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INFINITY STORY'S ONLINE  作者: 藤花 藤花
第2章 夏のキャンプイベント!聖なる島と太古の遺跡
35/78

第34話 新たな出会い、主人公とトップクラン!

 ━Side シュン ━

 学校が終わり陸と葵と共に家に帰る。

 2人と別れて家に入り制服を脱いだらすぐさまVRギアを被りログインした。


「それじゃやりますか」


~~始まりの町 アルヒ シズカの屋敷の一室~~


 目を覚まして隣で寝ているサクヤを起こさないように身体を起こす。

 グッと身体を伸ばしたり腕を回して身体の調子を確認。

 うん。問題ないな。

 俺がそうして調子を確かめていると部屋に人が近寄ってくる気配がする。

 その気配は俺の寝ている部屋の前で立ち止まりふすまを開けた。

        

「シュンさん。目が覚めましたか?」

「はい。おはようございます、師匠」


 その正体は当然師匠だった。まあこの屋敷、サクヤと俺以外は師匠しかいないんだから当然だけど。

 俺の挨拶を聞いた師匠は俺の隣に座り俺の様子を確認しだした。

 顔を掴んで上下横に動かす。身体を触って俺の反応を確かめる。

 しばらくの間ひとしきり確認してもう大丈夫だと判断したのだろう。

 満足げな顔をして俺の身体から手を離した。


「もう大丈夫ですね」

「はい。ご心配をおかけしました」


 そうしているとサクヤも目を擦りながら起きだす。

 ふぁっとあくびをして俺が起きていることに気が付くと目を見開いて俺の身体に飛びつくように抱き着いた。

 あまりの勢いに俺は受け止めきれず後ろにひっくり返った。 


「主様!」

「サクヤ。おはよう」

「はい! おはようございます! ご無事で何よりです」


 そのまま俺の胸の中でえぐえぐと泣き出した。

 ……心配かけちゃったな。

 しばらくそうして好きにさせていると5分ほどで泣き止み顔を上げた。その顔は真っ赤になっている。

 俺はサクヤの頭を笑みを浮かべながら撫でてやる。

 そんな俺達の様子を微笑ましいものを見るように見ている師匠の方へは顔を向けない。

 しばらくして俺達の様子が落ち着いたところで師匠は俺達のこの後の予定を訪ねて来た。


「それでシュンさんは今日はどうする予定なんですか?」

「実は……」


 俺はマーレとのことを説明する。そうしたら師匠は意外なことを提案してきた。


「それではこの屋敷に招いてはいかがですか?」


 えっ? この屋敷に?


「いいんですか?」

「ええ。シュンさんを鍛えたのは私ですし、私が居たほうがスムーズに話も進むでしょう」

「ありがとうございます」


 正直ありがたい。どう説明したものかと思ってたからな。


「それではお言葉に甘えます」

「そうしなさい」


 俺は急いでマーレにメールを送る。確かマップデータを送れるって言ってたはず……。

 少し手間取りながらもメール送信完了。あとはマーレ達が来るのを待つだけだ。


「それでは私はおもてなしの準備をしてきますので席を外しますね。シュンさんはお客様が来るまでここでゆっくりしていてください」

「えっ? でも……」

「いいですから。もう少しだけゆっくりしていなさい」


 そう言って師匠は俺を押し留めて部屋を出て行ってしまった。

 まだ心配だったのかな?

 ならお言葉に甘えてステータスの確認でもしようかな?


名前:シュン  所持金:800 G

種族:幼竜人 Lv.15↑

職業:召喚術士 Lv.3↑


ステータス

HP:156/63→156↑  MP:128/60→160↑  KP:98/42→98↑  EP:5/100


STR:19→47↑ VIT:21→52↑ INT:5→10↑ MND:30→80↑ DEX:12→20↑ AGI:15→35↑

●AP(AbilityPoint):30


▼JobSkill:召喚術 Lv.3↑

≪所持アーツ≫

【召喚】 熟練度:80↑(現在の同時召喚可能数:1/3)

