第16話 神通流会得!
━Side シュン ━
サクヤが道場に入って30分程立っただろうか? じりじりと2人が出てくるのを待つ。やきもきするな……。
サクヤも俺を待ってる間はこんな気持ちだったのか?
そんな感じでいい加減焦れてきたところで道場の戸が開き、中から2人が揃って外に出て来た。
急いでサクヤに近寄る。
特にケガとかはしてなさそうだな……。いや回復してたらわからないが。
「主様!」
サクヤは近づいてくる俺を見て満面の笑みを浮かべている。……なんかこの顔を見るだけで結果がわかるな!
「サクヤ! 大丈夫だったか?」
「はい! 問題ありません! 無事に合格いたしました!」
ほらな? まあ今はきちんと祝ってやらないと!
サクヤの頭を撫で祝福する。
「そうか! おめでとう! これで2人揃って教えて貰えるな!」
「はい!」
2人で合格を喜び合う。何とかなって良かった。もしダメならまたなにか手段を模索しないといけなくなっていたからな!
「仲がよろしいですね」
サクヤと喜び合っていると俺達の様子を微笑みながら見ていたシズカが話しかけてきた。
「あっ! すみません、シズカさん」
しまった。シズカさんのことを忘れていた。
「今、私のことを忘れていましたね?」
表情に出てしまっていたか? ジト目で俺のことを睨んでくる彼女からそっと目を逸らす。
「そんなことありませんよ?」
「そうですか?」
白々しかったか? だがひとまず俺のことは流すことにしたようで一つ溜息をついて表情を改めた。
「2人とも私の試しは合格です」
シズカさんがそう言った瞬間クエストボードが開いた。
■《修行クエスト》極みの道 ■
《内容》
▼紹介状を持って、町はずれの屋敷に住む者に会いに行け! CLEAR‼
▼屋敷に住む女の試しを受けろ。CLEAR‼
《報酬》【Skill:神通流派刀術】入手‼
▼神通流派継承者 シズカの教えを受けろ!
【神通流派継承者 シズカの試しを従魔と共に乗り越えた。彼女を師と仰ぎ従魔と共に神通流の教えを受けろ! (期限:無期限)】
《報酬》【神通流派刀術のアーツ使用に必要となるSkill】
■≪AS:神通流派刀術Lv.1≫を覚えました!■
【≪AS:神通流派刀術Lv.1≫に≪AS:刀術Lv.1≫は統合されます】
■≪称号≫神通流派段位・切紙を獲得しました!■
■ AS:神通流派刀術 Lv.1 ■
≪所持アーツ≫
【一閃】 熟練度:0
▼刀を素早く振るい敵を切り裂く。
・消費KP:5 ・CT:5秒
神通流派刀術:火の型 一番 【烈火】 熟練度:0 (現在使用不可)
▼烈火のごとき3連撃を放つ。その勢いは燃え盛る烈火のごとし! 極めればいかなる守りも破壊して、その身を烈火の中に晒されることになる……かもしれない。神通流派刀術:火の型の基本アーツ。基本にして極み。
・消費KP:15・CT:20秒
神通流派刀術:風の型 一番 【風抜】 熟練度:0 (現在使用不可)
▼風のように素早く捉えどころのない抜き打ちを放つ。極めれば風が身体をすり抜けるかのように防ぐこと叶わない一撃となる……かもしれない。神通流派刀術:風の型の基本アーツ。基本にして極み。
・消費KP:15・CT:20秒
神通流派刀術:水の型 一番 【流水】 熟練度:0 (現在使用不可)
