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INFINITY STORY'S ONLINE  作者: 藤花 藤花
第2章 夏のキャンプイベント!聖なる島と太古の遺跡

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第58話 森の格闘家?

「まずは識別から……」


■《闘獣》グレートコンバットソイルベア Rank:?■

種族:土大熊 Lv.??

ステータス

HP:????/????

【北の森の深奥に生息する熊型魔獣の変異種。森の主。土のマナが豊富な場所で永き時を生きたことで土の力をその身に宿した。永年多くの外敵を退け続けた結果、高度な戦闘技術を身に着け更に人に近い知性を持つ。その四つの腕から繰り出される多彩な多段攻撃に並列して繰り出される土の魔法に対処できるものは多くないだろう。】


「これは……」


 想像以上にやばいな。

 Rankは不明。詳細の見えないレベルにHP。明らかにこんな初期の時点で出現していいモンスターじゃない。

 更には魔獣から闘獣に変化している。そして最も厄介なのが……


「人に近い知性……か」


 正直本能で動く獣なら勝てなくとも逃げることくらいは出来ると思っていた。

 オラグランデとの戦いも俺が勝てたのは奴が殆ど感情のままに暴走していたからに他ならない。


『どうするの?』


 ミイロが俺の傍まで近寄り囁くように問いかけてくる。恐らく俺の気を散らさないように配慮してくれたのだろう。

 その気遣いに感謝しつつ、俺もミイロに倣って小声で答える。


 ボソボソ「できればなんとか逃げ出したいと思うんだが……」


 正直逃げられる気がしない。

 俺は奴の目を見る。識別で見た通り深い知性を感じさせる瞳。そして奴が決して俺達を逃がす気がないこともわかる。

 先ほどから俺が逃げようと周囲に意識を向けるとそれを妨害するようにこちらへ殺気を向けてくるからな。

 

『逃げられそうにないわね……』

「だな……」


 腰の刀に手を添え構える。

 俺がやる気になったのがわかったのか熊が立ち上がり左足を一歩前に出し左半身に。

 たったそれだけの行為なのに感じる圧がすさまじい。

 

「ミイロ、イブキ、サヨ。腹を括るぞ!」

『大丈夫なの?』


 心配そうにミイロが俺に視線を向けてくるのが目を向けなくともわかる。


「大丈夫」


 そう言って俺はミイロ達を安心させるように口元に笑みを浮かべる。


「自分より強い敵と戦うなんてのは俺にとっては日常だ」


 俺のその返答にミイロ達が呆気にとられたことが気配でわかった。

 そのことに愉快な気持ちになりながら俺は意識を熊だけへと向けていく。


「3人共頼りにしてるぞ」


 俺のその言葉に3人の空気も真剣なものに変わる。


『ええ!』

『や、やってみる!』

『……任せて』

 

 そして俺達の準備が終わるのを待っていたかのように熊が動き出す。


「グオオオオォォォ!」


 咆哮を上げ、その巨体に土を纏う。恐らく話に聞いた土魔法だろう。

 まるで鎧を纏うように身体を覆い、格闘家がつけるガントレットのように腕に装着される。

 そして次の瞬間にはその巨体に似合わない素早やさで間合いを詰め、小手調べとでも言うように左側2本の腕で高速のパンチ繰り出して来た。

 ボクシングのジャブ、それも恐らくフリッカージャブと言われる技の動き。

 フリッカージャブとは脱力した状態から鞭のように腕をしならせて放つパンチのことだ。

 力を入れず脱力した状態から放つ為、速度があり連発できるうえに変則的な軌道を描いて放たれることが特徴で代わりに威力が低い。

 現実では強い一撃を入れたりするためのペース作りなどに使用されるらしい。

 さてなぜこんなことを説明しているのかというと……


「っ!?」


 奴のそのジャブがジャブなんて生易しいものではなくなっているからだ。

 目に映らないレベルの速さ。蛇が這うように変則的な軌道。何より一撃で戦闘不能に追い込まれるであろうその威力。

 10メートルの巨体故に腕が人の腕よりも遥かに重いうえにそんな腕を十全に振り回せる筋力を持っている。

 それが身長差の為、頭の上から雨のように降ってくるのだ。

 そんなものが当たれば、それだけで必殺になり得る。

 しかもそれが2本同時に襲ってくるのだからたまらない。

 連撃連撃連撃。 

 息を吐かせることのないジャブの嵐。 


「神通流・水の型 流水」

 

 それを俺は出来る限り最小限の動きで目で追うこともできない腕を躱し受け流す。流す。流す!

 時折熊の腕に触れた刀から奴の驚愕が伝わってくる。

 

「目で追えない程度の攻撃は俺には通じないぞ」


 目で追えずとも見えずともその眼光が呼吸が揺らぐ空気が何より俺への殺意という名の心がその全てが俺に教えてくれる。

 師匠の攻撃に慣れた俺ならこれだけ分かれば流水で受け流す事くらい造作もない。

 師匠の攻撃はもっと理不尽だからな! まるで幽幻の如く移動し現れ高速の斬撃を放ってくる。あの理不尽に比べたらまだまだ対処はし易い!

