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【5話】ランディ回復魔法を極める

 僕は四歳になった。


 仲間と離れてから、もう四年も経つ……今さら焦ってもしょうがない……いつか権力と財力を手に入れて仲間を探す手掛かりとしよう。


 さしあたってやることは、この世界の様々な事を学ぶ、そして魔力総量の底上げだな……頑張ろう。


 頃頭の中では何度も父親のことをロイエンと呼んでいるのだが実際は『パパ』と呼んでいる。

 一度『父さん』と呼んだら、もの凄く悲しい顔をされた。

 親バカ二級の称号をプレゼントしよう。



 あと、僕の家が貧しいと思われる理由も分かってしまった。


 ロイエンは親バカで、さらに脳筋だったのだ……悪い


 年貢に帳簿はつけない、農民の要望の内、難しそうな案件は放置、『今年は収穫が悪く……』と言われれば、ろくに調べもしないで減税。


 僕からみれば、地主失格レベルのアホさだった。

 しかし、そんなロイエンにも良いところが有る。

 それは獣害に対する動きの良さについてだった。


 この、村の獣害の主な生物は『モグラ』『イノシシ』『クマ』だ。

 そのイノシシとクマの出現を聞くと、ロイエンは迅速に動き対処する。


 この付近のクマは、リトルベアーと言われる全長二メートちょいの、そう強くないクマだ。

 それでも、農民にとって、命を脅かす驚異には変わり無い。


 ロイエンはそんなクマを単独で立ち向かい、倒してしまう。

 土地管理に無能なロイエンだが、大半の農民には慕われていた。



 ▲△▲△▲△▲△



 今の僕は『エクスヒーリング』ごときでは、魔力枯渇のサインが、なかなか出なくなってきていた。


 毎晩毎晩自分の指を、五十回以上も折るのは面倒になったよ……『エクスヒーリング』以上の回復魔法を身に付けねば……



 ある日、ロイエンが暇そうにしているのを見計らって、頼んでみた。


「パパ。ジジィの所に見学に、行きたい」


 するとロイエンは、

「ランディはもう四歳なんだから、あの人の前で『ジジィ』は止めてくれよ?」


「わかった、ガンバル……」


「あのな……頑張らなくても、出来るだろうに……」


「わかった、マキナスジジィだっけ?」


「だからジジィは要らないって……」


「難しいけど、わかった。パパ、急ごう」


「しかし、ランディは熱心だな……そんなに魔法を見るのが好きか? ランディは魔法を覚えたいか?」


 ロイエンは悲しい顔になった。

 そうか、僕はまだ魔法が使えない事になってるんだもんな。


「興味あるだけ……」

 それだけ言っておいた。


「僕、パパと戦闘訓練したい」

 と、おだてたりもしてみた。


 ロイエンは急に嬉しそうな顔をして、

「そうか、ランディそうか……だけどまだ少し早いな……ランディが六歳……いや、ランディなら五歳からでもいけるかもな……それに来年には、彼奴等も戻ってくる……よし、ランディ戦闘訓練は五歳になってからだな、それまで家の周りでたくさん走ってみるといいぞ!」


「パパ、わかった」

 よし、約束したぞ。

 だが、今は回復魔法だ。


 △▲△▲△▲△▲


「おお、久しぶりじゃな……今日は何用だ?」


 このジジィは僕を見たとたん、顔を綻ばせた。

 残念ですが、僕にジジィ属性は無いのだよ……早速本題に入ろう。


「ジジ……マキナス……もっとすごい魔法見に来た……見せて」

 他にも色々とジジィの心を擽る言葉を沢山言ってやった。


「そうか、そうか……ワシの凄さが分かるのか……なら見ておくがいい……ワシの最高回復魔法『グランヒーリング』を………………ところでロイエンルーガじゃったか? あいにく今は怪我人がいない……代わりにお前が怪我人になるのじゃ」


