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INFINITY STORY'S ONLINE  作者: 藤花 藤花
第1章 始まりの町と復讐鬼の軍勢
32/78

第31話 その後…。通学路での一時

 【オラグランデ】を倒した俺達はあの後そのまま町へと帰還した。とは言っても俺はその時の事はあまりよく覚えていない。

 なぜなら俺は無茶を重ねたことでぶっ倒れ屋敷に気絶したまま師匠によって運ばれたからだ。

 なんでも周囲でゴブリンをけん制してたプレイヤーに声を掛けた後、俺を背負ってゴブリンを振り切ってきたらしい。

 屋敷の布団の上で目を覚まし、全身筋肉痛みたいな痛みと倦怠感で布団から出ることもできず、ステータスを確認すると軒並み減少していた。しばらく痛みに呻いていたんだが結局痛みに耐えかねてログアウト。

 衰弱なんて状態異常があるとは知らなかった。しかもゲーム時間でだが20時間。

 後から聞いた話だが死に戻りした時にこの状態異常が付与されるらしい。

 ……普通なら感覚補正で痛みは感じないんだが俺の場合は補正なしのために痛みに呻くことになったということだ。死ねない理由が増えた。

 それにしてもあの時の俺はどんだけ無茶してたんだ?

 

 まあそれはともかくログアウト後現実に戻って来た俺だが完全に疲れ切っていたためそのままベッドで熟睡。

 気づくと朝でした。

 

 俺は疲れ切った身体を引きずって通学のため家を出る。

 すると丁度葵が家から出てくるところだった。

 今日はいつもより通学時間が早いな。

 向こうも俺に気づいたようで挨拶してくる。


「おはよう。春樹!」

「葵、おはよう」


 挨拶を交わして2人一緒に学校へ向かって歩き出す。そしてすぐに葵が昨日のゲームのことについて質問してきた。


「ねぇ春樹昨日の事なんだけど……」

「ああ、葵昨日はサンキューな! おかげで助かった」

「ああ、うん、それはいいの。無事ならそれで……。大丈夫なのよね?」

「ああ。ちょっと無理したからぶっ倒れたけどそれほど大事はない」

「それならいいわ。それでなんだけど春樹が戦ってたあの鬼のことについて聞きたいの」


 鬼……あいつの事か。もしかしてそのために早く出て来たのか? 待ち構えてた?


「別に構わないぞ?」


 俺はあいつのことを説明する。名前に能力最後は師匠の力を借りて倒したことなどだ。

 葵は真剣な顔をして俺の話を聞いている。本当にゲームに関してだけは真面目な奴だな。

 

 そういえば、


「なんで葵があいつのこと知ってるんだ?」


 俺とあいつが戦っている時近くには誰もいなかったはずだよな?


「それはこれが理由よ」


 そう言って葵は愛用の携帯端末を懐から取り出して操作する。

 しばらくして見せて来たのは一つの動画だった。

 葵は画面の中央をタップし動画を再生する。

 そこには俺がサクヤとゴブリンに囲まれているところから師匠達と共にオウガを倒すところまでが映っていた。

 

「えっ? なんだこれ? 動画? こんなのいつ撮られてたんだ?」

「やっぱり気づいてなかったのね? これを撮ったのは春樹よ?」

「はっ?」


 俺が? なんで? いつ?


「春樹はISOで動画を撮ってたでしょう?」

「ああ」

「あれにはライブ……つまり動画サイトで言う配信みたいな機能がついてるの。この動画はその機能を使って春樹が配信したものなのよ」

「…………」


 あ~マジか。そういえばメールを送る時に操作をミスった記憶がある。慌てていたから後回しにしていたがこんなことになっていたとは……。


「そんなわけで春樹の戦闘は下手をしたらあのゲームをやっているプレイヤーどころか掲示板を見たあのゲームをやっていない人にまで見られていたってことなの」

「…………」


 絶句する。まさかあの時の操作ミスがこんなことになるとは……。


「その証拠にほら」


 葵が動画の右端を指差す。そこには万単位の数字が書かれていた。しかも現在進行形で増えてる?

 嫌な予感がする。


「これは?」

「これはこの動画を見た人の数よ」


 ってことは万単位の人間がこの動画を見てると……。もう言葉もないよ。


「それで本題、というかこの話をした理由なんだけどこの動画の件で今ゲームの中がかなり騒ぎになっているのよ」

「騒ぎ?」

「ええ。幾つか理由があるんだけど一つはあの鬼の事。春樹が鬼を倒した後ゴブリン達の黒い靄が消えたの。もちろん強さが変わったわけでもないし、数が減ったわけでもないんだけど、延々と湧き出ていたゴブリンが増えなくなったのよね。恐らくあの鬼が原因だったんだと思う。春樹があの鬼を倒してくれたから、春樹が落ちた後は戦えるプレイヤー総出でゴブリン駆除になったわ。経験値的にはかなりおいしかったからそこに文句を言うプレイヤーは居なかったけどね? で、ゴブリン駆除についてはそれでいいとして、シュンが原因らしきあの鬼を倒したことに嫉妬して騒いでいたのが少し」

「少し?」


 意外だな。以前葵たちから聞いた話ではゲーマーの嫉妬はもっとこうひどいものだと聞いていたんだが。


「それについては今は法律での規制もある程度できているし、このゲームのトッププレイヤー達は良識があるタイプが多いからね。大抵のプレイヤーはトップに倣う人が多いからトップがまともならそこまでひどい事にはならないわ。まあ今回は全体の人数が少ないからこれで済んだけどこれから先プレイヤーの数が増えるとどうなるかはわからないわ」


 なるほど。葵たちが以前していた話はまだ法整備があまりできてない上にトップに良識があまりないゲームの話だったのかな?


