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【3話】ランディ回復魔法習得する

 自分の身体に、何か説明出来ない感じで、力の流れを感じる……何だろうか?


 目を開けると、父親と母親、メイドのアイシャ、乳母のレジーナと、初めて見る顔のジジィがいた。


「ランディ!」

「「ぼっちゃま!」」

 三人の心配そうな表情から一転、ほっとした顔になった。


 そうか……僕は階段から転げ落ちたんだっけ……よく助かったな。


「ほっほっ……これで大丈夫じゃと思うが、もう一回かけとくかの」

 と言ってジジィは僕の頭に触り、ある言葉を発する。

「ヒーリング」


「んあ~」

(これだ。身体に流れる正体不明の力は)

 これから、これは魔力の流れと言うことにしよう。

 ついでに少しだけ痛かった身体の一部の痛みが、治まった。


 なんか、流れのコツを掴んだぞ。

「あうばんぶ」

(ヒーリング)



 まだ上手く話せないが、ちょっとだけ身体に魔力の流れを感じた……まぁ魔法は失敗したけどね。

 今はまだ、魔法は使えない様だが、そのうち使えるかも知れないな。

 きっちり言葉を発音出来る様になったら、また試そう。


 ▲△▲△▲△▲△



 ついに、ベビースキル『二足歩行』が出来るようになった。

 歩けるって事は、なんと素晴らしい事なんだろうか……

 幸せを噛み締めるように、よちよち歩く。

 日頃から座ったり、つかまり立ちしていたからな……日々の訓練の賜物だ。


 一ヶ月早く生まれた、アリサも僕に触発されたのか唸りながら、つかまり立ちをしている。

 この分ならアリサも、近いうちに伝い歩きが出来るようになるだろう。


 最近のアリサは『ダァ、アダッ』と叫びながら僕を叩いたり髪を引っ張ったりする。


 もちろん大人の知識がある僕には、アリサの行動は敵対行動じゃなく、興味があるから確認行為をしていると理解出来る……出来るんだけど、僕の心許ない髪を引っ張るのは勘弁して欲しい。

 ハゲるのは嫌なのだよ。


 ▲△▲△▲△▲△▲△


 どうやら、僕は一歳になったようだ。

 一歳になったお祝いとして、いろんな豪華な食事を食べる真似をさせられたよ。

 きっと健康に育って欲しいの意味を込めた儀式かなんかだろう。


 この日を境に、一日一回だった離乳食が一日四回になった。

 それでもレジーナの母乳は有りがたく頂いている。


 そして、みんなには内緒にしているが、結構言葉を話せるようになったんだぜ。


 今は、ビックリされないように、

『パパ』『ママ』『ごはん』『う○ち』『ちっこ』『だっこ』『おりる』『あーしゃ(アイシャ)』『ありた(アリサ)』『びっち(レジーナ)』

くらいに留めて、言ってやってる。


 レジーナは何故私だけ『ビッチ』なのかしらと頭を捻っているけど、教えてやんない。


 そして、ある程度言葉が出るようになったから、

 回復魔法の『ヒーリング』を試すことにした。


 寝る前に、家具の角に自分の手を打ち付ける。

 ジンジンと痛みが伴うが、この程度の痛みなど、僕にとって大した事では無い。


 あの時に感じた魔力の流れを思い出し、

「ヒーリング」

 どうだ!


 すると手の痺れはスゥーと引いていった。


 やった成功だ。

 しかし、急に頭がぼうっとして、目眩までする。

 魔法の副作用? それとも魔力切れ?


 判らないので、もう一度手を角に打ち付けて『ヒーリング』を唱えた瞬間、僕の意識は無くなった。



 ※ランディ魔力総量 12→11



 どうやら、昨日は魔力が枯渇して気を失ったみたいだな……これは覚えておこう。

 しかし『ヒーリング』一回で打ち止めとは悲しくなってくるな……


 今夜は気絶しないように一回だけにしよう。

 ヒーリングを一回唱えると、目眩がしてきた。

 恐らく魔力の枯渇寸前の、サインみたいな物だろう。


 今夜はこれで終わりにしよう。



 ※ランディ魔力総量 11→13



 ヒーリングを唱える毎日が続いた。

 全く成長しない日々に焦り出す……ラノベだと日をおうごとに成長して、英雄の道を歩き始める筈なんですけどね?

 そんなある日、ヒーリングを一回唱えても、魔力枯渇のサインである『目眩』が無い……まさか。


 もう一度唱えて見た。

 するとヒーリングは無事に成功した。

 よしっ! ヒーリングが二回唱えることが出来るようになったぞ。

 俺の魔力総量は使えば使うほど上がっていると見た。

 今はまた目眩がしているけど、試しに枯渇するまでヒーリングを使い、僕は気を失う。



 ※ランディ魔力総量 21→19



 夜になってヒーリングを使ったが、何故か今回はヒーリング一回で、魔力切れのサインが出た。


 まさか、気絶するまで魔法を使うと魔力総量が減るのか?


