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【41話】新魔法

 もうすぐ進級の時期になる。


 1年の攻撃魔法コースでは、幾人かの生徒が攻撃魔法を習得出来ずに、ピリピリとしている。

 この学院のルールで、未習得者は退学になるので、当たり前だろう。


 僕はマキナスジジィに、この状況の打破するため、相談に行こうと思っていたら、マキナスジジィの方からやって来た。


「ランディ、攻撃魔法を覚えていない退学目前の生徒らに『ライトニング』を習得させる」


 おおっ、マキナスジジィもついに動いたか。

 でも、何でこんなにギリギリにしたんだろうか聞いてみた。


「それは、ハゲスキーの意向じゃな」


「ハゲジィの? あっ、学院長の意向ですか?」


「ぷっ、そうじゃあのハゲの考えじゃ。この退学が現実になりそうな時に、ランディの発案で『ライトニング』を習得して、退学を免れたらどうなる?」


「えっと、焼肉をおごって貰える?」


「ランディ、お前は頭が良いのに、バカなんだな……まあそこがかわいいのじゃがな」


 じいさんにかわいいと言われても、あんまし嬉しくないんですけど。


「ほほう、かわいいと言われて喜ぶところは、年相応なところもあるんじゃの。 安心したわ。最近はランディのことを新種の化物と言った噂を信じかけていたからのう」


 化物よわばりは馴れているけど、無意識で僕の顔はほころんでいたらしい。

 チョッピリ恥ずかしいな。


「まあ、個人差によるが、一生忘れぬほどの恩を感じる者もいるじゃろうな。ハベンスキーはランディにそれほど入れ込んでるんだ」


「……僕に出来ることは? 」

 髪の毛はヒーリングじゃ治りませんよ?

 だだ真面目な雰囲気を出していたから、口にするのは止めた。


「なあに、もうこれ以上無いほどやらかしてるじゃないか」



 ◇◆◇◆◇◆◇◆



 そして、退学内定状態の1年攻撃魔法コースの30名に、ハゲジィが話をしている。


「これからお前たちに、そこの『ランディ・ダーナス』が発案した新魔法を覚えてもらう」


 集まっていた生徒達は、少し早めの退学宣告かと思い青ざめていたのだが『新魔法』の言葉にざわついていた。


「この新魔法の習得には、特別な資源が要る。 当然量産の、叶わない特殊な資源をお前たちに使うことになる。 その資源もランディが偶然(・・・)発掘したものだ。 ただな……試験段階での魔法の習得率は100パーセントだ」


 さらに、生徒達は騒ぎ出す。


「静かに! この新魔法の学ぶための条件は2つ、1つは、習得後二年間は学院以外に情報は洩らさないこと。もう1つは、発案者のランディに感謝すること。 出来ないようなら、この部屋を出るように」


 ハゲジィの言葉で退室する生徒は1人もいない。

 まあ、そうだよな……この学院は全寮制だから、自分から情報を外部に、洩らす機会は殆どない。

 僕に感謝だって、うわべだけで良いなら簡単だ。



「よし! 全員参加だな。 それでは教えよう新魔法……『ライトニング』を!」



 ~

 この日のイベントが、後に名を轟かす『ランディ電撃隊』誕生の礎になるのだが、それは暫く先の話になる。

 ~


 ◇◆◇◆◇◆◇◆


 僕は『デトックス』って解毒魔法を学習している。


 パルダ先輩から予備知識は貰っているけど、改めて解毒魔法について語ろう。


 解毒魔法は6種類ある。

 6段階じゃなくて、6種類だ。

 古い文献だと、解毒魔法は6種類らしいが、一説によると退化した解毒魔法らしい。


 何故なら、現存する毒に対して6種類の解毒魔法で足りてしまうからだ。


 様々な毒に対して解毒するため種類があり、デトックス『A』から『F』まであるんだって……ネーミングにひねりがないから笑いそうになった。


 解毒魔法の習得法は簡単だ。

 教官が解毒魔法の使用中に解毒対象者に触れ、魔力の流れを読み取るらしい。


 大半の生徒は『A』から『D』の4種類の内1つか3つを覚えるって話だ。

 

