71/71
最後に。
知りたくても知れないことがある。
どんなに願っても叶わないことがある。
僕はずっと疑問に感じていた。
その答えはまだ見つからない。
そしてこれからもきっと、全部はわからないまま。
柚木香織という人物の全てを、僕は知らない。
僕が上級生に使われている事を柚木さんは知っていた。
噂では知れない上級生の隠れ家と、求めている食料が何かを知っていた。
それは真夜中の逃走劇。
風間を背負い、追われている時、偶然にも幸秋が僕を助けたこと。
そして上級生と決別し、暴力を振るわれていた時に幸秋はやってきた。
僕は、見えない、偶然に救われている。
それは僕の知らないところで、知らない誰かが何かをしていたから。
だから僕には見ることが出来ない。
きっと、これからも増えていく。
これは彼と彼女の物語。
僕はその二人の間にいた。
ふと思い出す。
三年前、迷子を見つけた。
その子は迷子になったユミちゃんくらいの年齢だった。
お母さんを探している間に僕たちは少し仲良くなった。
お別れの時、その子に好きだと告白された。
名前は確か〝ゆずきさやか〟という名前だった。




