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INFINITY STORY'S ONLINE  作者: 藤花 藤花
第1章 始まりの町と復讐鬼の軍勢
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第3話 始まりの町と仮想の幼馴染達

~~始まりの町 アルヒ 噴水前広場~~


 気が付くと、西洋風な街並みの中にある噴水の前に俺は立っていた。


「最後の最後でなんか爆弾を落とされた気がする……」


 というかゲームの世界とはいえ神様相手に俺、結構失礼だったのでは? と思わず頭を抱える。主に羞恥心的な理由で……。


 ピコン


 通行人から訝し気な視線を頂戴しながら、悶えていると突然頭の中に電子音が響いた。

 何事かと顔を上げると顔の前に称号を入手いたしました、の文字が……。


「称号?」


 なぜこんなタイミングで手に入ったんだ? 俺まだ何もしてないよな? ひとまず確認するか……。

 俺は称号欄に触れ、称号の内容を表示する。


名前:シュン  所持金:1000 G

種族:幼竜人 Lv.1

職業:召喚術士 Lv.1


ステータス

HP(体力):60/60 MP(魔力):60/60 KP(気力):40/40

EP(満腹度):100/100


STR:18(15+3) VIT:20 INT:5 MND:30 DEX:12(10+2) AGI:10

●AP(AbilityPoint):0


▼JobSkill:召喚術 Lv.1

●JSP(JobSkillPoint):0


▼Skill:≪刀術Lv.1≫ ≪魔力操作Lv.1≫ ≪危機察知Lv.1≫ ≪識別Lv.1≫ ≪感応Lv.1≫

●SP(SkillPoint):0


▼≪称号≫

【創世神デミウルゲインの興味】≪NEW≫【太陽神ソレイユの興味】≪NEW≫【月神セレーネの興味】≪NEW≫


 なんかすごいの来た。


「え~……なにこれ?」


 と、とりあえず確認だな!


■《称号》創世神デミウルゲインの興味 ■


効果:種族経験値取得量UP(極微)


《備考》

【創世神デミウルゲインが興味を覚えた者に与えられる称号。お前のこれからの行く末、楽しみにさせてもらうぞ?】


■《称号》太陽神ソレイユの興味 ■


効果:職業経験値取得量UP(極微)


《備考》

【太陽神ソレイユが興味を覚えた者に与えられる称号。あなたとの時間…楽しませてもらいました。これからも興味深く見させてもらいます】


■《称号》月神セレーネの興味 ■


効果:スキル経験値取得量UP(極微)


《備考》

【月神セレーネが興味を覚えた者に与えられる称号。その刀……自信作。大切にしてくれると嬉しい】


 なんというか神様って暇なんだろうか?……まあいいや。


 陸たちと合流する前にジョブスキルの召喚術と覚えているアーツを確認しておこう。


■ JobSkill:召喚術 Lv.1 ■

▼≪所持アーツ≫

【召喚】 熟練度:0

▼契約したモンスターを術者のMPをコストに自分のもとに召喚することができる。召喚中はコストにしたMPは回復しない。(JSPで強化することで機能を拡張することができる)

・現在の必要MP量:最大MPの2割

・現在の同時召喚可能数:0/1


【魔石召喚】 熟練度:0

▼魔石または魔石に類するものを使用してモンスターを召喚する。(JSPで強化することで機能を拡張することができる)

・現在の通常召喚成功率:1%{特定の条件を満たすことで召喚成功率などの変動が可能}

・1日1回まで行うことができる。


【契約】 熟練度:0

▼魔石召喚などで召喚したモンスターまたは出会ったモンスターとMPを消費して契約を結ぶことができる。(JSPで強化することで機能を拡張することができる)

・現在の契約に必要なMP量=契約モンスターのLv.×契約モンスターのRank×10

・現在の通常契約成功率:1%{特定の条件を満たすことで契約成功率などの変動が可能}

・現在の同時契約可能数:0/2


● JSP(JobSkillPoint):0


 う~ん? とりあえずよくわからない部分も多いけど、これだけはわかるな。

 ……召喚と契約の成功率低くない? 特定条件ってなんだよ!

 あまりの内容に思わず頭の中でヒートアップしてしまう。だけど仕方がないと思うの! だって召喚術士に召喚術士させる気ないじゃんこれ! (意味不明)

 ……ふ~。いったん落ち着こう。これに関してはその時が来たら考えればいい。

 ひとまず他のスキルのアーツを確認しよう。といってもアーツがあるのはあと一つだけだけど……。


■ AS:刀術 Lv.1 ■

≪所持アーツ≫

【一閃】 熟練度:0

▼刀を素早く振るい敵を切り裂く。

・消費KP:5 ・CTクールタイム:5秒




 うん。普通! 召喚術がひどかったから少しほっとした。このスキルまで微妙だったら俺の物語はここで終わってたかもしれん。


 さてアーツも確認したし陸たちと合流しないと。といっても噴水前で待ってるように言われてるから動く必要もないんだけどな!

