表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/195

【6話】ランディ戦闘訓練開始

 僕が五歳になった丁度その頃、使用人が二人増えたんだ。


 僕は教えてもらっていないが、実際は元々いた使用人が帰って来たって事だ。


 この国の准男爵家は国から二人の使用人が与えられる。

 二人の賃金は国から支払われる。

 二人はダーナス家が六年前に大きな借金をしたために、一時的に凍結状態になって国に出向していた。

 簡単に言うと長期の出稼ぎみたいな物だ。

 そして、借金が完済になって、ダーナス家に戻れる事になった。

 この事実を僕が知ったのは、だいぶ先の話だ。



 二人の内、一人は執事のシープレス、雑務が得意な初老の男性。

 もう一人は傭兵のセナリース、セナリースは実力的には、伯爵家の傭兵になっていてもおかしくないほど、腕のたつ傭兵なんだけど、かなり言葉遣いが悪く、あらゆる貴族に疎まれてきた。

 しかし、貴族の礼儀など気にしない脳筋ロイエンとは、ウマが合うらしく、ロイエンが准男爵になってから、ずっとダーナス家に雇われている。


 僕は、セナリースが来たタイミングで、戦闘訓練を始める事になった。


 初めは、剣の恐さを知ってもらうため、短剣だが本物の剣を使い軽い素振りをする事になった。


 ところが僕が短剣を振りかぶった瞬間、盛大に嘔吐して、意識を失った。


「うおっ!? ボン? 大丈夫かボン! おお~い、旦那ぁ! 突然ボンが吐いてぶっ倒れたぞぉ!」




 気がついたら、僕はベッドに寝かされていた。

 ……そうか、僕は転生しても肉体は、前世同様『クレリック』なんだと実感した。


 前世の僕は、クレリック呪文を使う契約として、数多の神々の中から『自由の暗黒女神カレアス』を選んでいたらしい。

 クレリックとしての縛りは『食べる又は工作目的以外での刃物使用不可』

 カレアスの信徒としての縛りは『食べる目的以外で、同族の未成年の殺害を禁じる』だった。


 今回は、クレリックとしての掟に抵触したっぽい……はぁ、転生してもいろいろ誓約が残ってるなぁ……

 アバン○トラッシュ、使いたかったなぁ……



 ここで、僕は一つ大事な事を失念していた……クレリックの掟に抵触していた事実から、クレリック呪文の使える可能性が残っている事に……



 翌日、僕はめげずに木刀を持って、訓練に挑んだ。

 木刀を振りかぶっても大丈夫だったので安心安心。


 しかし、昨日の件で、ロイエンが心配しまくりだったよ……おかげてロイエンまで訓練に参加する事になってしまった。

 この親バカがっ……


 なんて思っていたら、ロイエンがこんな事を言ってきた。


「ランディ、走り込みと素振りばかりじゃつまらんだろ? その木刀でパパに打ち込みをやってみるか?」


「パパ……良いの? 怪我しない?」

(やったぁストレス解消にロイエンを使える!)


「パパはこう見えても、凄く強いんだぞ……本気で打ち込みなさい」


 そうですか……この身体はまだまだ未成熟だけど本気で行きます……ん?


 木刀を構えたその時、ロイエンに打ち込みたくなるようなスキを見つけましたよ……んふっ、スキ有り!


 ヒュッ……カン!

「うお!?」

 ロイエンは驚いていたが、あっさりと受け止められた。


 あれぇ、結構なスキを見つけたつもりだったんだけどなぁ……おっ? スキ見っけ。


 ヒュンッ……カンッ!

「あぶなっ!」


 ……

 …………


 暫く、ロイエン相手に打ち込んだ……


 しかし、僕の本気で打ち込んだ攻撃は、(ことごと)く受け止められてしまった。

 弱くなったなぁ……


 この様子を見たセナリースが、呆れ半分でロイエンを貶す。

「よう、旦那ぁ……暫く見ないうちに、とんでもなく弱くなったなぁ……はぁ情けない……しかたねぇ、 おいボン! 打ち込みは強えやつとやった方がいいぞ。残念だが、旦那は弱くなったみてぇだ……おれが受けてやるからな」


 ロイエンの木刀を奪い取り、振り回す。

「さあ、来な……だが生半可な攻撃じゃ掠りもしないからな」


 次はセナリースか……おっ左脇付近にスキ見っけ。

「えいっ!」

 ヒュッ……カン!


「なにぃぃぃぃ!?」


 あっ今度は右足……ヒュッ……


「うわっ…………うおっ!?…………ぬぁぁ……何で?…………おお! ……まずっ!…………」


 結局一撃も当てることが出来なかった。

 この二人、強い……いや、僕が弱いんだ……凹むなぁ……


 木刀だから、棍とそんなに変わらないかなぁと思っていたら意外に使い(にく)い。

 そのうち、ロイエンに頼んで、棍にしてもらおう……と考えながら、帰宅した。




 庭先のロイエンルーガとセナリースは、二人で顔を見合わせた。


「なぁ、旦那ぁ……ボンの打撃……速いワケじゃねぇよな?」


「ああ、お前も感じたか……確かに遅い……いや五歳にしては頑張ってる……だが所詮子供の剣速……よそ見しながらでも、余裕で対処出来るはず……はずなんだけどなぁ」


「だけどよぉ、おれと旦那は避ける事も出来ずに、木刀で受ける事を強要された……あんな遅いのに何で避けづらいんだ?」



「「???」」


 暫く二人で考え込んでいた。



 △▲△▲△▲△▲△▲


 アリサは『超』が付くぐらい、僕になついている。


 同い年とは言え、全ての事柄で僕の方が抜きん出ている。(まぁ当たり前だけどな)


 そのせいか、アリサは僕を万能な兄という位置付けで見ているのかもしれない。


 というわけで、アリサは僕が出掛けようとすると、『アリサもいくぅ』か『ランディいっちゃダメぇ』とか言う。


 そんな台詞は、もっと色気のある女性にして欲しい物だ。

 そう、せめてレジーナくらいじゃないとね……


 そんな、アリサも自分であそびに出掛ける時は、一人で出掛ける事も有る。

 特に、近所の女子(もちろん子供)に誘われた時は、独りでほいほい出掛ける。


 まるで『ランディには女の子を紹介なんてさせないよ』と言ってるみたいである。


 そんなで僕が独りになる時に、レジーナの瞳が『キュピーン!』と輝く。


「おぼっちゃま……お願いします」

 と……


 そう……僕は未だに、授乳プレイを強要されていた。

 そんなに、僕の舌技が気に入ったんですか? レジーナさん……一度封印した『ビッチ』の呼称を復活させる必要が有りそうですね。


 でも、楽しいから授乳プレイはしている。

 さらにレジーナは、五年たった今でも、母乳が出る……驚きだ……女体の神秘と言うものだろうか……



 そんなある日、アリサが近所の子達と遊びに出掛けている時に事件は起こった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