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INFINITY STORY'S ONLINE  作者: 藤花 藤花
第2章 夏のキャンプイベント!聖なる島と太古の遺跡
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第46話 宿屋でご飯、噂話

 町へと帰還した俺はまずは食事にすることにした。

 今日はログインしてからなにも食べていないからな。


 大通りにはたくさんの屋台が並んでいる。

 武器、防具、アクセサリーから串焼きのような食べ物を売る、プレイヤーに住民。

 俺は召喚モンスターを連れて、屋台を冷やかしながら噴水広場まで進む。

 目的地は猫の木漏れ日亭だ。数日ぶりになるが偶には食べに行くってラーナと約束してたからな。


 俺達は猫の木漏れ日亭に着き中に入る。正面の受付カウンターには前回同様ラーナが座り、帳簿のようなものを付けていた。

 俺達が近づくと彼女も顔を上げる。そして俺とサクヤの顔を見て破願する。


「シュンさん!サクヤちゃん!数日ぶりですね!今日は泊まりに来てくれたんですか?」


 嬉しそうに彼女はカウンターから出てくる。そして俺の新しい仲間である、ユキホとユウゴの存在に気が付き目を輝かせた。


「ふわぁ~!シュンさんこの子たちは?」

「俺の新しい仲間です。子狐がユキホ。男の子がユウゴ。」

「キュン!」「…よろしく。」


 もしかしたら前回のサクヤのように暴走するかもしれないので念のため警戒しながら俺は二人をラーナに紹介する。

 俺が紹介すると彼女は素早く近くまで寄ってきた。


「ユキホちゃんにユウゴ君ですね!私はラーナです!よろしくお願いします!」


 だが特に暴走したりはせず彼女は二人と握手をするに留まっていた。彼女も学習しているってことか…。

 …ちょっと身体がうずうず動いているのが気になるけど。

 俺がラーナさんと二人の交流を見ていると満足したのかラーナさんは俺の方を見る。


「それでシュンさん。今日は…」

「ああ。食事に来たんだ。食堂、空いているか?」


 俺は当初の目的をラーナに伝える。俺達の目的を聞いたラーナは嬉しそうにしながら俺達を食堂の席に案内し、ついでに母親であるマーサさんを呼ぶ。

 ラーナさんは俺達から注文をとってからそのまま奥に俺達の注文を伝えに引っ込んでいった。

 そして入れ違いに奥からマーサさんが出て来た。


「マーサさん。数日ぶりです。」

「シュン!数日ぶりだね?元気にしてたかい?」

「はい!マーサさんも!」

「あっはっは!私はいつでも元気さ!今日は食事だったね?ゆっくりしておいき。」


 最後に俺と召喚モンスター達の頭を一撫でして奥に引っ込むマーサさん。

 この貫禄は流石というべきか…。

 マーサさんが引っ込むのと同時に今度は5()人分の食事を持ってラーナさんが戻って来た。

 

「シュンさん。私も一緒にいいですか?」


 もちろん俺は了承し、ラーナさんは嬉しそうにサクヤの隣に座り、5人でテーブルを囲む。

 

「そういえば先日の騒ぎ。シュンさんは大丈夫でしたか?」


 5人で食事を幾らかお腹に入れたところでラーナさんが話し始めた。先日の騒ぎ?


「…ああ。もしかしてゴブリンの軍勢の件ですか?」

「もしかしなくてもそうですよ!あの時は来訪者の方が前に出て戦ったんでしょう?シュンさんもサクヤちゃんも余り強そうじゃないし、私心配で…。」


 「強そうじゃない」の部分に思わずがっくりするが、心配してくれることはありがたい。


「心配かけてすみません。大丈夫でしたよ!この通りピンピンしてます!ラーナさんこそ大丈夫でしたか?」


 まあ来訪者は死んでもデスペナ以外何もないんだが…。


「それならよかったです!私も大丈夫でしたよ?最初は不安でしたけど、結局ゴブリンが町に入ってくることもありませんでしたし…。それ程掛からず事態も収束しましたから!それよりも聞いた話によると原因となったモンスターを倒したのは来訪者の方なんですよね?」


 俺は口に入れたパンを喉に詰まらせそうになった。


「すごいですよねぇ!なんでもこの町の騎士様でも勝てないぐらい強いモンスターだったらしいですよ?それをたった一人で倒しちゃったって言うんですから!」


 口に入れたパンを危ういところで無理やり飲み込んで俺はラーナさんを見た。

 ラーナさんの表情は正に夢見る乙女のような顔になっていた。


「どんな人なんでしょう?シュンさん知っています?」


 俺は嫌な予感がしたため、首を横にブンブンと振ることで知らないとアピールした。

 横でサクヤが「それって主様の…」と言いかけるも素早く口を塞いで静かにさせる。

 面倒事の匂いがする…!

