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INFINITY STORY'S ONLINE  作者: 藤花 藤花
第2章 夏のキャンプイベント!聖なる島と太古の遺跡
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第44話 世界の事を知りたいんだ…

 ―― 翌日 ――

 登校後。学校で二人に、にゃん娘さんとのことをお願いした俺は帰宅後直ぐにゲームにログインした。

 そして今俺は幼馴染二人と合流するために噴水広場でサクヤ、ユキホと共に雑談をして時間を潰していた。


「主様。今からいらっしゃる方は数日前お会いした主様の幼馴染の方ですよね?」

「そうだ。サクヤはあの時は余り話ができてなかったか?」

「はい。あの時は他にも人がいたので…。」


 確かにそうか。それにあの時はどちらかというと俺への質問がメインでサクヤの方へは余り意識が向いてなかった。

 だからか先ほどからサクヤは少し緊張気味で不安そうにしている。

 逆にユキホは状況が良く分かっていないこともあって、先ほどから元気に俺達の周りを走り回っている。

 

「まああの二人は良い奴だからサクヤもすぐに馴染めると思うぞ?」


 多分。


「そうですか?」


 俺がサクヤとそんなことを話していると徐々にサクヤの緊張も解れてきたようだ。良かった。

 サクヤの緊張が殆ど解れたところで計ったように向こうから歩いてくる二人の姿が見えた。

 俺が手を挙げて二人に声を掛けると二人はすぐに俺に気づき小走りで近寄ってきた。


「シュン!さっきぶりだ!」

「今日はよろしくね!」

「こっちこそ時間を貰って悪いな?今日はありがとう。」

「「気にしないで(気にするな)!」」

 

 そう俺が二人と挨拶を交わしたところで、ふたりの視線はサクヤ達の方へ向かう。

 視線を向けられたサクヤはそれにより先ほどの緊張がまたぶり返したようで固まってしまっている。


 そんなサクヤに身長が近いマーレはそのままそっと近づいてその手を取り、アースはしゃがみ込んで視線を合わせながら頭を撫でた。


「サクヤちゃん。この前はしっかりお話できなかったけどシュンの幼馴染のマーレです。よろしくね?」

「同じく。シュンの幼馴染のアースだ。よろしくな!」


 二人のその気遣いにサクヤも今度こそ緊張が解れた様でほっとしたような表情をしながら二人に軽く頭を下げた。


「主様の召喚モンスターのサクヤです。こちらこそよろしくお願いします。」


 三人の挨拶が終わったところで俺はユキホを抱き上げアースとマーレに向ける。


「で、こっちは新しく俺と契約したユキホだ。「キュン!」サクヤと同じくよろしくしてやってくれ。」


 俺が二人にユキホを紹介するとユキホは鳴きながら片足を上げて二人に挨拶をした。

 なんか前回ログアウトした時よりも賢くなってる?

 二人は立ち上がり俺に抱かれたユキホの前足を握手をするように軽く握った。

 

「小さくてふわふわしてて可愛いわね!ユキホちゃんね?マーレよ。よろしくね?」

「アースだ。よろしくな?」


 二人にユキホの紹介も終わり、アースはユキホから手を離す。

 

「?マーレ?」


 だがマーレはまるで吸い付いてしまったようにユキホの手を離さない。どうしたんだ?

 俺とアースが再度マーレに声を掛けようとしたところでマーレがバッと顔を上げた。


「お願いシュン!ユキホちゃん抱っこさせて!」


 あ~そうか。マーレの奴、ユキホのもふもふにやられたな?そういえばサクヤもユキホを抱っこして離さなかったもんな。


「俺はいいぞ?後はユキホに聞いてくれ。」

「ユキホちゃん…」


 マーレがユキホに向かって懇願するように両手を広げる。これだけでユキホもマーレの望みがわかったようで一声鳴いてマーレの腕の中に飛び込んだ。

 想いが叶いユキホを抱っこできたマーレは実にとろけた顔でユキホをモフモフしている。

 …俺が見ているときはユキホはいつも誰かに抱かれている気がするな。

 

「ま、まあともかく早いとこにゃん娘さんのところへ行こうぜ、シュン!向こうも待ってるだろうし…」

「そうだな。」


 だがしばらく経ってもマーレにユキホを離す様子がない。その事に痺れを切らしたアースの提案によりマーレに抱かれたユキホはそのままにすることにして俺達は移動することにした。

 ユキホも特にマーレを嫌がっていないしな。マーレも移動することに異存はないのかユキホを放しはしないが頷いて付いてくる。

 その際実に自然な動作でサクヤの手を握った。マーレ…サクヤも気に入ってたのか?

