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INFINITY STORY'S ONLINE  作者: 藤花 藤花
第1章 始まりの町と復讐鬼の軍勢
2/78

第1話 始まりのキャラメイク①

 夏休み開始1週間前の休日。

 きっとこのゲーム「INFINITY STORY'S ONLINE」を手に入れることができたすべての人が待ちに待った日だろう。

 「INFINITY STORY'S ONLINE」の正式稼働日である。

 俺はすでに「INFINITY STORY'S ONLINE」をダウンロードしたVR機通称「ギア」を前に開始時間を待っていた。

 

「10時からだからあと10分か……」


 そうつぶやきながら小説片手にインスタントのコーヒーを飲んでいると、陸から携帯端末に連絡が来た。


「おーす春樹! 準備できてるか?」

「よお陸。大丈夫だ。はじめてだったからちょっと手間取ったけどな」

「ならよかった。このあとだけどキャラメイクが終わったらスタート地点の広場にある噴水のところで待っててくれ! 葵と一緒に迎えに行くからな!」

「了解だ。時間がかかったらすまん」

「それはしょーがない。初めてなんだからな! そんじゃもう時間だから切るわ。向こうで待ってるぞ!」

「おう」


 その言葉を最後に通話が切れる。時計を見ると開始までもうあと数分だ。小説を閉じ、急いで飲みかけのコーヒーを飲み干してから、ギアを被りクーラーの効いた自室でベッドに横になる。


「さて、始めるか。ギア電源をON。「INFINITY STORY'S ONLINE」を開始」


 その俺の言葉にギアが反応し、起動する。

 それと同時に俺の意識は闇の中に落ちていった。

             



 



 目を開けると真っ暗な空間にいた。見渡す限りどこまでも真っ暗で何もない。


「たしかここでキャラメイクをするって陸のやつが言ってたな」


 一応ゲームを始める前に陸にキャラメイクの注意点なんかを俺は確認していた。

 まあなんでも教えたら面白くないとそれほど多くのことは教えて貰えず、最低でも髪や瞳の色と名前を現実(リアル)のものと変えるようにということだけだ。

 まあ俺としてもネタバレされた、物語ほど面白くないものはないと思うのでその辺の配慮はありがたい。

 攻略法がわからないとやらないなんて人もいるらしいが俺はそれよりもまずは自分の知らない場所に飛び込んで挑戦してみたい。人に頼るのはいろいろと足掻いてからでも遅くはないはずだ。

 どんなこともまずは自分でやってみなくちゃな!

 その為、リアルの身バレをしないための対策みたいな本当に最低限の自分の身を守るための注意点以外は特に聞いていない。

 まあ幼馴染達もそんな俺の気質はわかっているので最初に一応聞く? とだけ俺に訊ねてきてそれにはっきりNO! とだけ答えてからは最低限の注意点以外のことは口を噤んでくれている。

 とはいえ今はもうVR法という法律があり、厳しく取り締まられるため身バレしても昔ほど危険はないそうだが……。 

 それでも極稀に恋愛や嫉妬を理由にストーカーや嫌がらせをする奴が出るので念のためにも対策はしておいた方がいいとのこと。

 まあすぐに捕まるらしいけどな!


『ようこそ、物語を紡ぎし者』


 頭の中でそんなことをつらつら考えていると真っ暗な空間に綺麗で柔らかな女性の声が響いた。


「誰だ?」

『私はあなたを私たちの世界へ導くもの。あなたにこの世界での力を託すもの』


 ……なんか雰囲気あるな! すげー! なんかわくわくしてきた!

 ……っと、テンションが上がってしまった。


 ……ゴホン!


 兎も角この声に従ってキャラクタークリエイトをすればいいんだよな?