 因みにヒーリングと違って、魔力の流れを初回で読めなかった生徒は、それ以降何回試しても読めないらしい。


 そして、魔力流れを完全に読み取ったら『奴隷』をつかって、解毒実習をするんだ。


 因みに『奴隷』の存在は知っていたけど、転生してから一度も見ていなかったんで、この国には奴隷制度はないのかなぁ……なんて思っていた。


 こんど、奴隷制度について聞いてみよう。



 奴隷に毒を飲ませると言っても、教官がいるので解毒率は100パーセントだから、命の危険は皆無だ。



 教官が『毒に犯されていない奴隷』に解毒をかける

 。


 毎回毒を飲ませる訳じゃないんだね。

 なんか安心する。


 今回は、特別にデトックス『E』と『F』に対応した猛毒と、それを解毒できる臨時教官が来ている。


 至れり尽くせりで、とても感謝してます。


 分かりやすく説明すると『デトックスE』『デトックスF』は即効性の猛毒を解毒できる魔法で、扱える者は少ないと言う。


 僕は、それぞれ解毒魔法の使用中に対象者に触れて、魔力の流れを読みとっている。


 教官の話とは違って、魔力の流れは1回で理解できた。


 例えるなら四角い枠の中に、線が1本在るだけの魔力の流れだった。


 デトックスAは『┏ 』

 デトックスBは『 ┓』

 デトックスCは『 ┛』

 デトックスDは『┗ 』

 デトックスEは『 ━ 』

 デトックスFは『 ┃ 』


 僕は全ての解毒魔法を覚えてしまった。


 でも解毒魔法で大事なのは、毒の種類を特定して、正しい解毒魔法を使う事だって話だ。


 なんか、面倒なんだなって思っていたら、僕の頭の中で『ピロリーン』と閃き音が流れた。


 6種類のデトックスをいっぺんに組み合わせた魔力の流れを作れないか……だ。


 僕はイメージする……魔力の流れを……そう、出来てしまった。

 出来上がったイメージは『田』だった。


 イメージが完成すると、頭の中にある言葉が生まれた。

 そう、かつて『アルテミットヒーリング』を覚えた時と同じ現象だ。



 僕は、解毒魔法を使うからと言って、服用する毒をとりあえず四種類貰った。


 僕はその毒を全部自分で飲み込む。

 仕事で来てるとは言え、僕には奴隷に毒を飲ませる事は出来ない。


 別に他の人が飲ませる分には、忌諱を感じないんだけどね。


 僕が毒を数種類まとめて飲んだら事に、マキナスジジイ含め、みんな驚く。


 だけど、僕は気にしない……体調に変化が現れるまで待つ。


 ……

 …………


 来た、かなり気持ち悪い上に苦しい、胃も焼けるようだ……分量間違えたかな?


 だが、これなら効果のほどは、直ぐに実感できるだろう……行くぞ。


「ニュートラライズポイズン」


「んなっ!?」

「「「「ザワザワッ」」」」


 僕は外の声に、気にも止めず自己診断をする。

 解毒成功だ。


「やったよマキナスジジイ! ……あっ」


 僕は嬉しさのあまり、つい素の呼び方を使ってしまったが、マキナスジジイはそれどころじゃないようで、僕の両肩を掴む。


「なんで、お前はそんな大それた事をポンポン産み出しやがるんだ!! どうだ? 顔色は良くなったが、4種の毒は解毒出来たのか?」


 マキナスジジイの剣幕に押され気味だけど、なんとか答える。


「大丈夫です。 たぶん6つのデトックス全ての効果を持ってると思いますよ」


 僕はマキナスジジイに、この解毒魔法に至った経緯を話した。



「そうじゃったか……6つの解毒魔法を扱える者だけが開眼しうる魔法か……何故、その解毒魔法が無くなったか理解できたわい」



 ◇◆◇◆◇◆◇◆



 それから、通日に渡り僕が『モルモット』になった。


 検証実験の結果『ニュートラライズポイズン』の使用魔力は110から130程度と判断され、僕の読み通り、全ての毒を解毒することが出来た。


 ハゲジィは、新魔法誕生の場に居なかった事を今でも後悔していて『次になにかする時は絶対呼べ』と言っていた。



 僕も来週から2年生になる。

 仲間を探すには最低でも第6レベル呪文、出来れば第7レベル呪文が欲しい。


 それまでには、まだまだ時間がかかる。

 それまでに、強くなって、偉くなって、金持ちになって、ロイエンとクラリスに生活に困らない金額を用意しなきゃな。


 そうだ、レジーナとアリサにも小銭を用意しよう。


 この時僕は、胸がチクリと痛んだ。


 なんだこの痛みは……以前にも似たような痛みがあったような……


 まあ、いいか…………




 ※ランディ 10歳

 ※ギフト 暗黒女神の愛

 ※魔法の種別 回復系

 ※使用可能魔法『ヒーリング』『エクスヒーリング』『グランヒーリング』『アルテミットヒーリング』『デトックスA~F』『ニュートラライズポイズン』

 ※魔力総量 4001

 ※クレリック呪文 第1レベル 35回

 ※クレリック呪文 第2レベル 32回

 ※クレリック呪文 第3レベル 28回




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