 サクヤが困ったような顔で俺を見るが俺は諦めろというように首を振ることしかできなかった。


 目的地へと俺はアースとユキホをもふもふしながら後ろを歩くマーレと共に雑談をしながら歩みを進める。

 

「そういえばシュン。昨日運営から公式PVについて連絡が来たんでしょ?」

「ああ。小鬼の軍勢と遭遇したところからあの鬼を倒したところまでな。」


 昨日俺がログアウトしようとした時に、届いていたメールは運営からだった。

 内容は先日のオラグランデ戦を元に作成したPVを公式PVとして使いたいということ。


「ああ!学校で言ってたな!それでOKしたのか?」

「ああ。そもそも最初の規約に〖プレイヤーに無断でPVに使用されることがあります。〗って書いてあったんだから断れないだろ?逆になんで伺いを立てて来たのかが疑問だ。」

「シュンが未成年だからか…。それかまさかの個別のピックアップ継ぎ接ぎ動画じゃなくてシュンメインの動画だからかな…?」


 どっちにしろ規約的に断れるものじゃないだろうし、別に俺としてはあれくらい構わない。

 …もう既にうっかり配信で晒しちゃったからな!


「まあでもこれでシュンもPVデビューで有名人ね!」

「幼馴染の俺としては鼻が高いぞ!」


 そう言って嬉しそうにアースは俺の背中をバシバシと叩き、マーレは嬉しそうな顔をしながら両手が塞がっている為、軽く俺の腕に頭を寄せる。


「有名人かはわからないが、ありがとな!二人とも!」




 

 知識の泉のクランはそこそこ大きな建物で酒場とカフェを二分したような建物だった。

 なぜこのような建物になったかと言えばこのゲームは成人していればお酒が飲める。もちろん酔っぱらえるわけではなくほろ酔いくらいにしかなれないし、直ぐに酔いも冷めてしまうのだがそれでもリアルでお酒を控えている人にはこれだけでも福音ではある。

 そしてお酒があるなら情報屋と言えば酒場!みたいなことを言うプレイヤーがいるのはある種当然だったのだろう

 だがこのゲームは未成年もプレイしている。

 それゆえに未成年でも入りやすくするためカフェの方がいいと主張するプレイヤーも現れた。

 そして酒場派とカフェ派で争った結果クランマスターであるにゃん娘がならば両方作ればいい!と言った結果こうなったのだという。アース談。

 それはともかく、

 

「にゃん娘さんはカフェの方で待ってるって言ってたからそっちに行くぞ。」

 

 俺はアースの後ろについて、カフェの中に入る。ちなみにマーレはここまでずっと片手でユキホを抱きサクヤと手をつないで歩いている。

 そのおかげもあってか三人はかなり仲良くなっているようだ。

 …とはいえ仲良くなるのはいいのだが俺の子供の頃の話やらをサクヤ達に聞かせるのは辞めて欲しい。

 

 閑話休題


 カフェの中はとても落ち着いた雰囲気の空間だった。中央奥にカウンターがあり、カウンターの周りには丸テーブルと椅子が並んでいる。隅には観葉植物が置かれ、所々に品のいい調度品が置かれており、店の雰囲気アップに一役買っている。


「にゃん娘さんは奥の部屋だ。」


 俺が店の中を見回しているとカウンターでなにやら作業をしていた渋い初老の男性にアースが話しかけている。

 だが直ぐに話が付いたようでアースは手振りでついてくるように俺に指示してきた。

 そのままアースはカウンター横にある階段を上っていく。

 俺は初老の男性に軽く頭を下げてアースの上がって行った階段を上がる。

 アースは階段の一番上で待っていた。

 アースはそのまま俺に一声掛けて階段を上がってすぐのところにある部屋に入っていった。

 俺もアースの後に続いて部屋に入ると、すでにそこにはにゃん娘さんが椅子に座り、くつろぎながら待っていた。

 俺達が入ってきたことで彼女は立ち上がる。 


「シュン君!昨日ぶりにゃ!」

「にゃん娘さん。昨日ぶりです。お待たせしてすみません。」

「そんにゃこといいんにゃよ!それよりたった一日でまたにゃにか発見したって聞いたにゃよ?シュン君の情報にゃらきっとすごい情報にゃ!にゃから少しくらい待たされたって問題なしにゃ!そんにゃことより早くみんな座るにゃ!」