 

「そうですか…。もしなにかわかったら教えてくださいね?」


 危なかった!それにしても既に住民にまで話が出回っているのか?

 ロイ様や門番さんの態度から評価が高いとは思ってたけど、ラーナさん達住民までこの様子。

 ばれたらもうこの町を歩けなくなるんじゃないか?

 

「そ、それよりこのスープおいしいですね!何を使っているんですか?」


 話題を変えるために俺はスープを掬い、一口飲んで質問する。

 とはいえおいしいのは本当だ。入っているのは野菜と…これはなにかの魚の白身か?

 

「ありがとうございます!これは海の魚を使って出汁を取って作ったスープなんです。」


 俺がスープを褒めたことでラーナさんの意識が完全にそちらに向いた。

 そのことに俺は心底ほっとしながら彼女の言葉に疑問を抱く。


「海の魚ですか?川ではなく?」


 たしかマーレが森に川が流れているって言ってたよな?


「はい海です。森を抜けた先に港町があるんです。そこから今日商人が運んで来たんですよ。」

「森とは北の森ですか?」


 確かマーレがそっちの森に街道があるって言ってたよな?その街道の先だろうか…?


「いいえ?東の森の先ですよ?あまりしっかりとした道ではではないのでわかりづらいですが、きちんと道があるんです。」


 まさかの東側か。もしかして…


「西と南の先にも町があります?」

「西と南の先にはないです。西の山の反対側はそのまま断崖絶壁の海で南も確か同じはずです。」


 流石にそこまで単純じゃないか。

 となるとプレイヤーの進む先としては東か北になるのかな?

 俺がそんなことを考えていると、ラーナさんの表情が物憂げなものになる。


「でも最近北の街道の方は森の奥にいる強いモンスターが街道に出てきていて通れなくなっているんです。東の港町の方から回り込むことは出来るんですけど…かなりの遠回りになってしまうので物価が上がってやりくりが大変で…。」


 この世界、物価まであるのか…。だとするとこのまま街道が一つ使えないと…。


「詳しいことは冒険者ギルドにいけばわかると思いますけど、凄く強力なモンスターらしいですよ?討伐の為に動いているらしいですけど、人が足りないって話です。」


 となると、住民と協力しないと倒せない類のモンスターなのか?なら相当強いだろうな。

 ドルグとか多分かなり強いと思うし、そんな人が他にもいてそれなら多分相当な強さがあると思うんだよな。

 こいつがいるからマーレ達から次の町の情報が来ないのかな?


「この前のゴブリンがそいつを倒してくれたりしたらよかったんですけど、そんなに都合よくはいかないみたいで…。」


 …そもそもモンスター同士で戦うのか疑問もあるが、もしあの軍勢の中を簡単に生き残れるレベルなら危険度はあの鬼の比ではないかもしれん。


「あ~あ。軍勢の主を倒した来訪者の方なんかがあっさり倒してくれたりしないですかね?」


 ラーナさんの発言に俺は思わず、苦笑する。

 謎の来訪者への期待度高くないか?


「ラーナさん、流石にそれは…」

「ですよね~。そんな都合よくはいかないですよね?」


 そう言ってがっくりするラーナさんには悪いが聞く限り相当強力なモンスターみたいだし、恐らく東の森の先の港町が先に行くべき町な気がする。

 だとしたらわかりやすく街道を作ってミスリードとか運営意地が悪いなぁ。

 まあでも…俺は落ち込むラーナさんの様子を見る。一応この後冒険者ギルドに行っておくかな?

 ドルグあたりが居ればついでにお礼も言っておきたいし!


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[一言] 隣接している町把握も不完全なのか...知識の泉ちゃんと仕事しろー
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