴女の表情を引き出せないシェリルの方に難があるでしょう。ひとまずステラ、あなたはしばらくアークシー公国に滞在してください」


 「いいのですか?」


 「もちろんです。ここで良ければ……ですが」


 「エイルさんさえよろしいのでしたらお世話になります」


 こうして、なんの巡り合わせか私は海に面した公国、アークシー公国のお世話になることになったのです。



 「しかし、シェリルのやつは『五大聖女』の重要性をわかってないのか」


 「それを言いましたらエイルさん含めた『五騎士』だってとても重要ではありませんか?」


 「そうですね。秩序を守るための抑止力である僕達『五騎士』と世界を安定させる異能の持ち主である『五大聖女』、ステラ達と僕達の存在によってこの世界は平和を維持しているのです。僕達の犠牲の上にね」


 「そうですね。ですがエイルさんたちと違って私達聖女は異能のおかげで不自由はしていないんですけどね?」


 「でも、グランテスタ王国だって貴女の重要性はよくわかっていたはずです」


 「そうなのでしょうかね?ですが、王国には新たな聖女がいますので、私はもういいのですよ」


 「新しい聖女……?蒼のステラを筆頭に碧、光、闇、紅の5人全員別の国にいるはずですよ?」


 「…………ということはそういう口実でただ私を排除したかっただけなのですね……」


 「ステラ……」


 「10歳でグランテスタ王国に来てから約8年、私なりに頑張って来たんですけどね……私の人生って一体何なんでしょうかエイルさん……!!!」


 私はこの8年間の積もりに積もった思いが溢れ出してしまいました。そんな私の事をエイルさんは優しく見守り続けてくれたのでした。



 「お見苦しい姿をお見せしました」


 「いいんですよ?ここには僕しかいませんから」


 「ふふっ、なんだかエイルさんと一緒にいると気持ちが落ち着いてきます」


 「それはよかった。こんなタイミングで言うのはステラをさらに悩ませるかもしれませんが、こう見えて僕はずっとステラの事を気にかけていたのです。ですからもしステラさえ良ければずっとこの国で僕と過ごしてくれませんか?」


 突然のエイルさんからの告白にも似た言葉。普通ならこんなタイミングで言われても困るんですけどね?私、実を言ってしまうとシェリル様への気持ちなんて初めから無くって、エイルさんの事が気になっていたのです。ですので私は………


 「こんな私でよければ喜んで」


 こうして、シェリル様に婚約を解消されて間もなく、新たな恋人?を見つけました。




 一方その頃



 「いよいよ来週は結婚の儀ですねシェリル様」


 「そうだな、ルピシア。これから楽しみだな」


 「ええ!!」


 「でも最近雨が少なくなってきたな」


 「そうですわね……まあ季節によるものでしょう」


 「……そうだな」


 グランテスタ王国では結婚の儀が始まろうとしていた。それが滅びの始まりになるというのに。




 「ところでステラ」


 「どうしました?エイルさん」


 「そういえばステラの能力ってなんですか?聖女の能力は各色に合わせた能力になるのは知ってますが……」


 「私の能力は単純ですよ?水を操る能力です」


 「……それって強すぎません?それに余計にグランテスタ王国にとって必要不可欠なのでは?本当にシェリルは何をしてるんでしょうかね?まあ、僕としてはこうしてステラと付き合うことができてますからいいんですけどね?」


 「エイルさん……」


 「ですが、そういった個人的な意味だけでなく国家で見てもこれは許せない事態です。ですので僕、エイル・ブライトの権限においてグランテスタ王国へ戦争を仕掛けようと思っています」


 理解はしていたけれど、戦争というワードに私は思わず反応してしまいました。


 「エ、エイルさん」


 「どうしました?」


 「仕方ないこととはいえ戦争で必要のない犠牲が発生するのは私としては耐えられません。ですので私のシェリル様、ひいてはグランテスタ王国への復讐は私自身に行わせてください」


 「……と、言いますと?」


 「私はシェリル様に着の身着のまま捨てられた時点でグランテスタ王国への想いは失せてしまいました。ですので国民の方々には多少心は痛みますが、グランテスタ王国領内において雨が降らないようにして水を奪おうかと」