【魔石召喚】 熟練度:0

【契約】 熟練度:10

【強化】 熟練度:10 

●JSP(JobSkillPoint):6↑


▼Skill:≪神通流派刀術Lv.20↑≫ ≪魔力操作Lv.7↑≫ ≪危機察知Lv.15↑≫ ≪識別Lv.5↑≫ ≪感応Lv.15↑≫ ≪料理Lv.1≫ ≪身体強化Lv.10↑≫ ≪気配察知Lv.8↑≫ ≪隠密Lv.5↑≫ ≪気配操作Lv.7↑≫ ≪気力操作Lv.10↑≫ ≪生命力操作Lv.5↑≫ ≪足運びLv.10↑≫ ≪呼吸Lv.15↑≫ ≪集中Lv.20↑≫ ≪見切りLv.10↑≫ ≪身軽Lv.10↑≫ ≪剛力Lv.8↑≫ ≪剛体Lv.8↑≫ ≪身体制御Lv.13↑≫ ≪精神制御Lv.13↑≫ ≪魔力視Lv.3↑≫ ≪暗視Lv.5↑≫ ≪マナ操作Lv.2↑≫ 

●SP(SkillPoint):201↑



■《魔物》名前:サクヤ ♀ Rank:1■

種族:小鬼人 Lv.15

職業:刀巫女≪NEW≫

ステータス

HP:135/60→135↑  MP:50/10→50↑  KP:60/40→60↑  EP:87/100


STR:25→65↑ VIT:20→45↑ INT:10→20↑ MND:10→25↑ DEX:20→30↑ AGI:18→30↑


▼Skill:≪神通流派刀術Lv.18↑≫ ≪身体強化Lv.17↑≫ ≪料理Lv.3↑≫ ≪気配察知Lv.8↑≫ ≪気力操作Lv.8↑≫ ≪生命力操作Lv.6↑≫ ≪足運びLv.10↑≫ ≪呼吸Lv.13↑≫ ≪集中Lv.10↑≫ ≪見切りLv.8↑≫ ≪身軽Lv.8↑≫ ≪剛力Lv.15↑≫ ≪剛体Lv.15↑≫ ≪身体制御Lv.15↑≫ ≪精神制御Lv.10↑≫ ≪暗視Lv.5↑≫ ≪剣舞Lv.5≫≪NEW≫


おお! 全体的に上がってる。まああんだけ戦って上がってなければもはやバグを疑う。

 召喚の熟練度の上昇量はサクヤを召喚し続けたこととサクヤに負担を掛けたからかな?

 仕方ないとはいえ昨日はサクヤにかなり無理をさせたな。きちんとねぎらってやらないと。

 同時召喚可能数も増えてるけど今サクヤしか契約してないからあまり意味がないな。

 全体的にレベルが上がっているが気になるのはサクヤの職業とスキルだな。

 いつの間にか刀士が刀巫女に変わってる。それに合わせてMNDが上がってMPが増えた。

 職業が変化したのは剣舞を覚えて使ったからかな?

 剣舞の効果は……


≪AS:剣舞≫

・刀または剣を用いて舞を踊り神々に奏上することで様々な効果を得られる。強く願うことでその願いに沿った効果を得ることができることもある。全ては神々次第。

 この舞は特に光、火、土の神が好んでいる。

▼現在得られたことのある効果:鎮魂(魂を静め、浄めることができる。アンデッドや特定のモンスターに効果がある)

【SW:それは神々の遊戯。だが強き願いに神々は必ず答えるだろう。】


 ……なんとも不確定要素の多いスキルだな……。これって戦闘中にまともに使える代物じゃないんじゃないか?

 ……サクヤが俺に報告しなかった理由が分かった気がする。多分効果云々じゃなくて師匠の気まぐれか暇つぶしかで教わったんだろう。だからわざわざ報告する必要もないと思ったんだろうな。

 まあ今回このスキルのおかげで勝てたようなものだし構わないけど、ホントどんなスキルが役立つか分かったものじゃないな……。


 あっ! あとあいつとの戦いの最後に使った技。なんか唐突に使えるようになったんだけどあれって……


 神通流派刀術:無の型 【鬼斬】 熟練度:10 

▼それは無の境地。この世に存在する鬼を滅する刃。鬼を斬るためだけの技。 

 鬼系種族へのダメージ特攻大。防御貫通。

・使用後状態異常:虚弱付与(20時間)・CTクールタイム:24時間


 文字通り鬼を斬るための技、か? 一日一回しか使えない上に使用後虚弱が入るから行動不能になる。まさに必殺技。これで倒せなければ敗北確定と……。

 あの虚弱の状態異常の原因はこれか。

 また師匠にこの技の事聞いておかないとな。


「さて一先ずEPが危ないから何か食べてマーレ達を待つとするか!」


 |

 |

 | 


 俺が腹ごしらえを終えてマーレ達を待つこと15分程。

 サクヤとお茶を飲みながら雑談を交わしているとマーレからメールが飛んできた。

 

