【55話】内政の足掛かり
僕は『メクルカ・シオン』『イルムナ・シオン』の双子兄弟と打ち合わせをしていた。
戦闘以外は遊んでると思ったでしょ? 実は違うのだよ。
僕の浅い考えで、内政チートは既出か現段階で実現不可能なものが多い。
敗因は、僕がうわべしか調べていなかった事だが、出来る事もあるのにも気がついた。
それは、紙製品の応用だ。
まず、薄く丈夫な紙を使い、折り紙を作ること。
しかし現段階では無理だったから、開発を依頼する事にした。
それは、シオン兄弟の親、マスターベ・シオンとの交渉だった。
開発にはお金がかかる、今の僕ではなんにも出来ないからシオン兄弟にパイプ役になって貰った。
しかし名前がウケる、初めて名前をきいた時はお腹がいたくなるまで笑ってしまった。
だって『マ○ターベーション』だもん。
この人の名前も一発で覚えたのだ。
そして、シオンの親に『ハリセン』を試作して見せたら、気に入ってもらえた。
次に、紙の製造過程で余った物を再利用して作った『紙ロープ』これの耐久性は勿論イマイチ。
だけど、縛り上げて放置プレイしたあと自力で脱出出来ることもあって、一部のヘンタイ層に大ヒットしたそうだ。
余り部外者は来ない学院だが、マス○ーベーションは寄付を名目に年に数回来ていた。
その時、険しい顔で言われたことがあったなぁ。
『お前は、何が望みだ?』と。
まあ、いきなりほぼ無償で技術提供? したんだから無理もないけど、僕はこう答えた。
『あの二人が欲しいです。 無理なら僕が将来移動した土地で、あなたの『マスター商会』の支部を建て、それを彼らに任せて欲しい』
そんな交渉は、確約はもらえなかったけど『二人が学院を卒業してから前向きに検討する』って言ってくれた。
その言葉を鵜呑みにはしないが、嫌な気配は感じなかったから、検討くらいはするだろう。
◆◇◆◇◆◇◆◇
今、食堂の長テーブルの前に座っている。
レジーナ裏料理長が作ったランチを、待っているんだ。
何故『裏料理長』かって?
それは、レジーナが低学年用食堂と、高学年用食堂の料理長を落としたからだ。
しかも、巨乳でたらしこんだのじゃなく、料理の腕でだ。
レジーナには独特の発想力はないが、食べた物を真似して、改良する技が天才的だった。
って事で、レジーナはビッチじゃなくなってしまった。
ホッとしたような、残念なような……
「あなた、スペシャル愛妻ランチをお持ちしましたわ」
「…………」
僕はどこを突っ込めばいい? 『あなた』それとも『愛妻』か?
「どうかしました、あ・な・た」
「僕はまだ、結婚してません。 それにまだ子供」
厨房から『お前が子供を語るなぁ! この小さい悪魔がっ』と聞こえたけど、知らんぷりしよう、ってあいつら地獄耳?
「ふふっ、今の内に練習しておきませんと、本番では緊張しますわよ?」
「いや、絶対ない。 てか本番てなんだ? しかも僕は誰とも結婚とかしませんから」
僕はいずれ、この世界からいなくなってしまうからね。
「ふふっ、そんな事を言ってるのも、今の内ですよ。 これを食べたら考えが変わります。 ふふっ」
(グフフ、ぼっちゃまの心を掴むには、まず胃袋と舌を鷲掴みにしないと、グフフ)
おおい! この愛妻ランチには媚薬でも入ってんのか?
今日は、ライトキュアもシリアスキュアも覚えてるから大丈夫か。
じゃ、食べますか。
「頂きます…………うまっ、美味しいです」
いや、スゲーなレジーナは、この種類の少ない調味料で、ここまでの味を出すとは。
おっと、説明してなかったね、基本この世界の食物は素で美味い食材が多い。
代わりに、香辛料を含めた調味料の種類が少ない。
そして、この世界で一番量産されている『芋類』『麦』『葉菜類』はあんまし美味しくない。
したがって、食料危機とかになったことは殆どないけど、美味しい食べ物は自然と『貴族』や『金持ち』の一部の人間に集まる仕組みになってる。
その中で、この高等学院は中々良い物が食べられた。
等と考えていたら、レジーナが胸の谷間を強調させて、こちらを覗き込んでいた。
「あなた、どうですか?」
「もぐもぐ、美味い」
これなら、楽勝で店を出せますね。
脳筋ロイエンには、貴族をやめてもらって『定食屋レジーナ』の用心棒をすれば、安心して暮らせるんじゃね?
とりわけ紙製品と食事が、僕の今考える内政の足掛かりだな。
後は、カロリーメ○トで、かなり小銭を稼ぎました。
だが、今は実現が難しいが、クレリック呪文を使えば内政チートを楽に実効出来る手段もあった。
が、それはもう少し成長してから話そう。
今回は短いですが、明日続きを投稿いたします。
お知らせ……
レジーナの目標、ランディの性奴隷から、ランディのお嫁さんに、文を柔らかく変更しました。
閑話の台本形式を、徐々に直しています。