「なんで、オレが……」

 いきなり、酷いことを言われて抗議するロイエン。

 可哀想に……


「この子供のためじゃ、一肌脱いでもよかろ?」


 渋々、自分の腕にナイフを突き刺し、

「回復をお願いします」

 と言っていた……今だ。


 僕はジジィの、背後に移動して、ジジィに触れて、魔法を使うのを待った。


「よし! はぁぁぁぁぁ……グランヒーリング!」


 僕はグランヒーリングの魔力の流れを読み取った。



 この時、マキナスはギョッとした顔で僕を見ていたが、僕は目を瞑っていたから、気づかなかった。


 僕の用事が終わり、帰ることになったけど、ジジィがジロジロと僕を見ている……あれっ? もしかして技を盗んだのバレた? まあ、聞かれたらすっとぼけよう。



 ▲△▲△▲△▲△▲△


 待ちどおしい夜になった。

 日課のごとく、指を折ってから魔力の流れを思い出す……しかし、指折りも慣れてしまったな……痛くない訳じゃ無いが、些細な痛みになってしまったな……あっ魔力の流れを思い出せ、あのジジィの使ったグランヒーリングの魔力の流れを……


 思い出した、魔力の流れを自分の魔力の流れに変換する……よし!

「グランヒーリング」

 僕の折った指は元に戻った。


 ふふふふ……成功した。

 僕って天才?

 ふっ誉めるなよ、照れちゃうじゃないか……



 僕はある仮説を立てた。

 魔力の流れについてなんだが、解りやすく例えると『ヒーリング』の魔力の流れを形に表すなら、螺旋の形状だとしよう。

 すると『エクスヒーリング』は二重螺旋形だ。

 そして今回覚えた『グランヒーリング』は四重螺旋だった。

 そこで、先程立てた仮説は、八重螺旋形の魔力の流れを実行したらどうなるだろうか……


 僕は指をペキッと折ってから、新たな魔力の流れをを構築していく………………魔力の流れを構築し終わった瞬間、頭の中に魔法の呼び名が浮かび上がった。

「アルテミットヒーリング」

 へし折った、指は瞬時に治っていった。


 成功した。

 やっぱり、僕は回復系の天才なんだな……天才で良かった。



 この日、僕は『グランヒーリング』と『アルテミットヒーリング』の二つの魔法を覚えた。


 △▲△▲△▲△▲△▲


 ここ数日で回復魔法の消費量を計算してみた。

『ヒーリング』魔力消費量推定6~10

 枯渇サインは百七十一回使用後。

『エクスヒーリング』魔力消費量推定17~31

 枯渇サインは五十八回使用後。

『グランヒーリング』魔力消費量推定58~102

 枯渇サインは十八回使用後。

『アルテミットヒーリング』魔力消費量不明

 枯渇サインまでの使用は恐いから、五回迄使って止めた。


 なので、今現在僕の魔力総量は最低でも1100は有ると見て良いだろう。


 そして一般人の魔力総量は30~300って話だ。

 これなら、一般人の数倍の魔力総量を持つ魔神のギフト持ちとも渡り合えるだろう。

 数倍って何倍だか知らんけどね。


 そうだ! ここで、僕がレジーナから聞いた、ギフト持ちの正体を教えよう。


 人神からのギフトは反射速度が跳ね上がる。

 龍神からのギフトは総合筋力が跳ね上がる。

 魔神からのギフトは魔力総量が跳ね上がる。


 って事なんだそうだ。

 どのくらい? っ聞いてみたけど、レジーナはおろか、ロイエンに聞いても(まっと)うな答えは出なかった。


 ただ、『ギフト持ち』だからと言って怠けていると、ギフトのないベテラン兵士に敗けるって話だから、万能じゃないよな。


 だから、この国は『ギフト持ち』は無料でどっかの養成所に入れるらしい。


 レジーナとロイエンの話は、片寄りが有るけどためになる。


 クラリスとの接点が殆ど無いのはちょっと残念だけど、いずれこの地を去る身だ……気にしないようにしないと……。



 そして、ランディは自分の運命を、大きく変える切っ掛けとなる、五歳に成長した。


 ※ランディ 五歳

 ※ギフト 無し

 ※魔法の種別 回復系

 ※使用可能魔法『ヒーリング』『エクスヒーリング』『グランヒーリング』『アルテミットヒーリング』

 ※魔力総量 2501


夕方にもう一本投稿します。

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