第72話 さあ、船に乗り込もう!
すみません今回少し短めです。
領主様から今回のイベントの注意事項を頂戴した後、俺は次々とプレイヤーが領主様から出されたフェティル島行きの船へと乗り込んでいくのをアース達と共に少し離れた場所から眺めていた。
もちろんイベントに参加しないからではない。
船に乗り込むためにサクヤ達を連れた俺がアース達と共に列に並んだら痴漢が発生したためだ。
対象はサクヤにユキホそれとマーレ含めワルキューレのメンバー。
サクヤもユキホも可愛いしマーレも身長は低いが整った顔立ちの可愛い女の子だ。そしてそんなマーレの所属するワルキューレは女性のみで構成されたクラン。その上そこに所属するメンバーは全員容姿レベルが高い。
キャラメイクである程度いじれるから実際の容姿とは違うだろうが……まあ痴漢をするような奴にそんなことは関係ないのだろう。
とはいえ結局痴漢は成功してはいない。このゲームではそういったハラスメントに対してかなりきっちりとした保護機能があり異性、同性更にこっそり、無理やり関わらず本人の同意なしに体の特定部位に触ろうとすれば弾かれる。
更には本人が口では同意していても内心で嫌がっていたりすると弾かれるらしい。
因みに肩や背中を叩く、握手をするなどの行為は弾かれない。それと指定したプレイヤーに対してある程度の行為まで保護機能を解除できる。
と、言っても腕を絡めたりハグができる様になる程度のものだが。この設定も本人が内心で嫌がっている状態で無理やり変更させることは出来ないらしい。
その逆に一切触れさせないようにすることもできる。
保護機能に弾かれると悪質さの度合いによるが基本的には一度目は警告。二度目はアカウント停止。三度目でアカバンになるらしい。
ついでにこの機能を悪用しているのを確認されると一発でアカウント停止となる。
因みに人型のNPCであるサクヤ達にもこの機能は適応されている。が、主である俺に関してはその辺が緩く設定されているようで普通に抱き着かれたり抱きしめ返したりできてしまう。俺としては対応に困ることもあるのでもう少し厳しくしてもと思わなくもない。サクヤ達が悲しむかもしれないので決して口には出せないが……。
今回サクヤ達に痴漢行為を働こうとした奴らは弾かれた瞬間、姿が消えたのでアカウント停止かバンされたのだろう。
身を護るという意味ではとても安心安全な機能だが一体どうすればこんなことが出来るんだろうか?
まあ今回はその機能のおかげでサクヤ達が嫌な思いをせずに済んだのでよかったけどな!
「全く……サクヤちゃん達が可愛いのはわかるけどそれでもやって良いことと悪いことがあるわよね!」
「ああ……」
そう俺の隣で憤慨したようにマーレがユキホを抱きしめながら言う。
……一応女の子同士ということとユキホ達の希望もあり保護機能を解除しているが、そう言うならユキホから少し離れたらどうだろう?
「そろそろいいんじゃないか?」
俺が安堵と共に微妙な気分になりながらマーレとユキホを眺めているとアースが声を掛けてくる。船の方を見ると既にプレイヤーは粗方乗り込んだようだ。
「そうみたいだな。それじゃあ行くか!」
アース達と共に船に乗り込む。高くなっていく視界に先ほどまで感じていた微妙な気分が薄くなっていく。
そのかわりに視界が上がって行くと共にわくわくとした感情が心の中から這い上がってくる。
映像でしか見たことがない中世の時代にあった帆船。これにゲームの中とはいえ乗ることが出来るのだ。これにテンションが上がらない男はいないだろう。
そして俺達が全員、乗り込んだところで全プレイヤーが帆船に乗り込んだようだ。すぐさま船員らしきNPCが動き出し乗り込むのに使った板を外し帆を張り始める。
その様子にプレイヤー達の期待が高まるのがわかる。
だよな! 帆船を実際に動かす様子なんてまず見られないもんな! わかる!
そんな風に目を輝かせて船員が動くと様子を眺めているとそれを邪魔するように俺に声を掛けてくるものが居た。
「シュン殿」
お楽しみを邪魔するその声につい胡乱な視線になりながら声の方を向く。
「少し話をさせてもらえないだろうか?」
「……ロイ様?」
そこにはアルヒの町の領主であるロイデンス・フォン・アルヒがにこやかな表情を浮かべて立っていた。
次回投稿は3月18日(金)16時です!
今回はちょっと短めです。次話は領主に連れられて新キャラに会いに行きます!
その後遂に島へ到着です!
それでは次回もお楽しみに!




