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INFINITY STORY'S ONLINE  作者: 藤花 藤花
第2章 夏のキャンプイベント!聖なる島と太古の遺跡
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第54話 初公式イベントと優しき先達

「春樹! 聞いたか? 夏休み始まって1週間後にISOで初の公式イベントがあるらしいぞ!」


 港町で魚屋のおっちゃんから興味深い話を聞いた翌日。

 夏休みまであと数日と言った所、既に授業も殆どなくなり、半日で授業が終了した俺、陸、葵は雑談をしながら三人で家路についていた。


「イベント?」

「そうだ! 公式ブログで昨日の夜に発表されてたんだよ!」

「夏休み開始の日に第2陣が入ってくるからそれに合わせてって事みたい! 既に掲示板ではかなり話題になっているわよ!」


 昨日の夜……。昨日はログアウト後、軽く宿題をやってから直ぐに寝ちゃったからな。

 最近の俺の帰宅後のサイクルは食事、風呂、ISO、宿題、就寝のサイクルになっている。


「どんなイベントなんだ?」

「夏休みの定番、聖なる島『フェティル島』で1週間のキャンプイベントだってよ!」


 ……なんか聞き覚えのある名前が出て来たな。


「なんでもその島はいろんな貴重な資源が眠っている島なんですって! 今回はその資源をその島でいろいろ採取できたりするみたいよ?」


 なるほど。第1陣、第2陣のプレイヤーの強化イベントといったところか?

 1陣には更なる強化を、2陣はスタートダッシュを……と言った所か。


「しかも時間加速システムの加速時間を更に上げるらしくて……なんと現実時間でたったの1時間しか経たないんだって! これはもう参加するしかないわね!」

「それは凄いな……」


 陸と葵が拳を振り上げて俺に熱弁を振るう。

 だけど二人のテンションが上がるのもわかるな。


「運営……大盤振る舞いしすぎじゃないか?」

「折角の初公式イベントだから、できる限り参加者を増やしたいんだろうな! 1時間くらいだったら時間を捻出できる人も多いだろうし、時間も夜からだからな!」

「第2陣の人数が確か1,000人って話だから今回のイベントは最大で2,000人ものプレイヤーが参加するかもしれないイベントになるわ!」


 先ほどから二人のテンションの上昇率が半端ない。

 とはいえ気持ちはわかる。時間を気にせずに1週間もゲームをやり続けられるんだ。

 かくいう俺も二人ほどではないが、わくわくしてきている。


「ただ流石はISO運営というか、制限もあるみたいなんだよなぁ」


 一頻り話をして徐々に落ち着きを取り戻した二人が今度は少しテンションを少し下げながらそんなことを言った。

 

「制限?」

「そうなのよ!私と陸はもう行ったんだけど、まず参加するためにはその島の近くにある港町に行かないといけないの!」


 あの町にか……。確かに転移みたいなものでもない限り移動する手段は限られる。

 そしてISOは基本的に完全な意味での()()()()()()()というものは存在しない。

 全ての事象にはきちんと何かしらの理由がある。

 スキルや職業といったゲーム的な要素ですら、神の与えた祝福、特別な力……といった言うなれば力の根源とでもいうものがあるのだ。

 今回のイベントを齎すのが神々である……ぐらいの理由があるのであればまだしも、そうでもなければそんなご都合主義は発生しない。

 逆に言えば神々が動くのであれば恐らくそうする……いや、そう()()()を得ない理由がある。


「まあ既に殆どモンスターに襲われない東の森の小道も既に見つかっているから、最低限草原を抜けられる程度の力があるなら港町に行くのもそう難しい事じゃないんだけどな」


 ラーナさんが言っていた道か……。もう見つかっていたんだな。


「じゃあいいんじゃないか?ハッキリ言って草原を抜けるだけなら現実時間で数時間もあれば余裕なんだ。 1陣のプレイヤーならそれこそ造作もないだろ?」


 東の森のモンスターと戦いながらだと時間が掛かるだろうけどそうでないならそれほど問題にはならないはずだ。


「まあな!これに関しては正直面倒くさい以上の問題はない。 問題はもう一つの方だ。」


 そう言うと陸と葵は二人で顔を見合わせて溜息を吐くと続きを話し出した。


「フェティル島は言うなれば小島が幾つか寄り集まるように群島になっているらしいのよ。 で、船着場になっている小島の周囲を半円を描くように小島が囲っていて、船着場がある島から他の小島に繋がる橋があるの」