「そんなわけで鬼をシュンが倒したことを騒いでい()のは一部の跳ねっ返りくらいなの。具体的には春樹のことをチート扱いして騒いでるのがいたのよ」

「チートねぇ」


 チート。ズルのことだったか?


「ただそいつらに関してもあまり心配はいらないわ」

「なんでだ?」

「……私がゴブリンを虐めて楽しんでいるプレイヤーがいるって話したの覚えてる?」

「そういえば言ってたな?」


 確か昨日だったか?サクヤのこともあって不愉快だったから気にしないようにしてた。


「今回のイベントクエストの原因がそいつら」

「……はい?」


 えっ? 原因、プレイヤー? あいつと戦っているときに流れ込んできたヴィジョンで見たのはあの世界での人との話だと思ってた。


「つまりなんだ? そいつらがゴブリンを虐めたことがあのゴブリンの軍勢に繋がったと?」

「そういうことよ」

「でもなんでわかったんだ?」

「実はね?」


 なんでも今回のクエストの内容は俺は戦闘中で確認できてなかったが、軍勢の発生原因をプレイヤーの力で探さなければならなかったそうだ。

 町を防衛しながら、原因を発見し、排除するまでがこのクエストの内容だ。

 とはいえ原因を掴むのはそれほど難しいものではなかったらしいが。

 出現したゴブリンの名前を見れば一体何が原因だったのかくらい簡単に想像できるし、その上で調べればすぐに原因に突き当たる。なんとあの鬼が出現する瞬間を目撃したプレイヤーがいた。

 出現というか変異だが。件のゴブリンを虐めていたプレイヤーの行動をたまたま居合わせたそのプレイヤーは見ていたのだ。とはいえ絡まれても嫌だったことと後から晒してやろうと思ったこともありこっそり動画を撮りながらだったらしいのだが……。

 ゴブリンを虐めていたプレイヤーは最終的に散々痛めつけたゴブリンを蹴りで吹き飛ばした際に見失う。

 そのゴブリン虐めプレイヤーはそのまま次の得物を探していなくなったがやられたゴブリンはまだ生きていた。

 そして次の瞬間にはあの黒い靄が噴き出てあの鬼に変化していったのだとか。

 隠れてたプレイヤーは腰を抜かしてへたり込み、鬼に殺され死に戻る。

 その殺されたプレイヤーがその情報を動画込みで提供したんだとか。

 

「あのゲームでは死んだNPCは復活しないし、壊れたものは直さない限り戻らない。再ログインしたら全部すっかり元通りなんてことはないのよ」


 確かに最初の利用規約にそんなことも書いてあったな。


「つまりもしあの防衛戦に負けてたらあの町は無くなり、今後安全にログアウトできる場所も買い物ができる場所もなくなるの」


 サバイバルの始まりってか?


「それもあってこのことが知られた……というか情報屋が今後のためにリークした結果そいつらにヘイトが集まっているわけ。で、春樹のことをチート呼ばわりしてたのもそいつらだったのもあって嫉妬とかそっち関連は気にしないでも良くなってるの。チート呼ばわりした奴が身をもってスケープゴートになってくれてるからね? それよりも今騒がれているのは春樹のあの強さの方よ」

「強さ? モーションアシストがあればあれくらいできるんじゃないのか?」

「そんなわけないでしょう!」


 俺の発言に葵が急にいきり立つ。どうしたんだ?


「あの動きははっきり言ってトップクラスのプレイヤーでも再現不可能な動きだったわ。聞く限りあの鬼の力は異常よ。正直トップクラン総出で当たっても勝てたかどうか怪しい。少なくともリリース二日目で出現していいモンスターじゃない」

「そうなのか?」


 他のゲームやプレイヤーを知らないからこんなものだと思っていたんだが違うのか?


「剣士プレイヤーの中で最強格の1人が今の自分にはできないって言ってたから確かだと思う。そんなモンスターに最終的には補助付きとはいえたった1人で立ち向かい勝利する。そんなことができるプレイヤーはいないのよ。春樹はもう少し自分のとんでもなさを自覚しなさい」


 そんなことを言われてもなぁ。


「あれは全部師匠がやってたのを見て覚えた技だぞ? スキルの補助はあったが……。アシストがあるなら普通にできそうなものだが」

「その補助するスキルすら誰もわからなかったの。というかアシストないんだからあれ全部プレイヤースキルよね? どうすればこんな短期間であんなことができるのよ……」


 鬼のような師匠に地獄のような短期集中修行を受ければ?


「それで春樹に相談なんだけど、春樹は今日もログインする?」

「するぞ?」

「なら話せる範囲まででいいから情報を教えてほしいの。そうしたらその情報を他のプレイヤーに流していい範囲で公開して騒ぎを収めるから。それでもうるさいのは私達が盾になってきっちり黙らせるし……ダメかしら?」

「別に構わない。でもいいのか? そんな手間を掛けて貰って?」

「いいのよ。私たちはシュンの情報が聞ける。シュンは面倒ごとから解放される。お互いWinWinよ」

「わかった。それじゃあ……」

「待って。もう学校に着くし長くなりそうだからゲームの中でお願いしていい?」


 ゲームの中で? ああ時間加速があるからか。確かに長話には丁度いいか?


「それとその時に私の知り合いのプレイヤーも一緒にいいかしら? その時に春樹のことをいろいろと教えて?」

「わかった」


 隠し事なんて特にないし。今回師匠の話ではいろいろ助けてくれたらしいからな。

 これでお礼になるなら内緒にすることもない。


「じゃあお願い。私たちに見せる予定の動画もその時にお願いするわ」

「了解だ」

 

 さて何を聞かれることになるんだろうな?

 因みに学校では陸からも同じことをお願いされる俺だった。


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