 From.マーレ

『今屋敷の門前』


 来たみたいだな。


「サクヤ、マーレ達を迎えに行ってくる。お前は師匠と待機していてくれ」

「わかりました」


 師匠と合流するために部屋を出ていくサクヤを見送り屋敷の門前にいるマーレ達を迎えに行く。

 俺が門を開けるとそこにはマーレとアースを含む6人ほどのプレイヤーが立っていた。


「アース、マーレ。いらっしゃい。他の方もようこそ。とりあえず上がってくれ」


 一先ず屋敷の中に招き入れようと俺は声を掛ける。プレイヤー達は最初は何故か戸惑っていたがすぐに気を取り直したようで、俺の招きに応じるように頭を下げながら恐る恐る門をくぐった。

 その姿がなんとなく俺が初めてこの屋敷に来た時と重なる。やっぱりこの門構えを見ると緊張するよな。


 屋敷に入り師匠に指示されていた部屋にみんなを連れていく。 

 襖を開けて部屋に入るとそこは少し広めの20人くらいは入れそうな部屋で人数分のお茶とお菓子が置かれていた。

 というか俺、師匠に人数なんて伝えてなかったよな? なんで綺麗に人数分揃ってるんだ?

 俺が思わず師匠の底知れなさに身震いする。その師匠は部屋の中で3人分並べて置かれている座布団の奥側に座っていた。サクヤはその反対側。丁度3枚ある座布団の両側に座っている形だ。中央は恐らく俺の席だろう。

 そう思って俺は席に着くべく部屋の中に足を踏みいれる。だがついてきたプレイヤーは誰も動こうとしない。

 そんな彼らに声を掛けようとしたところで一足早く屋敷の主たる師匠が口を開いた。


「皆様ようこそ。我が屋敷へ。良ければそこへお座り下さい」


 そう言ってマーレ達に手振りで自分の正面に用意された座布団に座ることを促す。それにしても緊張しているのか妙に静かだな……。

 師匠に促されて全員が人数分並べられた座布団に座る。緊張からか非常に動きがぎこちない。そんな様子を眺めていた俺も彼らの対面の師匠とサクヤの間に腰を下ろした。


 全員が腰を下ろしたところでマーレが口火を切る。恐らく俺という接点があるからこそ他のプレイヤーより動きやすかったのだろう。

 ちなみにアースは動けていない。なぜかというと師匠がとても美人だから。こいつ意外と初心だからなぁ。


「えっと、まずは屋敷の一室を貸していただきありがとうございます。その……」

「シズカです」

「シズカさん。私はそこにいるシュンの幼馴染でマーレといいます。こっちで固まっているのが同じく幼馴染のアース。防衛戦の時は助けていただきありがとうございました」

 

 そう言ってマーレは頭を下げる。それに合わせて他のプレイヤーも慌てたように頭を下げる。


「お礼を言われるようなことはしていません。私も弟子を助けたかった。そのことに助力していただけたのですからお礼を言うのは私の方です」


 当事者としては流石に少し気恥ずかしい。だけどお礼を言うなら俺が先にしないとだろう。


「いやそれ以前に助けてもらったの俺です。遅くなりましたが師匠も皆さんも助けていただきありがとうございます」


 俺もサクヤと深く頭を下げる。だがこれで少しだけ空気が緩んだ気がする。

 だからというわけではないだろうがマーレ達と共に来た金髪の男が口を開いた。


「いやあの時はこちらもかなり危なかった。正直あの時君があの鬼を倒して居なかったら間違いなく僕たちは敗北していたと思う。だからあまり気にしないでくれ」

「そう言っていただけるとありがたいです。えっと……」

「ああ僕はクラン:ラウンドテーブルのマスターでアーサーという」


 ラウンドテーブル? それって確か……


「アースの所属してる?」

「そうだよ? アースは僕のクランの副マスターさ」


 なるほど。アースの言ってた連れてきたい人って言うのはこの人の事か。

 すると今度はアーサーの隣に座っていた猫獣人の人が声を上げる。


「まずは自己紹介からしないかにゃ? 私達と彼は初対面にゃんだからまずは親睦を深めるにゃ! 私はクラン:知識の泉のマスターのにゃん娘にゃ! よろしく頼むにゃ!」

「ん?」


 なんか聞き覚えがあるような? それって……


「マーレが俺の情報を売った所か?」

「おお! 知ってくれてたんにゃね! そうにゃ! あの情報はとても良い情報だったにゃ。今回もいろいろ聞かせて貰えるってことでマーレに無理を言って参加させてもらったにゃ。言って良い範囲でいろいろ聞かせてくれると嬉しいにゃ! もちろん報酬はきちんと払うし、今プレイヤー間で起こってる騒ぎも責任もって静かにさせるにゃよ?」

「わかりました。よろしくお願いします」


 やっぱりか。まだマーレから渡されていないが確か200万も出してくれたんだよな? 結構インパクトが強かったから覚えてる。

 それにリアルでマーレが言ってた騒ぎの鎮静もここでやってもらえるなら幾らでも俺はしゃべるぞ?