 だとしたら、魔力総量の増減の仕組みは、魔法を限界近くまで使うと魔力総量が増えて、枯渇まで魔法を使うと、逆に魔力総量が減ってしまう、と仮説を立てて見た。

 いや、これでほぼ間違いないだろう。

 今、ここで気がついて良かったかも知れないな……


 これからは魔力切れのサインが出たら、魔法は使わない事にしよう。



 こうしてランディは約一年間ずっとヒーリングを使い続けた。



 ※ランディ 二歳

 ※ギフト 無し

 ※魔法の種別 回復系

 ※使用可能魔法 『ヒーリング』

 ※魔力総量 401



 僕の魔力総量は判らないけど、ヒーリングを三十回以上唱えても魔力切れしないようになった。


 ヒーリングの消費魔力は、計算すると6~10って予想が出来る。

 つまり僕の魔力総量は、少なく見積もっても、180……いや200は有るだろう。


 この調子でガンガン行きたいけど、毎日ヒーリングを三十数回もかけるのは、手間になってきたな……

 何か良い案は無いだろうか。


 数日してから、僕は父親に片言で頼み事をしてみた。


「パパ、ジジィ、見る、ヒール、見る、ジジィ、行く」

(親父ぃ、ヒーリング使えるジジィに会いたいんだけど連れて行ってくれねえか?)


 同じ言葉を何回か繰り返したら、意味を解ってくれたみたいだ。


 どうやらジジィは、この村の人間で二人しかいない治療師の一人だって話だ。


 回復魔法ってそんなにレアなのか?


 父親にジジィのいる場所に連れてきて貰い、対面する。


「おう、おう……あの時の赤ん坊か……大きくなったもんじゃのう……ケガで来た訳じゃなかろう?」


「それがですね……」

「ジジィ、魔法使う、それ、見る」


「なんと、もうこんなに話せるのか? この子の素質は?」

  どうやら、ジジィは僕がこれだけ話せる事に驚いているな……本気の僕はもっと凄いんだぜ。


「はい、ランディは回復魔法の素質が有るんですが……」

 語尾が、小さくなる我が父親。


「が?」


「魔力総量が12しか無くて……」


 ジジィも、僕の魔力総量には驚いてる。

「なんと、たったの12とな!? それは可哀想じゃが、子供のうちから鍛えれば30……もしかしてこの子なら50は行くかも知れんぞ?」


「魔力総量ってそんなに増える物なんですか? 私は聞いたこと無いですね」


 僕……結構増えてますが?


「訓練学校で、みっちり訓練すればある程度増える子もいるんじゃよ」

 ふぅん……やっぱり学校とかあるんだね。


「でも、学費がかなり高いから厳しいかな……」

 やっぱりうちは貧乏貴族だったか……凹むな。


「じゃな……ギフト持ちなら確実に学費免除なんじゃがの……」


 う~ん僕の目的は『ヒーリング』以上の回復魔法を見たいんだけど……

「ジジィ、魔法、見る」


 ジジィはジジィと言われるのが不快なのか、苦い顔で、

「もったいないのう、このガキはかなり頭が良くなりそうなのにの……」



 タイミングよく、何人か怪我人が来た……でも、重症じゃないな……

 ジジィは、手早く『ヒーリング』で治していく。

「ワシくらいになれば、一日四十回もヒーリングが使えるのじゃ、どうじゃ? 凄いじゃろ?」

(ほんとは百回以上はギリギリでイけるが、バレると不味いんでな……)


 僕も、それくらいなら使えるぜ。

 でも、ここは持ち上げておこう。

「ジジィ、スゴイ、もっと、スゴイ、見る」


 ジジィは、僕の言葉に調子に乗った。

 ジジィも『チョロい星』の出身らしい。

「ようし、良く見ておけよ……エクスヒーリング」


 しめた! 僕はさりげなくジジィの背中に触れていた。

 ……うん、やはり魔力の流れが理解出来る。

 僕って天才?


 ……

 …………


 ジジィを、出来るだけおだてた僕は、家に戻ってから

 自分に回復魔法をかける事にした。


「エクスヒーリング」

 テコの原理でへし折った、僕の小指が治った。

 ふふふ……成功した。


 僕は、これを目眩がするまで繰り返した。

 だけど、僕はMじゃないからな。


 僕は、このエクスヒーリングを、毎晩使い続けた。



 そして、ランディは三歳になる。


 ※ランディ 三歳

 ※ギフト 無し

 ※魔法の種別 回復系

 ※使用可能魔法『ヒーリング』『エクスヒーリング』

 ※魔力総量 1101


本日、もう一本投稿します。

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