「その橋の先の小島がそれぞれ何かしらの素材の宝庫になったりしているらしいんだ」


 つまり一つの島に全ての素材があるわけじゃないんだな……。


「それでその橋を通るのには通行証が必要で、それぞれの橋に別々に通行証がいるんだって! それで今回貰える通行証は3つだけらしいの」

「つまり幾つかある小島の内3つしか行けないと?」

「そういうことね!」


 それはまた……。ISOらしいというべきかなんというか。決して安易に利益を享受させることは無い。


「世界観的にその島の資源を守るためって理由があるみたいで……。 いずれイベント外でも行けるようになるって書いてあったけどやっぱり……ね?」 

「掲示板ではどんな島があるかとか予想したりして、それはもう紛糾してるぞ!」

 

 それはそうだろう。幾つ島があるかわからないができることなら全て回りたいと思うものだ。


「多分しばらくしたらどんな島があるか連絡が来るだろうからその時は良く考えて選ばないとね!」


 そうして丁度話が終わったところで俺達は家の前に辿り着く。

 二人は自宅の前で俺に振り返り手を上げる。


「それじゃあ春樹、またね!」「また明日な、春樹!」

「ああ!またな!」


 俺は手を振る二人に手を振り返して家に入った。

 そして急いで食事をして、風呂に入ったところで俺はISOの世界にログインした。


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 港町の宿屋で目を覚ました俺はサクヤ達と共に師匠たちへお土産を持って行くためにアルヒの町に戻ることにした。

 次のイベントの事も気になるがまだ詳細がわからない以上気にしても仕方がない。

 とはいえ今のところ行ける場所は始まりの町の周辺と街道の先の熊に港町の街道の先だけだ。

 港町の街道の先は山になっていて、その先は今のところまだ何があるか判明していない。

 港町の先に進んでもいいけどイベントまでに戻って来れるかも分からないため今のところの選択肢は始まりの町の周辺か港町しかない。


 そんなわけで俺達はひとまず港町で買ったお土産の魚を届けに行くことにしたわけだ。


「師匠!ただいま戻りました!」


 師匠の家の玄関で声を張り上げる。だが俺達の声に反応はない。恐らく奥の師匠の部屋にいるんだと思う。

 俺達は中に入り、奥の師匠の部屋に行くことにする。

 そして再び声を掛けて入った師匠の部屋では案の定師匠は縁側でお茶を飲みながらゆったりとした時間を楽しんでいた。


「おかえりなさい、シュンさん。 聞いていたより少々お早いお帰りでしたね? 何かありましたか?」


 手に持っていたお茶を自身の隣に置いて師匠はお茶の反対側をポンポンと叩く。どうやら付き合えということらしい。

 その指示に素直に従った俺達は横並びに師匠の隣に座った。

 師匠は素早く俺達にもお茶を出してくれる。

 これは緑茶だな。


「ただいまです、師匠。 特に何かあったというわけではないですが、港町で魚を買ったのでお土産に持ってきました」

「それは嬉しいですね。 ありがたくいただきます」


 俺はインベントリから魚を取り出し師匠に渡す。それを師匠にとても嬉しそうな顔をして受け取ってくれた。

 いつも師匠が作る食事は魚が多いから好きだと思ったんだよな。


「それで? 他にもなにかあるのではないですか?」


 その師匠の問いに俺は思わず苦笑する。この人に隠し事は出来ないな……。


「実は……」


 俺は運営のことに関しては暈してフェティル島でのイベントのことを師匠に聞かせた。

 昨日聞いた魚屋のおっちゃんはそれほど多くのことは知らなかったからな。

 師匠だったらもしかしたらなにかしら知っているかもしれないし、仮に知らなくても知っている人を教えてくれるかもしれない。


「フェティル島? ……ああ、港町の近くにある島ですね?」


 ほらね?