『それではまずあなたのこの世界での肉体を作るのですが、私からの助言は必要ですか?』

「? それはどういう?」

『あなたがた来訪者の中には助言されることを煩わしく感じる方もいらっしゃるようですので最初に確認しております。必要ないのであればここからは口出しを控えさせていただきます』


 なるほど。自分で好き勝手作りたい人とかスタートダッシュのために急ぎたい人なんかは鬱陶しがりそうだな。


「いや俺はこういうのは初めてなので、できれば助言をお願いしたいです」

『わかりました。それではわからないことがあれば都度ご質問ください。改めて肉体の作成を開始します』


 その言葉とともに目の前に現実の俺そっくりなアバターが姿を現す。


「おお!? リアルの俺とそっくりだ!」

『初期設定としてあなたの現実の肉体をそのまま反映しています。髪、顔立ち、体格すべて自由に変更が可能ですが、この後に行う種族選択の内容によっては容姿が一部変更される可能性があるためご注意ください』

「わかりました。どうやって変えれば?」

『肉体の変えたい個所に触れてみてください』


 教わった通り試しにアバターの髪に触れてみる。すると髪色や髪型といった項目が書かれたウィンドウコンソールが浮かんできた。


「なるほど。この中から選べばいいんですね?」

『その通りです。それともう一つ、イメージキャラクリエイト機能というものがあります』

「イメージキャラクリエイト機能?」

『はい。髪色や体格など変更した自身の姿を明確にイメージすることでこちらでの肉体に反映することが可能です』


 そんな機能、今まで聞いたことがないぞ。さすが最新技術の結晶!


「そんなことができるんですか?」

『はい。この方法であれば私たちが用意した変更項目以外の容姿の変更も可能となります』

「すごい!」


 正直こんな機能があるならコンソールでの変更機能なんていらなくないか?


『ですがこの機能についてはあまりおすすめしておりません』

「? なんでです? かなり便利な機能だと思うんですけど?」

『簡単です。この機能は扱いがとても難しいのです』

「難しい?」

『はい。この機能でのキャラ作成では細部にわたって明確で正確なイメージが必要になります。少しでも曖昧な部分があれば反映される内容もいびつなものになってしまうのです。現在約600名の方がキャラクリエイトを終えられており、その内約500名の方が挑戦いたしましたが、上手くできた方は一人もおりません』


 ……そんなに難しいものなのだろうか?日本人なら一定数かっこいい理想の自分みたいなものを妄想したことがあると思うし、日本人の持つ想像力なんかは相当なものがあるんじゃないかと思うんだが……(偏見)。

 

 というか、もうすでに600人もキャラクリエイト終わってるんだ?初回販売が確か1000本だから6割……。

 ……早すぎね?まだ10分くらいしか経ってないぞ!

 こりゃもう陸たちもキャラクリエイト終わっているかもな……。

           閑話休題


「うーん。そんなに難しいのか……」

『容姿を初期の状態に戻すことも可能ですので一度試しにやってみたらいかがでしょう?』


 確かに論より証拠だ。簡単に元に戻せるのなら一度試しにやってみるか。


「それじゃあやり方を教えてもらってもいいですか?」

『わかりました。とはいってもやり方はそれほどむずかしくはありません。仮の肉体に手をかざしてなりたい自分の姿をイメージしてみてください』


 言われた通りアバターに手をかざし、目をつぶりイメージする。

 俺のなりたい姿。なりたい自分。俺はこの世界でどんな自分でありたい?