 「な、なるほど。思った以上にえげつないことを考えますね?」


 「そうですかね?この8年間の時間分を考えたら私としては足りないくらいですけどね?今すぐ領内の水を全て枯らしてしまいたいくらいですもの」


 「そんなことまでできるんですね」


 「はい。ですが、そこまでするのはやりすきだと思うのと、私にはもうエイルさんがいますから」


 「ステラ………」


 「…………お二人の世界に入られてるところ申し訳ございませんがステラ様の診察をさせていただいてもよろしいですか?」


 「「あ」」


 私達はまるでずっと愛し合っていたかのような雰囲気を漂わせてしまった事に照れながら診察を受けてからアークシー公国での新たな生活を始めました。私達は、特に私は今までの生活が嘘だったかのように心穏やかな、幸せな日々を過ごすことができました。




 グランテスタ王国


 「シェリル様!!」


 「なんだ!」


 「もうこれで1年以上1滴の雨も降っておらず国民も次々に他の国へ流出しています!!!国の貯蔵庫の水の備蓄も底をつきかけております!!!」


 「くそ!!なぜこんなことになっている!!!ルピシア、聖女の力でなんとかしてくれ!!!!」


 「何を言ってるの?私は紅の聖女、火は多少扱えても水はどうしようもないわ?」


 「は?どういうことだ?」


 「シェリルも知ってるでしょ?五大聖女は各色に合わせた能力を持つの」


 「そ、そうだったな……くそ!!どうすればいいのだ!!!!!」


 グランテスタ王国では、シェリルとルピシアの結婚の儀の日を最後に1年以上雨が1滴たりとも降っていなかった。その影響で街の井戸水は枯れ、作物を育てることもできなくなった国民は次々と近隣の国々へと逃げ込んでいた。そして、領地を越えた国民たちはようやくこの異常気象の原因を知ることになったが、国内にとどまる王家、そして王宮内の人間はそれを知ることは無かった。未だにルピシアの魅了の魔法が強く効いていて、ステラの事など頭になかったのだから。




それから2年


 「ステラ、いよいよこの日が来たね」


 「そうですね、エイル」


 「緊張してる?」


 「いいえ、とてもリラックスしてますよ?」


 「そっか、ステラらしいね。僕はずっと緊張してるよ」


 「ふふっ、それもエイルらしいですね」


 「ステラ」


 「はい」


 「これから僕はずっとステラの事を守り続け、愛し続ける事を誓うよ」


 「エイル……私も、永遠にエイルの事を愛し続ける事を誓います」


 今日、私達はアークシー公国の皆さんに祝福されながら婚姻の儀の日を迎えました。今、私はとても幸せです。この幸せが永遠に続きますように……………





 「おじちゃん、ここは何があったの?」


 「ここにはね?少し前まで王国があったんだ」


 「今は無いの?」


 「ああ、ここの王子がね?とある女の人と結婚する直前にその結婚をやめたんだ」


 「どうしてやめちゃったの?」


 「聖女を名乗る魔女に惑わされたんだ」


 「そうなんだー。その後どうなったの?」


 「それからしばらくしてね?この地には雨が一切降らなくなったんだ。他の国民はみんな周りの国々へと移住したんだけど、王子達は魔女に惑わされたまま、この国と共に砂に還っていったのさ」


 「なんで雨が降らなくなったの?」


 「それはね?王子が結婚をやめた相手が本物の聖女様だったからさ」


 「じゃあ聖女様を怒らせちゃったんだねぇ」


 「そういうことになるねぇ。王子たちの死については自業自得でしかないから同情の価値もないし、魔女も行方をくらませてしまった」


 「そうなんだ」


 「でも、ステラ様がどこかで幸せに暮らしていることを私は願っているしそうだと信じているんだよ」


 「きっとおじちゃんの願いは通じてるよ!!!!」


 「そうだといいねぇ」


 「じゃあおじちゃん!アークシー公国まで乗せてってね!!!」


 「はいよー」



           END

こんな駄文を読んでいた抱きありがとうございました!!!!

もしよろしければ評価や感想のほどよろしくお願いしますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] セリフの前にはヒトマス開けないものです とても読みづらいです
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