▼相手の攻撃を流麗な足捌きと刀捌きで躱し、受け流す技。極めればどのような攻撃に晒されようとも流れる水のように淀みなく、その攻撃は周囲に流れていくことになる……かもしれない。神通流派刀術:水の型の基本アーツ。基本にして極み。
・消費KP:0・CT:0秒
神通流派刀術:土の型 一番 【堅土】 熟練度:0 (現在使用不可)
▼気力を体に巡らせることで肉体の強度を上げ相手の攻撃を正面から受け止める技。いかなる一撃であろうともただ耐え忍ぶのみ。極めれば堅き大地のごとく堅牢さを示せる……かもしれない。神通流派刀術:土の型の基本アーツ。基本にして極み。
・消費KP:1/秒・CT:0秒
神通流派刀術:陽の型 一番 【陽命】 熟練度:0 (現在使用不可)
▼生命力を活性化させ、循環させることで身体能力を上げる。循環させたHPは技を解除するまで回復しなくなる。HPの消費量を上げることで効力を上げることができる。極めればその命の輝きに追いすがれるものはいなくなる……かもしれない。神通流派刀術:陽の型の基本アーツ。基本にして極み。
・消費HP:10・CT:0秒
神通流派刀術:月の型 一番 【月結】 熟練度:0 (現在使用不可)
▼自身の魔力を変化させ自身の武器、防具に付与する。闇夜を照らす月の光は人の願いに形を与える。極めればいかなるものにもその淡き輝きを届けられる……かもしれない。神通流派刀術:月の型の基本アーツ。基本にして極み。
・消費KP:0・CT:0秒・消費MP:1/秒
■≪称号≫神通流派段位・切紙■
効果:神通流派基本アーツの獲得
《備考》
【神通流派における一番最初の見習いに値する段位。ここからが始まりだ。極みの先はまだ遠い】
よっし! 思わずグッと拳を握る。いやぁホント大変だったな! サクヤに関しては俺にはどうにもできないし、覚悟なんて曖昧なものがCLEAR条件に入ってたから。CLEARできてよかったよ! 凄く嬉しい!
……まあまだ先は長そうだけど。アーツ全部使用不可って……。これ全部使えるようにするのって絶対大変だよな? 条件がわからないからどれくらい大変かは何とも言えないが覚悟はしておいたほうがよさそうだ。
「これで今日からお2人は私の弟子です。私のことは師匠とでも呼んでください」
「「わかりました」」
「はい。それではこれからのことですが……今日はもう遅いです。こちらも準備がありますし、ひとまずは解散とします」
「わかりました。僕たちも宿を取っているのでそちらに帰ります」
それに料理を教わる約束もあるしな。
そのままシズカさん……師匠は俺へと視線を向ける。
「シュンさん。あなたは来訪者ですね?」
「はい」
「来訪者は一度眠るとしばらく起きない上に不定期に眠りと覚醒を繰り返すと聞きます。そのため宿に泊まっていてはあなたの状況を把握しづらいですので、今泊っている宿で取っている部屋の契約が終わり次第、私の屋敷で寝泊まりをしてください。この町にいる間は衣食住面倒を見ますから。……宿代は高くつきますからね?」
おお! これで路頭に迷うことはなくなるな! 今のところ殆どモンスターを倒せないからこれはありがたい。
俺はサクヤと共に師匠に頭を下げて礼を言う。
「ありがとうございます! 宿は1泊で取っているので明日からお世話になります!」
「待っていますね?」
頭を下げる俺達を微笑みながら見つめ、歓迎してくれるシズカさん。頑張って良かった!