 思い起こすのは今まで読んできたたくさんの物語。たくさんの英雄達の姿。剣を持ち、盾をかざし、人を癒し、魔を従える。だが俺は俺だ。英雄じゃない。英雄じゃないこの世界の俺はまだ真っ白だ。そう考えたとき頭をよぎったのは真っ白な俺の姿で……


『これは!?』


 ……目を開く。

 そこにはこの世界の()がいた。

 身長はリアルから少し伸びて170㎝前後。もともと童顔気味な顔立ちはほんの少し大人っぽさが混じり、数年後の成長した自分はこんな感じかもしれないと思わせる。

 髪型もリアルと同じナチュラルショートだ。あと変わったところは……。


「まっしろだ……」


 視線を頭部に向けながらつぶやく。そう日本人らしい黒髪は雪のような白になっていた。よく見ると角度によってほんの少し青く見えるから純白ではないみたいだな。瞳の色はきれいな天色(あまいろ)


「まあ想像通り、かな?」


 リアルの自分をほんの少し変えただけといった感じだがいい感じだな。とはいえわざわざ最新機能を使わずともよかった気はする。


『……驚きました』

「そうですか? なんていうか殆どリアルと変わっていないと思うんですけど?」

『いいえ。他の方ではこれだけでも出来ておりませんし、そもそもこのような髪や瞳の色は私たちの用意した選択肢の中にはありません』

「そうなんですか?」

『はい。来訪者様は想像力が豊かなのですね!』


 そうなのだろうか?今一ピンとこないな。これがもっと全然別人に変わったのならまだしも変わったのはほんの少しだ。


『それでは次の設定に移ります』

「お願いします」

『まずはステータスと唱えてみてください』

「ステータス!」


 その瞬間目の前に先ほど容姿設定の時に見たようなウィンドウが浮かび上がる。


名前:---  所持金:0 G

種族:--- Lv.-

職業:--- Lv.-


ステータス

HP(体力):30/30 MP(魔力):20/20 KP(気力):20/20

EP(満腹度):100/100


STR:10 VIT:10 INT:10 MND:10 DEX:10 AGI:10

●AP(AbilityPoint):0


JobSkill:--- Lv.-

●JSP(JobSkillPoint):0


▼Skill:---

●SP(SkillPoint):10


▼≪称号≫


「これがステータスか……」

『はい。細かく説明いたしますか?』

「何となくはわかるから簡単にお願いします」

『わかりました。それでは上から順に説明いたします』


 そして10分程かけて簡単な説明を受けた。

 内容を要約すると、

 まずは種族について

 人間、獣人、エルフ、ドワーフ、ハーフリング、魔族の6つの選択肢がある。中でも獣人は更に犬獣人、猫獣人、狐獣人、兎獣人、熊獣人etcと多様に分かれていて、エルフは+ダークエルフがある。

 というか獣人、種類が多くないか?これは開発にケモナーがいるな?

 それぞれの種族は能力値へ成長補正が入り、種族によって補正が入る項目が変わるため自分のプレイスタイルに合わせた種族選択が大切になる。


 次に職業について。これは主に近接系、魔法系、生産系、特殊系の4種類に分かれている。このゲームに存在する職業ははかなり多い。初期職業だけでも何十個と存在する。

 そして職業では種族と同じように能力値に補正が入る他にその職業に対応したスキルが通常Skillとは別にJobSkillとして手に入る。

 例えば剣士になればJobSkillとして剣術が自動で取得される。

 このJobSkill、通常のSkillと何が違うかというとまず成長率が違う。そもそもこのJobSkillに設定されたSkillの殆どは通常Skillでも取得可能だ。だが例えばJobSkillとして取得された剣術と通常Skillで取得した剣術ではJobSkillの方が技の威力が上がり消費が少なくなる。ただしどちらもスキルレベルが上がった際に手に入る「アーツ」の内容は変わらない。

 わかりやすいかはわからないがJobSkillは得意技能、通常Skillはただの?身に着けた技能みたいな感じだ。

 

 そしてもう一つJobSkillと通常Skillは大きな違いがある。それはJobSkillではSkillPointではなくJobSkillPointを使って進化などを行うことだ。

 この「など」が重要で通常Skillでは条件を満たしたSkillを進化させたり、Skillを取得する際にSkillPointを使用するのに対し、JobSkillは進化の他にSkillをレベルアップした際に手に入るアーツを強化することができるのだ。

 通常Skillはゲーム内での行動やクエスト報酬、称号取得の際にも取得できる。SkillPointを温存したいのであればがんばって自力での入手を考えたほうがいいだろう。

 Pointも両方、スキルレベルが上がった際とクエスト報酬や称号を取得した際に手に入る。


 説明終わり!