 一瞬の間に20は打ち込まれただろうか? 俺はその全てを受け流す。奴も自身の攻撃をこうまでいなされたことがないのだろう。

 それにより驚きで一瞬拳が鈍る。


「神通流・火の型 烈火!!」


 その隙を突いた威力を重視した三連撃。身長差の為足に放たれた3つの斬撃が威力も充分に全て命中する。


 ガガガッ!


 が……その斬撃はまるで金属の塊に打ち付けたような音と共に傷一つつけることなく弾かれた。

 奴は相当驚いたのか慌てたように後ろへと下がっていく。

 

「マジかよ……」


 が、俺は思わず口元が引き攣る。

 怯ませることは出来たが、まさか傷一つつかないとは思わなかった。


「硬すぎるな……」


 俺はチラリと刀に目を向ける。

 刃こぼれ一つなく白く輝いている。だがこれが初期装備じゃなければ間違いなく刃こぼれ、下手をしたら折れていただろう。

 思わず苦い顔になる。


「切れ味が足りていない、か」


 まだ未熟とはいえこの辺のモンスターならあっさりと切り裂ける程度の腕はあると自負しているし、今も十分な威力が出ていた筈だ。

 それでも傷一つつかない、とんでもない硬さを持つ毛皮と土の装甲。

 今の俺では武器、技共に遥かに足りていない。


「ドルグが苦戦したというのもわかるな」


 硬い、速い、痛い、技ありの3拍子どころか4拍子は揃った戦闘スタイル持ちの怪物熊を他の人を護りながら相手にしたんだ。

 しかもこの短い時間でもわかるくらい慎重で頭がいい。

 もしドルグがこの装甲を抜けるだけの攻撃手段を持っていなければ良くて千日手だろう。


「俺の攻撃じゃ通らないか……なら!」


 俺はミイロ達にイメージを送る。


『やっと出番ね!』

『やるよぉ!』

『……任務了解』


 3人から気合の籠った応答。その気合に俺も気合を入れ直し刀を構える。


「行くぞ!」


 今度は俺から突っ込む。

 刀は一度納刀し、抜刀の構え。

 奴も突っ込んできた俺を見て迎撃の構えを取り待ち構える。

 奴の腕はその大きさ故に長い。俺の刀よりもリーチがある。

 その為俺の間合いに入るよりも先に俺は奴の間合いに入ることになる。

 俺の突撃に合わせるように飛んでくるカウンターの拳。俺はその拳に更に合わせるように刀を抜刀。

 狙うは装甲の隙間。奴の身体の中で最も細く脆いであろう場所、狙うは……手首!


「神通流・風の型 風抜」


 ギイィン!

 硬質な音と共に弾かれる俺の刀。だが毛皮には傷が一切付いていない。

 

「グルオ!」


 だが奴は一瞬怯んだ。傷一つ付いていないにも関わらずだ。その様子に俺はニヤリとする。

 

「やっぱり……!」


 奴は硬質な毛皮に硬質な土の装甲を纏い一見隙が無いように見える。

 だがそれは攻撃を通さないこととイコールではない。

 金属に斬撃は通らなくとも衝撃は通る。そして斬撃は線の攻撃。それが細い手首の関節に当たれば切れずとも刀の当たった線の部分に衝撃が集中し走り抜ける!

 それにより左側上下に付いている腕の内下の腕が動きを止める。だが奴もさるもの。止められた方とは違う方の腕でカウンターを放つ!


「ミイロ!」


 ここで水魔法を発動。奴の腕を滑らせるように、だけど魔力の消費を減らすために最小限の大きさの水の膜を作り出し2発目を逸らす。


「イブキ!」


 腕が2本とも泳いだところで右側の腕を出される前に風を右半身にぶち当てる!

 さて左側が俺の方へ流れ、右側が逆方向に押されたらどうなる?


「グルオオォォ!?」


 答えは軸足を基準に回転する。

 奴が俺に背を向けたところでその無防備な背中に追撃。

 を、掛けようとしたところで危機察知に反応。素早くバックステップで距離を取る。その瞬間背中の装甲から土の棘がハリネズミのように伸びてくる!

 だが既に俺はそこにはいない。

 そして背中から棘を出し動きを止めた事で、俺から完全に目を離し見失った。


「サヨ」


 気配を消し、闇魔法で木々から伸びる影に紛れる。

 よしっ! これで逃げられ……


「グルアアァァァァ!」


 俺が逃げられたと考えた瞬間、奴は腕に土で出来た爪を伸ばし、周囲を薙ぎ払うように回転する。

 その範囲なんと10メートル。

 俺は咄嗟に伏せて爪の下に潜り込み回避。

 一回転した時に俺を認識したのだろう。素早く俺に近寄って俺に向かってアームハンマーならぬベアハンマーを打ち下ろす。

 それを察知した俺は素早く転がり、回避してその勢いで立ち上がりながら距離を取った。

 俺が視線を奴の方へ向けるとそこには拳型のクレーターが一つ。

 その光景に俺は思わず、冷や汗を流す。


「これは長期戦になりそうだな」


次回投稿は12月10日(金)16時です!


中々先に進まないwでも後少しでイベントです!

新たな仲間も増える予定ですので、楽しみにしていてください♪


それでは次回もお楽しみに!

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