第5話 始めての契約成功
〔ゴブリンとの召喚契約に成功しました。名前を決めてください。〕
〔特定の条件を満たしました。契約したゴブリンが強化されました。〕
〔特定の条件を満たしました。召喚術≪アーツ≫に【強化】が追加されました。〕
〔召喚術のレベルが上がりました。JSPを2ポイント獲得いたしました。〕
地面に手を突いたままゴブリンのいた場所を呆然と見つめていると契約成功含め幾つものインフォが流れる。
「うまくいったみたいだな」
安堵の余り思わずホッと息を吐く。
「なあシュン今何をしたんだ?」
その言葉にハッとして振り向くとアースとマーレが傍に寄って来ていた。その様子はどことなく興奮しているように見える。
「あ~、そうだなどこから説明すればいいか。いやとりあえず見てもらったほうが早いか?」
「今の魔法陣をか?」
「当たらずとも遠からずってとこか?ひとまずステータスを確認したいから少し待ってもらっていいか?」
「わかった。落ち着いてゆっくり確認してくれればいいからな?」
「ありがとう」
その言葉に甘え召喚術のステータスを確認する。
■ JobSkill:召喚術 Lv.2↑up ■
▼≪所持アーツ≫
【召喚】 熟練度:0
▼契約したモンスターを術者のMPをコストに自分のもとに召喚することができる。召喚中はコストにしたMPは回復しない。(JSPで強化することで機能を拡張することができる)
・現在の必要MP量:最大MPの2割
・現在の同時召喚可能数:0/1
【魔石召喚】 熟練度:0
▼魔石または魔石に類するものを使用してモンスターを召喚する。(JSPで強化することで機能を拡張することができる)
・現在の通常召喚成功率:1%{特定の条件を満たすことで召喚成功率などの変動が可能}
・1日1回まで行うことができる。
【契約】 熟練度:10
▼魔石召喚などで召喚したモンスターまたは出会ったモンスターとMPを消費して契約を結ぶことができる。(JSPで強化することで機能を拡張することができる)
・現在の契約に必要なMP量=契約モンスターのLv.×契約モンスターのRank×10
・現在の通常契約成功率:2%↑{特定の条件を満たすことで契約成功率などの変動が可能}
▼現在の同時契約可能数:1/3↑
・契約モンスター
[名無し]New![ー][ー]
【強化】 熟練度:10 New!
▼契約したモンスターまたは契約するモンスターを自身の魔力または魔力を帯びた素材を使うことで強化することができる。強化率、強化内容は強化するモンスターと使用したMP量または素材と術者と契約者の願いにより変動する。(JSPで強化することで機能を拡張することができる)
・現在の通常強化成功率:2%↑{特定の条件を満たすことで契約成功率などの変動が可能}
*入手条件
【契約の際、魔法陣を壊さないように自身の残り魔力の95%以上を注ぐ。】
● JSP(JobSkillPoint):2
よし!レベルアップ!ついでに新アーツも手に入ったな!入手条件を見る限り魔力操作のおかげで取れたっぽいか?魔法陣を壊さないようにしようと思ったらかなり丁寧に魔力を注がないといけなかったもんな…。魔力操作がなかったら間違いなく失敗してたと思う。
(ソレイユ様ありがとう!)
思わず心の中で感謝を捧げる。神様なら神殿とかあるのかな?あるならお礼をしに行かなければ!
…さて契約したモンスターはこの名無しでいいのかな?
