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【26話】ランディの能力

 僕が教室に戻ると、いきなりクラスメイト達に揉みくちゃにされた。


 なに? なに? なんなの?


 実は僕の居ない間に、回復魔力コース特別模擬戦と言う名前のリンチがあったらしい。


 やべぇ、またサボった。


 そんな時、一人の生徒が話しかけた。

「そう言えば、二年の先輩達がランディさんを探していたけど、なんでだろう……」


 やっぱりぃぃぃぃぃ!

「さ、さあ……何でかな? すぐに行きたいから、クラスと名前を教えてくれ」


「傭兵コースの第二クラスのドラグスさんって人達だったよ」


 よし、行ってみよう。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆



 ◇二年傭兵コース第二クラスの教室◇


 僕は勢いよく、扉を開けた。

「失礼します! 僕は一年回復魔法コースのランディ・ダーナスですが、ドラグスさんはいませんか?」


 ザワザワザワ……


 僕の姿と声で、教室内がざわついた。

 これくらいでざわつかないでよ……緊張するじゃんか。


 すると三人の先輩方が僕の所にやって来た。


 ここは、ただの教室だから戦闘になることは無いはず……


「二週連続で、恒例行事をサボったってのはお前か? 」


 やっぱりこの話か……でも、今日で三週連続でございます。

「はい、すいません、僕です」

 一応しょんぼりした雰囲気を醸し出す。


「じゃあよ、第三クラスのやつらをやっつけたのはお前なんだな?」


「えっと……クラスは知りませんが……十人くらいと戦いました」


 すると先輩方が楽しそうに、食いついてきた。

「おおっ! やっぱりか。あいつら、油断したって言ってたけど、そんなの初めの二・三人だろ? 」

「残りはガチでやったって事だろ? 」

「入るクラス間違えてねぇか?」

「なあ、確か……一年の必須時限は二時間目だったよな? オレ達は一時間目なんだよ」


 えっと……先輩達は何を言いたいのかな?


「週に一・二回で良いから、三時間目にうちに来いよ、お前ならドラグスのいい練習相手になるはずだぜ?」


 おっと予想外だ……好意的な訓練のお誘いだった。


「それなら、お言葉に甘えて、明日の三時間目に挨拶に来ますね……で、どなたがドラグス先輩ですか?」


 すると先輩の一人が困ったような顔で教えてくれた。


「ああ、ドラグスはなぁ、途中から商人コースに数学を習うために行っちまった、変なやつだよ」

「なあ、ドラグスはうちのクラスで一番強いのに、数学なんて関係ないだろ」


「先輩、お言葉ですが、将来しっかりとした給金を貰うならば、簡単な計算くらいは覚えておいた方がいいです」


「そうか?」


「父さんが言っていました。素直(バカ)な傭兵は、報酬を減らされたり、買い物したお釣をちょろまかされるそうです」


「そうなのか……じゃ、算術も少しだけ真面目にやるか……」


 ~~~~

 ランディは、まだ知らないが簡単な算術はどのコースでも、講義していたのだった。

 ~~~~


 ◆◇◆◇◆◇◆◇


 翌日、僕はジジィに捕まり、ジジィの私室に連行された。


「マキナスジ、教官何の用でしょうか?」


「いま、ジジィと言いそうにならなかったか?」


 僕はブンブンと首を振る。


「ふん……まあいい……ランディのヒーリングのコツを聞きたい……教えてくれるか?」


 もちろんオッケーですよ。

 じゃないと、僕はそのうちどっかの施設で、死ぬまでヒーリングの教官をやらされそうだからな……


 でも、あんな簡単な方法を何故、誰も実践してこなかったんだ?


「えっと……怪我をある程度させといて、ヒーリングをかけるだけです……その時、目を閉じてもらうと魔力の流れを読み取りやすいですが…………」


「ふむ……ですが……どうした?」


「何故? そんな簡単な方法を今まで誰も実践しなかったんですか?」


「……………………」

 ジジィは腕を組んで考え込んでいる……


「ランディよ……その方法では、ランディ以外では恐らく出来ぬであろう……」


 えっ? どうして? なんで?


 すると、ジジィは続きを話してくれた。

「じつはの、ランディ程ではないが、回復魔法の流れを読ませる天才が、六十年前に居たそうな……そやつは論文で、ランディと同じことを言っておった……しかし、その論文は破棄されてしまった。何故だか分かるか?」


 このような流れで分からないわけ無いでしょ。

「その人以外、誰も出来なかったんですね」


「そうじゃ……本来なら其奴はつま弾きになるはずじゃが、其奴はどんな劣等生も一年間も掛ければ、修得させていたそうじゃ」


「ふぅん、僕が二人目って事ですか……」


「そうじゃな……ランディも卒業後は、ここの教官か?」


「僕の目指す大商人より、収入が高ければ考えますよ。それよりマキナス教官、僕専用に模擬戦で『棍』を、使っても良いですか? 木刀はどうも使い難いんです」


「お! そうか、あの盗賊を倒した時も、それを使っていたな……木製ならば問題ない……許可しよう。いずれまた呼ぶ……行って良し」


「はい、失礼しました」



 ◆◇◆◇◆◇◆◇


 ランディが部屋を出た後、マキナスも部屋を移動してハベンスキー学院長と話していた。


「ハベンスキーよ、去年落第した回復コースの生徒を二・三人集められるか?」


「ふむ、何かしたいのじゃな? 分かった、集めよう」


「それと、あれはいつ頃届く?」


「判別器と測定器か……今年度に合わせて導入するはずだからの……もうじき来るだろう……やはり気になるか? ランディの魔力総量が」


「当たり前だろ、あやつの魔力総量は12だと、聞いていたんだ……気にもなる」


「判別器で魔力総量を調べて、測定器で簡易能力を調べる……私はあの戦闘能力も知りたい」


「だがな、ハベンスキー……ランディを見るのはワシら、二人だけにするぞ……」


「そうだな、何があるか解らんからな……」


 水面下でランディの正体を測定する準備が揃いつつあった。



 ランディの現在能力。


 ※ランディ 九歳

 ※ギフト 暗黒女神の愛

 ※魔法の種別 回復系

 ※使用可能魔法『ヒーリング』『エクスヒーリング』『グランヒーリング』『アルテミットヒーリング』

 ※魔力総量 3721

 ※クレリック呪文 第1レベル 35回

 ※クレリック呪文 第2レベル 32回

 ※クレリック呪文 第3レベル 28回



判別器と測定器はこの世界ではオーパーツのような存在で、0から造る事は出来ない。

判別器は、ギフトの有無、魔法の素質、魔力総量を調べる。

測定器は、総合筋力、反射能力を合計した後、レベル数値化した物。

別名『スカウター』

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