 ボーっと青空を眺める。風が頬を撫で、太陽の光が眩しくて温かく心地いい。おそらくNPCであろう子供が楽しそうに目の前を通り過ぎていく。

 さっきまで余裕がなくて気づかなかったが…


「これが仮想現実の世界……」


 綺麗だ……。そんな言葉が思わず口からこぼれる。

 本当に現実と何も変わらない。


「春樹か?」


 そうしているうちに聞き覚えのある声が後ろから掛けられた。


「陸か?」


 そう言いながら、後ろを振り返るとそこに立っていたのは髪と瞳を大地のような茶色に染め、頭から犬耳? 狼耳? を生やした両腰に片手剣をぶら下げた男ときらめくような青色に髪と瞳を染め、左腰に片手剣、背中に盾を背負った人族の少女。


「やっぱり春樹で合ってたな!」

「陸…、それと葵も一緒か。2人とも見つけてくれてサンキューな!」

「おうよ!」

「どういたしまして! 春樹も昨日ぶり」


 男の方はもちろん陸だ。そしてこの青い少女こそが俺のもう一人の幼馴染である、東雲(しののめ) (あおい)だ。

 昨日も夏休みの課題を前もって片付けるためにうちに来て俺から勉強を教わっていた。お礼に夕飯を作ってくれたのは素直にありがたい。


 現実で毎日のように聞いている2人の声。

 姿が違うからなんか違和感があるな……。

 まあそれはともかく。

 


「2人とも待たせてごめんな?」

「気にするな。最初から時間が掛かると思っていたから先にフィールド出てレベル上げしたりしてたんだ。だからあまり待ってはいないぞ! 実はたった今戻って来たばかりだからな!」

「うん。私も一緒にレベル上げしてたから、あまり気にしないで」

「そう言ってくれるとありがたい。でもこの埋め合わせは必ずするから!」


 かなりの時間待たせちゃったからな。


「「それは期待してる!」」


 そう2人に笑いながら言われてこの話はお終いだ。


「うし! それじゃあ春樹とも合流できたことだしフィールドに出てレベル上げでもするか?」

「そうしましょうか? 春樹もそれでいい?」

「よくわからんから2人に任せる」

「じゃあフィールドに出ましょうか」


 そうして葵の先導でフィールドにつながる門に向かって歩き始める。


「なあとりあえず歩きながらフレンド登録だけしちゃおうぜ?」

「そうね! 春樹、いい?」

「よくわからないがいいぞ? やり方を教えてくれ」


 2人からやり方を聞いてフレンド登録をする。


「アースとマーレか……。葵のマーレは少し凝ってるけど、アースはなんというかまんまだな」


 陸=大地=アースに葵=あお=海=マーレかな?

「お前だって人のこと言えないだろうが!」

「まあそうだけど……」


 幼馴染3人揃って単純ってことか……。


「まあいいじゃない! シュン、そんなわけだから私のことはこっちではマーレ、陸はアースって呼んでね? 基本的に現実の名前をこっちで出すのはマナー違反だから!」

「わかった」

「ついでに他のMMOでの最低限のマナーも教えてあげる」

「よろしくお願いします」


 そうして隣を歩くマーレからMMO初心者マナー講座を歩きながら受け、ひと段落したところで今度は前を歩いていたアースがマーレと位置を入れ替えながら話しかけてくる。


「それにしてもシュン。お前、結構見た目弄ってきたな! 適当に髪とか目の色変えてくるだけかと思ってたから最初一瞬わからなかった」

「あっ、それ私も思った! 現実より少し大人っぽくなってるわよね? それにそんなきれいな髪色、薄い青白色かしら? なんてあった?」


 そうアースとマーレが言い募ってくる。


「変か?」

「いいえ? その、私はかっこいいと思うわよ?」


 そう言って顔を少し赤くするマーレ。


「ありがとな。マーレもその髪色と瞳、似合ってるぞ?」

「……ありがとぅ」


 お返しにそう返すと更に顔を赤くしながら俯いてお礼を言ってくるマーレ。


「あ~それで結局その見た目はどうしたんだ?」


 そんなふうにマーレと話をしているとなぜか少し気まずそうにしながらアースが割り込んでくる。

 そのアースの行動に気分を害したのかマーレは俯いていた顔を上げてアースを睨んでいた。怖えーよ。


「ああ、これはイメージキャラクリエイト機能で作ったんだ」


 特に内緒にすることでもないため素直に答える。が、アースから返答が返ってこない。そのことに訝しみながらアースの顔をみるとぽかんと大口を開けながらこちらを凝視していた。マーレの方を見るとそちらも同じような顔をしている。


「どうした?」

「いやどうしたじゃねえよ! お前サラッととんでもないこと言いやがって!」

「??」


 ? よくわからん?

 そんな2人の様子に疑問符を浮かべていると2人揃って溜息をついた。


「なんというかさすがシュンと言ったところなのかしらね?」

「そうだな……」

「?」


 なんだかよくわからんが2人が納得したのならまあいいか!


 そうこうしているうちに俺たちは見上げるほどの高さを持つ門にたどり着いていた。

 マーレは気を取り直したように門を指さして説明を始める。


「これが北門よ! 町の周辺には草原が広がっていてそこにはゴブリン、スモールラビット、プレアリーウルフが出てくるわ。草原の向こう側は西門以外は森になっていてそれぞれ出てくるモンスターが違うの」

「西門側にある山では鉱石が取れるぞ!」

「それで今回は手前の草原でレベル上げね。奥の森と山の方が出てくるモンスターが強いから今は気にしなくていいわ!」

「ちなみにゴブリン<スモールラビット<プレアリーウルフの順に強いぞ!」

「なるほど。じゃあ今回はゴブリンを倒してレベル上げってことか! それにしてもこの世界だとゴブリンって兎にも負けるくらい弱いんだな……」

「そうなのよね。なんでかわからないんだけどステータス的に兎の方が強いのよ。まあそんなわけだからこのゲームの最弱モンスターは今のところゴブリンってことになるわ!」


 そうかゴブリンが一番弱いのか。作品によっては結構厄介な存在として描かれるのになんでなんだろうな?

 ……もしかしてケモナーな開発が原因だったりして。


 そんな話をしながら三人で北門をくぐる。

 そうして見えてきたのは心地よい風の吹くだだっ広い草原とモンスターを追い回すたくさんのプレイヤーの姿だった。


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