「それでは今日のところはこれで解散です。次に目覚めたころには準備も終わっているでしょうからいつでも屋敷に来てください」
「はい!」
「ふふっ。では外に案内しましょう」
師匠に案内され俺たちは再び玄関へと戻ってくる。
「それでは師匠、またお伺いします」
「ええ、また」
2人揃って頭を下げ、師匠の屋敷から辞去する。
空を見上げるといつの間にか綺麗な茜色が見え始めていた。
「主様。今日はこれからラーナさんのところですか?」
「ああ。少し遅くなっちゃったから急いで向かおう!」
「はい!」
サクヤと足早に宿への道を辿る。ここへ来るときは大分時間を使ったが帰りは速い。あっという間に宿に帰り着いた。急いで宿に入り、ラーナさんを探す……必要もなく正面の受付でなにやら作業して居るところを見つけ声を掛けた。
「ラーナさん。今時間良いですか?」
「あっ! シュンさん! おかえりなさい! 時間なら大丈夫ですよ? 料理の件ですよね?」
「はい。今からいいですか?」
「はい! そのために時間は空けていましたから!」
そう言うと振り返って奥の部屋に向かって彼女は声を掛ける。
「おかーさん! シュンさん来たから少しの間受付おねがーい!」
そう奥に(おそらくマーサさんに)声を掛け手元に出していた帳面のようなものをしまう。
するとすぐに奥からマーサさんが出て来た。
「はいはい。シュン、おかえり!」
「ただいまです、マーサさん!」
「それじゃあシュンさん、奥にどうぞ!」
マーサさんと挨拶を交わすが、ゆっくり言葉を交わす間もなくラーナさんに奥に誘われる。その視線はほぼサクヤに向いていた。どうもサクヤと一緒に料理をしたくて気が急いているみたいだ。
マーサさんもそのことはわかっているみたいで苦笑いしながらも特に止めることはない。
ラーナさんに案内されたの宿の厨房だった。宿泊客用の仕込みはもう終わっているようであとは仕上げを残すのみのようだ。
「それじゃあラーナさんお願いします」
「はい! それではお2人にまずこれを!」
その言葉と共に奥から包丁、まな板、小鍋、フライパンがセットになったものを2セット取り出して俺たちに差し出してくる。
「いいんですか?」
「はい! 雑貨屋で普通に売ってるもので、それほど高いものではありませんから。私から2人へプレゼントです!」
満面の笑顔で調理セットを押し付けてくる。が、おそらくふたり……ではないな。視線がサクヤの方にばかり向いている。
なんか疲れたな。……まあもらえるものは貰って置こう。サクヤと一緒にラーナさんから調理セットを貰う。
「ありがたくいただきます」
「ラーナさん! ありがとうございます!」
「いえいえ! それでは早速料理指導を始めましょう! ちなみにこれが私たちの夕飯になりますから、気合を入れてください! 献立は野菜スープとスモールラビットの香草焼きです。まずは……」
ラーナさんの指導はとても丁寧でわかりやすかった。サクヤへのスキンシップが少々多い事以外は何の問題もなかった。
まあサクヤも楽しそうにしているからいいが……。
それにしても調味料が塩とハーブくらいしかないとは思わなかった。変なところでファンタジー小説みたいだな。
少々苦戦しながらも指導を受ける。三人で雑談しながら料理を作り、出来上がったところでインフォが来た。
■≪AS:料理Lv.1≫を覚えました! ■
≪AS:料理Lv.1≫
料理のやり方がわかるようになる。レベルが上がると複雑な調理技術を覚える。
【SW:食事は体の基本! 君もこのスキルで健康な体を手に入れよう! 】
意外と簡単に手に入ったな。
「主様! 料理スキルを覚えました!」
「俺もだ! やったな、サクヤ!」
「シュンさん、サクヤちゃん! おめでとうございます!」
「ありがとうございます。ラーナさんのおかげです!」
「ありがとうございます!」
ラーナさんに2人でお礼を言う。
「いえいえ! これは昼間のお詫びですから! それでは一緒に食べましょう!」
ほんの少し顔を赤くしながらラーナさんは料理を置いた厨房の椅子の一つに座る。変なところでかわいい人だな。
思わず笑いを漏らしながらサクヤと共に席に着く。
「それではいただきましょう!」
三人で作った料理を食べる。……ウサギ肉なんて初めて食べたけど意外と美味いな。塩とハーブだけでここまでの味が出せるとは。塩とハーブと肉の旨味がいい感じにのバランスになってる。
「主様! おいしいですね! こんなの初めて食べました!」
目を輝かせながら料理を食べるサクヤ。……そういえば俺にテイムされるまでは草原で何を食べてたんだかわからないが碌なものを食べられない生活をしてたんだろうな……。
「上手にできましたね! これなら申し分ないと思います」
ラーナさんからもお墨付きが出たなら問題なさそうだな。三人で雑談をしながら食べ進める。
食べ終わったところでいい時間が経っていたため部屋に戻ることにした。
「それじゃラーナさん。今日はありがとうございました。俺たちは部屋に戻りますね」
「いえいえ! 私も楽しかったです! また機会があったら一緒に料理を作りましょう!」
そう約束してサクヤと部屋に戻る。
「それじゃあサクヤ。俺は寝るがサクヤはどうするんだ?」
「はい。私は一度召喚されたら主様が召喚を解除しない限り送還されません。召喚を解除した場合私は主様の中に戻ることになります」
ふむ。じゃあ召喚解除すればいいのか……?