試しに名無しをタップしてみる。
■《魔物》名前:名無し ♀ Rank:1■
種族:小鬼人 Lv.1
職業:刀士
ステータス
HP(体力):45/45 MP(魔力):10/10 KP(気力):30/30
EP(満腹度):100/100
STR:20 VIT:15 INT:10 MND:10 DEX:20 AGI:15
▼Skill:≪刀術Lv.1≫≪身体強化Lv.1≫
《備考》
【堕落した小鬼が召喚術士と契約した際、術士の限界まで魔力を使用して契約されたことにより大幅に能力が強化された。人を怖がる様を見た術士が救いの心を以て術を行使したため堕落から脱し、その在り方に憧憬を抱いたことで自身を救った存在に近い姿に身体が変化した。】
装備
≪武器≫
【小鬼人の刀】
≪防具≫
【小鬼人の服】【小鬼人の靴】
≪アクセサリー≫
【なし】
救いの心か…。なんか少し気恥ずかしいな。
ともあれステータス数値だけ見るかぎり俺と大差ないな?ジョブスキルはないし、スキルも二つだけだが普通に戦力になりそうな感じだ。
もともとのゴブリンの強さがわからないからどれくらい強化されたのかは不明だがHPだけを見るなら3倍くらい違う気がする。
それにしても魔力を限界まで使ったって?確認してみるか。
名前:シュン 所持金:1000 G
種族:幼竜人 Lv.1
職業:召喚術士 Lv.1
ステータス
HP(体力):60/60 MP(魔力):2/60 KP(気力):40/40
EP(満腹度):100/100
残り魔力2って…。本当にぎりぎりまで絞り出したんだな。まあそのおかげで仲間の能力が強化されたんだから良しとしないとな!
ともあれ名づけのためにも一度召喚したいんだが…。魔力が全く足りてない。最大MPの2割だから今だとあと10MPか?名づけはひとまず後にするしかないか。
それにそろそろアースとマーレが待ちきれなさそうだ。さっきからずっと両側で静かにしてくれているが、だからこそ無言の圧力がすごい。
「よしっ。アース、マーレ待たせてごめんな?」
その言葉に2人は待ってましたと、言わんばかりの笑顔を浮かべる。そして一瞬目配せを交わしたかと思ったら、アースが2人を代表してなのか1歩前に出て問いかけてくる。
「いいってことよ! それで? さっきのは結局なんだったんだ?」
「まあ簡単に言えば召喚術スキルのアーツ【契約】を使ったんだ」
「「は?」」
アースとマーレの目が見開かれる。次の瞬間には2人揃って俺に詰め寄ってきて大きな声で疑問をぶつけてくる。
「ちょっと待てシュン! 召喚術ってことはお前、召喚術士だったのか!?」
「そうよ! 刀なんて持っているから私達てっきり刀士あたりだと思ってたのに!」
そのあまりの勢いと声量に思わず耳を塞いでのけぞった。
「2人とも近い! 近いって!」
2人の余りの勢いに俺は仰け反りながら両手で2人を制し、落ち着く様に訴える。
それにより2人共我に返ったのか、はっとしながら謝罪をし、少し離れてくれた。それでもまだ大分近いが……。
「ふ~。すまん。落ち着いた」
「私も。シュンごめんね?」
「いや落ち着いてくれたならいいよ」
落ち着いた2人の様子に思わずホッとする。
よかった。正直あんな勢いで話しかけられたら答えたくても答えられないからな。
そして改めてアースとマーレから問いかけられる。
「「それで?」」
「それでって2人は結局何が知りたいんだ? 正直俺にはどこが気になってるのかがよくわからないからどう答えればいいのかがわからん」
「あ~それもそうか」「確かにそうね」
「だから2人が気になっている点をまず教えてくれ。別に秘密にする気はないから」
そう言うと2人は一瞬考え込むように顔を俯かせる。だがすぐに考えがまとまったのかこちらに顔を向けた。
「そうだな。正直聞きたいことはたくさんある。あるんだが、あまりたくさん聞くのもシュンに悪いからな。とりあえずふたつ、聞いてもいいか?」
「どうぞ」
「それじゃ一つ目。ゴブリンに向かって行ったところから、今まで何が起こってたのか。シュンの視点でいいから教えてくれ。特にゴブリンの腕を掴んだ時。遠目に見てたがお前、様子が明らかにおかしかったぞ?」
確かにあの時はかなり狼狽していたからな。気になるのも当然か。
「そして二つ目。お前の職業というかステータス全般だ。これは嫌なら答えなくてもいい。自分のステータスは隠すものだからな」
なるほど。確かに召喚術士はレア職業だもんな。気になるのは当然か。
「わかった。どちらも別に教えても構わない」
「そうか! ありがとな! じゃあさっそくまずは何が起こっていたのか教えてくれ!」
そう言って俺を中心に2人ともその場に座り込み聞く体勢になる。
さてどう話せばいいかね?
そう思いながら俺は2人にわかりやすく説明できるように頭の中で話を整理しながら話し始めるのだった。




