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9話 ▼ねんがんの てんいんを てにいれたぞ

今日から1日置き22時更新にしていこうと思います。

読んでくださっている方ありがとうございます!


 ホァ? やとってって、雇う? 雇用のこと?


 驚いて何も言えず見つめていると、困ったような表情を浮かべられた。

「私には、シルヴィオンから出られない事情があるのだ。出来る限りの手伝いはするが……どうだろうか」

 シルヴィオンから出られない事情かぁ。

 こんな怖いダンジョンから出られないってことは、どこかから逃げ込んできたってことだろうか。

 ……どんな恐ろしい事情なのか想像もつかない。

 けど、これはぼっち脱出のチャンスだ。

 頑張って生きていこうと決めたけど、ずーっと1人はさすがに寂しいなと思ってたところだ。

 それにアズロさんみたいに強そうな人がいれば、ここを文字通り「店」として経営していける、かもしれない。

 私だってレジの中のお金だけで何とかなるとは思っていない。

 一応、頭の中にプランがあったのだ。

 アズロさんがいてくれれば、そのプランをきっと現実に出来る。

 未だ不安そうにこちらを見ているアズロさんを見返して、私はにっこりと笑った。

「ありがとうございます、私としても、ぜひアズロさんを雇わせていただきたいです」

「!では」

「その代わり、と言っては何なんですけど、聞きたいことがあるんです」

 嬉しそうな顔から一転、また不安そうな顔に戻ってしまった。

 ごめんよアズロさん、変なことは聞かないからさ!

「オーマには、冒険者っていたりしますか?」

「……? ああ、いる。ギルドに登録して、護衛をしたり、魔物を倒したりする者のことだ。俺も以前は冒険者だった」

 やっぱりいたー!

 これだけテンプレな世界なら、きっといるだろうって思ったんだ。

 アズロさんも元冒険者なら都合がいい。

「じゃあ、冒険者ってこういうダンジョンにも来たりしますか?」

「そう、だな。ダンジョンの踏破は冒険者の夢のようなものだろう。ダンジョンの魔物が落とすアイテムは質が良いし、それで生計を立てている者もいた」

 完璧……!

 つまり、ここにも来る冒険者はいるってことだ!

「分かりました、ありがとうございます! アズロさんの知識を、うちで活かして下さい」

 笑顔で手を差し出すと、アズロさんはホッとしたように握手してくれた。



 私が考えていたプランは、ずばり「ダンジョン専門宿屋」だ。

 まあ、ここから出られないから専門も何もないんだけど。

 アズロさんがダンジョンに来た時思いついたんだよねー。

 ダンジョンに入った人を遠目で見て判断して、悪い人じゃなさそうなら泊めてあげたり、ポーション売ってあげたりする店にしようかなって。

 もちろん、無理やり泊めたりなんかしないよ! 

 怪我したり、持ち物が足りなくて困ってたりする人だけ。

 あとアズロさんから聞いた話によると、ダンジョン攻略ってのは長丁場になるから、美味しい食事に飢えるんだって。

 うちには冷凍だけどあったかいご飯あるし、その辺も需要あるんじゃないかなって思ってる。


 ん? 1番大事なところ忘れてるって?

 ははー、本棚の禁書のことでしょ?

 実はあれね、パソコンで管理できちゃうみたいなんだ。

 どういうことかって言うと、バックヤードのパソコンで管理者制限をかけると、私以外の人が本を開けなくなっちゃうんだよね。

 アズロさんに手伝ってもらって試してみたら、手に取ることは出来たんだけど、ボンドで貼っつけたみたいにちっとも開かなかった。

 これはもしやと思って、またバックヤードのパソコンからブースのパソコンの設定をいじったら、閲覧制限をかけることができた。

 パソコン、ほんとに便利すぎない……?

 私もうこれがないと生きていけない自信がある。まるで現代っ子だ、ははは。

 見ることができる情報は、ひとまず「ダンジョンで出現する魔物一覧」「当店のお食事一覧」「当店の販売品一覧」の3つにしておいた。

 他に必要なものが出てきたら、おって追加していくってことで。


 魔物一覧はその名の通り、シルヴィオンで出る魔物を調べることが出来るページだ。

 試しに調べてみたらグーグレ先生が出してくれました。有能だなあ……。

 事前にここで対策を練ってれば、無駄な怪我とか苦労をしなくて済むだろうからね。

 図鑑みたいになってて、モンスター名をクリックすると大まかな特徴の説明と写真が一緒に表示される。

 横に1~10で強さのランクも書いてあるから、よっぽど無謀な人じゃない限り参考にしてくれるはずだろう。

 倒すした時どんなアイテムを落とすかも載ってて、レアそうなやつはシルエットだけという、コンプリート欲を誘う仕様だ。

 

 お食事一覧と販売品一覧に載せた料金は、パソコンで相場を調べたあとアズロさんと相談して決めた。

 食事は、ダンジョンの中で温かい物が食べられるってことで相場よりちょっぴり高め。

 シルヴィオンに来るような冒険者は大体腕に覚えがあるから、懐があったかい人が多いってアズロさんが言ってたんだ。

 自分は逃げ込んできたから論外だが、って冗談? も言ってた。ちょっと打ち解けてくれたなあ。

 で、販売品一覧は相場よりちょっとだけ安くしてある。

 変に高くすると足元見るなって怒られそうじゃん?

 冒険者みたいな強い人たちに怒られたら私それだけでショック死できそうだし。

 しかも販売品ってのはポーション水とかドリンクバーの飲み物とか、ほとんどお金がかかってないようなものばっかりだから、安くしてもかなり儲けが出るんだよね。


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