俺がそう考えていると、
「その主様? できれば召喚は解除しないでくれませんか?」
上目遣いに見上げながらサクヤは俺にそうお願いしてきた。
「ん? 別に構わないがどうしてだ?」
「そのできれば私も一緒に主様と寝たいのです。ダメですか?」
……サクヤにそうお願いされたら断れないな。なんで純粋な子供のお願いって断りづらいんだろう?
「わかった。それじゃ寝るか!」
2人で布団に入る。最後にステータスを確認しておくか……。
名前:シュン 所持金:800 G
種族:幼竜人 Lv.1
職業:召喚術士 Lv.1
ステータス
HP(体力):60/60 MP(魔力):48/60 KP(気力):40/40
EP(満腹度):100/100
STR:18(15+3) VIT:20 INT:5 MND:30 DEX:12(10+2) AGI:10
●AP(AbilityPoint):0
▼JobSkill:召喚術 Lv.2
≪所持アーツ≫
【召喚】 熟練度:20
▼契約したモンスターを術者のMPをコストに自分のもとに召喚することができる。召喚は任意に解除できる。召喚中はコストにしたMPは回復しない。(JSPで強化することで機能を拡張することができる)
・現在の必要MP量:最大MPの2割
・現在の同時召喚可能数:1/1
【魔石召喚】 熟練度:0
▼魔石または魔石に類するものを使用してモンスターを召喚する。(JSPで強化することで機能を拡張することができる)
・現在の通常召喚成功率:1%{特定の条件を満たすことで召喚成功率などの変動が可能}
・1日1回まで行うことができる。
【契約】 熟練度:10
▼魔石召喚などで召喚したモンスターまたは出会ったモンスターとMPを消費して契約を結ぶことができる。(JSPで強化することで機能を拡張することができる)
・現在の契約に必要なMP量=契約モンスターのLv.×契約モンスターのRank×10
・現在の通常契約成功率:2%{特定の条件を満たすことで契約成功率などの変動が可能}
▼現在の同時契約可能数:1/3
・契約モンスター
[サクヤ][ー][ー]
【強化】 熟練度:10
▼契約したモンスターまたは契約するモンスターを自身の魔力または魔力を帯びた素材を使うことで強化することができる。強化率、強化内容は強化するモンスターと使用したMP量または素材と術者の願いにより変動する。(JSPで強化することで機能を拡張することができる)
・現在の通常強化成功率:2%{特定の条件を満たすことで契約成功率などの変動が可能}
*入手条件
【契約の際、魔法陣を壊さないように自身の残り魔力の95%以上を注ぐ。】
●JSP(JobSkillPoint):2
▼Skill:≪神通流派刀術Lv.1≫≪NEW≫ ≪魔力操作Lv.1≫ ≪危機察知Lv.2≫ ≪識別Lv.1≫ ≪感応Lv.2≫ ≪料理Lv.1≫≪NEW≫
●SP(SkillPoint):2
装備
≪武器≫
【始まりの刀】
≪防具≫
【始まりの服】【始まりのズボン】
≪アクセサリー≫
【なし】
▼《称号》
【創世神デミウルゲインの興味】【太陽神ソレイユの興味】【月神セレーネの興味】【神通流派段位・切紙】≪NEW≫
少しだけスキルレベルが上がったかな? 殆ど変化がないけど。
ポイントは残しておいた方がいいな。この先いつ必要になるかもわからん。
サクヤのステータスは殆ど変化がないだろうし、あっても俺と同じだから割愛する。
とりあえず今日はこれでログアウトだ。
「サクヤ、おやすみ」
「はい主様。おやすみなさい」
ログアウト操作をすると、意識が遠のき、視界が暗転した。