 

 と、言うことらしい。簡単な説明のはずなのに正直思った以上に内容が厚い。このゲーム俺みたいな初心者にはかなり難易度高くないか?

 

 ……うだうだ考えていても仕方がない。設定していくか!


 まず名前は陸の奴が本名そのままはダメだって言ってたから、ちょっともじって「シュン」でいいかな?

 種族は……正直迷う。どんなプレイスタイルでやっていくかなんて全く考えてなかったからな。剣も使ってみたいし、魔法にも憧れるし……。


「うーん、どうしようかな?」


 悩みながら種族と職業を眺める。このあと初期Skillも決めなくてはいけないため早めに決めたいんだが……。

 すでに30分近く経ってるし、陸たちも待たせているだろうからな。適当に種族の項目を下へスクロールしていく。するとさっきまで気づかなかった項目があった。


「ランダム?」


 ランダムってことは種族を適当に決めるってことか? 職業の方も調べてみると項目の一番下にランダムの項目がある。


『ランダムは文字通りシステムが自動で種族、職業を決めるものです。極低確率ではありますが、選択肢にない種族、職業になることもあります。ただし一度選択したら変更はできませんのでご注意ください』


 なるほど。かなりギャンブル性が高いな。種族と職業がかみ合わないものになったら悲惨なことになりそうだ。

 

「でも正直これってのが思いつかないんだよな」


 もうすでに大分時間を食ってる。陸は時間が掛かってもいいと言ってたけどあまり長くなるのは申し訳ない。


「決めた!」


 そう言いながら両方ともランダムを選択する。すると再度確認のコマンドが出てきて……。


『それで本当によろしいのですか?』


 心配そうな声で案内人にも再確認される。


「はい。これといったものも思いつかないし、なにか面白いものになれるかもしれないから」

『わかりました。それではランダムで種族、職業を決定いたします』


 するとドラムロールの音が響き種族、職業の欄がグルグルとスロットみたいに回転し始める。


『ストップの言葉とともに回転が止まります』

「ストップ!」


 そう言って即座に回転を止めた。


『早いですね?』

「こういうのは時間をかけてもしょうがないですから」

『……確かにそうですね。それではステータスをご確認ください』


 そうどこか苦笑しているかのような声音でステータスを見るように促される。

 

名前:シュン  所持金:0 G

種族:幼竜人 Lv.1

職業:召喚術士 Lv.1


ステータス

HP(体力):60/60 MP(魔力):60/60 KP(気力):40/40

EP(満腹度):100/100


STR:15 VIT:20 INT:5 MND:30 DEX:10 AGI:10

●AP(AbilityPoint):0


▼JobSkill:召喚術 Lv.1

●JSP(JobSkillPoint):0


▼Skill:---

●SP(SkillPoint):10


▼≪称号≫


「幼竜人に召喚術士?」

『レア種族、レア職業の当選おめでとうございます!』


 え? レア? 両方とも? 極低確率どこいった?


「えっと……ありがとう」


 とはいえまだ先は長そうだな。大変だけどもうひと踏ん張り頑張ろう!



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― 新着の感想 ―
[良い点] テンポがよく読みやすいです。今のところまさに王道っていう感じがしてワクワクしています。 [気になる点] 「JobSkillの方が技の威力や消費が少なくなる。」 得意スキルということで消費が…
[一言] 想像力豊かなんですね!が煽りに見えて仕方がない。 心が汚れてる証拠か... 想像力がwww豊かなwんwでwすwねwwww 想像力が豊かなんですね^^
[一言] 初回千人? アルファテストかな。
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