 凄い勢いだな…。ここまで期待されていると流石に緊張するな。俺達はにゃん娘さんの勢いに押されるままに置かれていた椅子に座る。

 俺達が席に着いたところでにゃん娘さんの視線はマーレに抱かれているユキホに向いた。


「それで今日の話はその子狐の事かにゃ?」

「いいえ?」

 

 にゃん娘さんの出鼻を意図せずくじいたところで俺は昨日会った精霊たちのことを話した。

 精霊たちの事情と最下級精霊との契約そして…ゴブリン達の正体…。内容が内容だからか最初は興奮気味だった、にゃん娘も次第に真剣な表情に変わり、幼馴染二人は口を開けて絶句している。

 俺が最後まで話したところでにゃん娘は疲れたように手で目元を覆いながら、天井を見上げた。


「どうですかね?」

「どうもこうもにゃいにゃよ。またとんでもない話にゃ…。」

 

 天井を見上げたまま俺にそう答えるにゃん娘。だがこのままでは話が進まないと思ったのかしばらくして深呼吸を一つして気合を入れた後、再び俺の方に向き直った。


「それでシュン君はどうしてほしいにゃ?」

「他プレイヤーへ精霊の契約についての情報を流して協力体制を取れるようにすること。できればあまり素行の悪いプレイヤーは行かないようにしたい。」

「それに関しては私達こそやらせて欲しい事にゃね。精霊との契約が本当にできればMPを余らせ気味な近接が多少でも遠距離攻撃や補助ができるようになるにゃ。聞く限り魔術師系の本職には遠く及ばにゃいまでもないよりは遥かにいいものにゃ。契約したいプレイヤーは多いはずにゃ。というか私もやりたいにゃ。」


 そりゃそうか。自分の弱点を多少でも補えるなら誰だってやりたいに決まっている。


「シュン君がそう言ってくれるなら私たちのクランが責任もって音頭を取るにゃ!」


 にゃん娘さんがここまで言ってくれるなら問題ないだろう。俺は面倒事をにゃん娘さんに押し付けられる、彼女は新鮮な情報が手に入る。これぞwinwin!


「それで他には何かあるかにゃ?」


 他、か?ああそうだ。あの事をお願いしてみよう。


「それならにゃん娘さん。先ほど話した精霊達の話からなんですが…」

「にゃ?」


 俺はミイロから話を聞いたことで自分がこの世界のことについて何も知らないことに思い至ったことを話した。


「この世界はきちんと世界として完成している。だから発生する現象にはきちんと理由があると思うんです。」

「それは…それはそうにゃね。」

「だから俺は精霊の事も含めこの世界のことが知りたい。」


 にゃん娘さんが椅子に体重を預けながら天井を見上げる。


「この世界の歴史、人の歴史、人以外の存在の歴史、俺達の持つ力、そしてそもそも俺達が()()()()()()この世界に居る意味。」


 多分ゲームを進行する上でもこういった点は後々必要になると思う。

 この時点でも既に色々な要素が俺達の知らない所で出ているのだ。

 そしてそれらの全てが何かしらのクエストや騒動に繋がっている。 


「確かににゃあ…。さっきのシュン君の話を聞く限りゴブリンと精霊の関係一つとっても今回の防衛戦クエストの要因の一つに繋がっているにゃ。」


 にゃん娘さんが見上げていた顔を正面に戻す。再び視界の中に戻って来た彼女の顔には強い好奇心が張り付き、その瞳には深い知性の光が宿っていた。

 …やっぱりこの人はふざけた名前や言動とは裏腹に結構怖い人だな。この人だけは絶対に敵に回すまい。


「それじゃあシュン君の二つ目のお願いはこのゲーム世界に関しての情報収集をする手伝いということかにゃ?」

「まあ有体に言えばそうです。」

「その集めた情報の扱いは?」

「俺に開示してもらえるなら、後は好きにして貰って構いません。なんなら報酬もお支払いします。」

「報酬は気にしなくていいにゃよ!私たちは既にシュン君に沢山借りがあるにゃし、シュン君に協力することによって私達も情報が入るにゃ。というか寧ろ報酬払うから協力させて欲しいにゃ!」