 すると次はマーレの横に座っていた綺麗な女性が口を開く。


「次は私ね。名前はヒルド。マーレの所属するクラン:ワルキューレのマスターをしているわ。君のことはマーレからよく話を聞かせてもらってる。今後なにか困ったことがあったら相談してね? 力になるから」

「よろしくお願いします」


 そして最後に一番端の方に座っていたドワーフかな?が口を開いた。


「儂はクラン:シャッフェンのマスター、ガンテツじゃ! よろしく頼むぞい!」

「よろしくお願いします」

「ちなみにこの4クランがトップクランと言われるクランにゃ」


 そうなのか……。つまりマーレとアースはそんなクランの一員ということか? 道理で俺を助けるためにいろいろできるわけだ。

 ともあれ後は俺達かな?


「俺はシュンと言います。アースとマーレの幼馴染です。こっちは俺が契約した召喚モンスターのサクヤ」

「サクヤです。よろしくお願いします」

「それでこっちが……」

「シズカです。この屋敷の主でシュンさんにはある流派の技を教えています。よろしくお願いしますね」


 全員の自己紹介が済んだところで本題に入る。長くなりそうだな……

 


「それで俺にあの鬼について聞きたいとマーレから聞いているのですが……?」

「それもあるにゃ。だけどそれ以上に私たちはシュン自身のことが気になってこうして押しかけさせてもらったのにゃ!」

「俺の事?」

「そうにゃ。映像でシュンの戦いは見させてもらったにゃ。私達にはどうやってもできないような戦闘だったにゃ。どうすればあれほどの動きができるようににゃるのか。私たちの聞きたいことの一つはそれにゃ」


 あ~。そういえばマーレも言ってたっけ……。自分のとんでもなさを自覚しろって。

 でもこのゲームはあれくらいできる物じゃないのか?


「それ以外にも聞きたいことは山ほどあるにゃ。でも話したくないことまで詮索するのは良く無い事にゃ。にゃから私達から気になることを聞いていくから答えられることだけでいいから答えて貰えると嬉しいのにゃ。報酬はキチンと払うにゃし、強さのヒントだけでも有れば私達が責任持って他のプレイヤーを大人しくさせるにゃ! 他の3クランも協力してくれるにゃからまず間違いないにゃ!」


 トップクラン総出で騒ぎの鎮静に助力してくれるってことか? それは心強いな! というかだからマーレ達はこの人たちを同行させたかったのかもな……。


「わかりました。答えられることにはお答えします」


 その後は全員から質問攻めだった。鬼のことはもちろん俺自身の事にサクヤの事、師匠との関係。そして俺のスキルの事。

 それに俺は自身の考察を交えて一つ一つ説明していく。途中面倒になって自身のステータスを開示したり、マーレとアースが見たがっていた俺のプレイ動画を見せたりして説明していく。

 俺の話を聞くたびに彼らは驚き、不思議がりと百面相。

 見ていて非常に面白い。だけどそんなに驚くようなことはしていないと思うんだけどな?


「つまりシュンは感覚補正にモーションアシストなしのレア種族、レア職業でそこのサクヤちゃんが契約モンスターで元ゴブリンでそこのシュンが師匠と呼ぶ女性が鍛えてくれて……にゃあああぁぁ! 情報過多にゃ!」


 あっ。にゃん娘が壊れた。


「はぁっ。はぁっ。ともかくシュンが私達とはもはや別ゲーをやってることはわかったにゃ」


 別ゲーって……。同じゲームだぞ?


「それくらいシュンのプレイが私達とは違うってことよ」


 俺が憮然とした表情をしていると笑いを耐えながら俺の肩を叩きマーレがそうフォローしてくる。

 そうしていると先ほどから真面目な顔をして何かを考え込んでいたアーサーが俺に顔を向けた。


「なあシュン君。もしよければ僕とPVPをしてくれないか?」


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