第1話 廃墟での出会い
不定期投稿ですが、どうかお付き合いください。
曇天の空、廃墟の街。昼間だが夜の帳に包まれたかの様な街に、いくつもの靴音が響き、迷彩服の軍人達が進む。
「そろそろだな。」
小隊の先頭を歩く茶色掛かった髪色の大人びた見た目の少女、亜梨冴が呟く。他の隊員も何かを察し銃を握り直す。彼女の隊は小走りで壊れた車の後ろに移動してしゃがみ込み、割れた窓枠から銃口を覗かせる。
「来たぞ。」
双眼鏡を目に当てたまま、1人の兵士が味方にだけ聞こえる声で言った。兵士達は目を凝らし、遠くを見つめた。
ひび割れたアスファルトの上を、何かが接近して来る。その何かは、キャタピラと台座、機械で出来た腕、そして短機関銃で構成されていた。
突如、1発の銃声が響く。それを合図に兵士達が一斉に撃ち始める。
不意をつかれた機械達は進軍をやめ、銃撃しながら横に散り始めた。キャタピラの向きを変えている所を兵士達は動力や回路の入った箱を狙い、次々に破壊していく。ふと、亜梨冴が飛び出し、横から攻撃しようとする機械を破壊し、別の建物の陰に隠れる。
「横に回り込ませるな!確実に仕留めろ!」
彼女は大声で叫び、接近してきた機械を銃撃する。放たれる銃弾、壊れる機械。戦いは兵士達の優勢と見れた。しかし、
「ドラグーン出現!総員退避!!」
叫び声が聞こえ、遥か前方を見ると、横一列に並ぶ先程の様な機械。しかし、武装は短機関銃ではなく、大口径の砲身だった。すぐに赤く燃える物体が撃ち出され、亜梨冴は、廃墟の中に駆け込む。倒れた机の後ろに入り、耳を塞いで口を開けた。
数瞬後、爆音が連鎖し、火炎が辺りを包み込んだ。
廃墟の街の中、屋根こそ端材で貼り合わせてあるが、比較的破壊が進んで無い家が一軒。その家のドア代わりのトタンを退け、1人の少女が中に入る。
「ただいま、慈緒理ちゃん。」
背の低い少女、日向は布製の袋を慈緒理と呼ばれた少女に手渡す。
「銃弾、毛布、後は本ね。」
慈緒理は袋の中の物を確認した。彼女らはこの荒廃した街で物々交換と廃墟漁りをして生活している。
「こんな泥棒とか貧乏人みたいなこと、やりたく無いんだけどなぁ。」
「仕方ないでしょ。生きる為なんだから。」
「もっと近くに落としてくれればねぇ。」
「無いものねだりも良く無いわ。」
街はすっかり廃墟になっているが、南の方に行けば街の外部から物資が届くという。しかし、その場所までは遠く、今の様に原型を留めて住居として使える廃墟と出会える可能性も低いので、物々交換で流れてくるのを待つしか無いのだ。
「この本、数年前の受賞作品だ…あ、これ図書館にあった物なんだ。」
志緒理は本を興味深かそうに眺め、そして読み始めた。すると突然、ドア代わりのトタンが乱暴に動かされ、倒れる。驚いて2人がそこを見ると銃を持った少女、亜梨冴が不敵に笑いながら立っていた。
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