 いや俺も報酬はいらないんですけどね?情報が集まりさえすれば…。

 俺は立ち上がり、にゃん娘さんに片手を伸ばす。


「それじゃあよろしくお願いします。」


 伸ばされた手を見てにゃん娘さんも笑みを浮かべて立ち上がり俺の手を掴む。

 これで契約は完了だな。


「それにゃあ早速動くにゃ。あっ!その前にシュン君はもう精霊と契約してるにゃよね?」

「はい。」

「もしよければ呼んで貰えないかにゃ?できればその子からも希望を聞いておきたいにゃ!」


 それぐらいは問題ない。俺は精霊魔法を発動してミイロをこの場に呼び出す。

 幸いミイロの方も特に何もなかったようですぐに俺の召喚に応えてくれた。


『シュン?意外とお早いお呼びね。どうしたの?』

「ミイロ。先日の精霊の話を今してたところなんだ。」

『どうなりそうなの?』

「それを今から決めるためにミイロを呼んだんだよ。」


 そして俺はにゃん娘さんに視線を向ける。彼女は口をあんぐり開けながらミイロの方を見ていた。

 あれ?ミイロが見えてる?


『一応姿は見えるようにしてるわ。そうしないと他に人がいたとき困るかもしれないから。』


 確かにな。突然何の予兆もなく魔法が発動したら普通は驚くだろう。

 俺がミイロとのんきにそんな話をしていると我に返ったらしいにゃん娘さんがポツリと言葉を零した。


「やっぱり直接見ると驚くにゃね…。」

「ですよね?俺も初めて会った時は驚きました。」

「いやそれもそうにゃけどそれ以上にこんな短期間にこれだけの発見をするシュン君に驚いたにゃ。」


 そっちですか…。にゃん娘のその発言に俺が微妙な表情になっていると、彼女は気を取り直したようにミイロに向き直った。


「ミイロさん…でいいかにゃ?私はにゃん娘。情報屋兼検証クラン:知識の泉のマスターをしてるにゃ。よろしくお願いするにゃ。」

『ご丁寧にどうも。私はミイロ。そこにいる召喚術士 シュンと契約を交わした下級精霊よ。この名前はシュンから貰ったの!』


 ミイロが嬉しそうにくるりと回って軽くお辞儀をする。その姿は正に物語などに登場する精霊そのものだった。


 そしてこの後、ミイロの存在を確認したにゃん娘さんの動きは素早かった。

 ミイロから俺が話したこと以外の精霊側の細かい希望を聞き取り、俺が説明した内容も併せて他プレイヤーへの対応を纏めていく。

 その姿は俺が先ほど感じた通り、ふざけた名前と態度とは裏腹に実にかっこいいと思えるものだった。

 

 内容を纏め終わったにゃん娘はこれに関しては報酬を払うと言ってきた。

 だがこのことに関しても俺は報酬を断る。

 この件は俺からの要請だし、ミイロ達のことで俺は金銭なんて取りたくない。


 そのためしばらく俺に報酬を渡そうとしていたにゃん娘だがそんな俺の気持ちを聞き最終的には溜息をついて諦めてくれた。…なんかすみません。


 こうして精霊のことについてにゃん娘との相談も終わり、ミイロを元の場所に返したところで解散することになった。


 にゃん娘さんはこの後、早速検証の為南の森の湖に行くらしい。

 我に返ったアースとマーレはそれについていくそうだ。

 そして先生のところに行く予定のある俺も三人と共に南の森の入り口まで一緒に行くことにした。

 

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[気になる点] 内容を纏め終わったにゃん娘はこれに関しては 報酬を払うと言ってきた。 だがこのことに関しても俺は報酬を断る。 この件は俺からの要請だし、ミイロ達のことで 俺は金銭なんて取りたくない。 …
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