「そうです! そこに近々行けることになりまして」

「あそこは確か王宮が管理している島でしたか。 ……そういえば先日のことで領主が来訪者の為になにやら動いているとドルグから聞きましたね……?」


 頬に手を当てながら思い出す様にそんなことを言う。

 そういえば俺もドルグからそんなこと聞いた気がする。


「それにしてもあの島に行くのですか……」


 先程までいつもの優し気な表情だった師匠の眉間に皺が寄り、難しそうな顔に変わる。


「なにかあるのですか?」

「そうではないのですが……」


 そうして何かを考え込んでいた師匠はしばらくして眉間の皺を戻しながら俺に一つ提案してきた。


「シュンさん。 しばらくサクヤさんをお借りしてもいいですか?」

「サクヤを?」


 俺とサクヤは師匠からの唐突な提案にポカンとしながら頭の上に疑問符を飛ばした。

 

「何故です?」

「深い意味はありません。 念のためにもう少しサクヤさんに舞の修行を付けようと思いまして」


 師匠のその言葉に俺は思わず真顔になる。サクヤと師匠の舞と言えば先日のオラグランデのことはまだ記憶に新しい。


「なにか……あるのですか?」

「ですから念のためです。 何もなければそれに越したことはありません」


 なにか盛大にフラグが立った気がする。


「……わかりました。 サクヤ?」

「はい、主様。 師匠、よろしくお願いします」


 そうして俺が師匠にサクヤのことを頼んだところで先ほどから大人しく庭を見ながらお茶を飲んでいたユキホとユウゴが(ユキホは平皿に水です)弾かれたように俺に顔を向けた。


「主! もしよければ俺も大剣と大盾を使った戦闘技術を教わりたいです!」

「ユウゴ?」


 また急だな。いやそうでもないか……。昨日蜘蛛にやられたときはかなり悔しそうだったからな。


「ユキホもか?」

「きゅい!」


 そしてユキホもまた俺の膝に乗り懇願するように頷いて、俺を見上げている。

 恐らく言いたいことはユウゴと同じだろう。

 俺は考え込むように天井を見上げる。さて、どうするかな?


「サクヤと主はそこの方から戦いを教わったと聞きました! ですから俺達も……!」


 俺が考え込んでいるのを見て、ユウゴが更に言い募ってくる。

 なるほど……昨日のサクヤの戦いを見て触発されたわけか。

 とはいえ、二人ともなにか勘違いをしているみたいだが……


「二人の修行については特に問題ないぞ?」


 俺がそういうと二人は最初ポカンとした表情になった。

 やっぱり勘違いしていたか。


「俺が二人のやりたいことを反対するわけないだろう?」


 そう言って俺は二人の頭を撫でた。

 それにより徐々に俺の言葉の意味が頭に浸透してきたのかじわじわと表情に歓喜混ざり始める。

 そんな二人の様子を俺は苦笑しながら見守り、今俺が悩んでいたことを口に出した。


「修行自体は問題ないんだが、誰にお願いしたものかと思ってな?」


 俺は正直にそう説明する。俺がこの世界に来てまだそれ程経っていない。

 その為はっきり言って俺の持つこの世界での伝手でなんてほとんどないのだ。


「でしたらその二人も私が預かりましょう」


 そうして俺が悩んでいると、師匠が思わぬことを俺達に提案してきた。


「師匠にですか? ですが師匠は……」

「ええ。 私は刀と鉄扇くらいしか武器は扱えません」


 だよな。むしろ鉄扇まで扱えるのか……。もしかして舞の延長で扱えるのかな?


「ではどうやって……?」

「私の方でその二人を指導できそうなものを呼びましょう」


 俺は師匠のその言葉に目を丸くするが同時に納得してしまった。

 なんせ師匠だ。今までも色々とみてきたことを踏まえるとこの人の人脈はかなりのものだと思う。

 であればそのくらいできて当然なのかもしれない。


「ですが……」


 ユキホとユウゴは弟子でもないのにいいのだろうか?


「遠慮することはありませんよ? あなたの……かわいい弟子の仲間であれば私は力になりたいのです」


 そう言ってにっこりと笑みを見せる師匠の言葉に俺は思わず顔を赤くする。

 そして俺は大人しく目の前の頼りになる優しい師に向かって頭を下げた。

仕事があってなかなか時間が取れません……!(´;ω;`)

徐々に投稿スピードを上げていく予定だったのですが、来週以降くらいまではまだ時間が取れなさそうです……。


それでは次回もよろしくお願いします!


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― 新着の感想 ―
[一言] 港町で事前に許可得てたら3つ以外の島にもいけそうだなあ 時間加速変わるなら目指したいかもね
[良い点] 面白いです。 よろしくお願いします。気長に待っています。予告があるから待てる人たちもいるので本当に、ありがとうございます。まぁ、日々過ごしていたらあっという間になんですけれど。
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