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【168話】反撃

物語があまり進まず、すみませんです。

書きたい事を書かせてください。

 side キンジ


 キンジは、無理やり戦争の真っ只中に連れて行かされた。


 しかし、自由行動を言い渡されたため、キンジは救護所の近くで隠れることにしたのだ。


「アーサーさんは、敵軍の密集してるところへ。カーズさんとガルさんは上空に漂ったまま。香織さんたちも、戦火の中に突っ込んじゃうし、無謀だ。ここなら何かあっても駆け込んで怪我を治して貰えば良いから、ここで待機しよう」


 だが、そんなキンジに平穏が訪れるはずもない。


 たまたま、奇襲をかけたアカシア軍の別動隊と鉢合わせた。


「キター! なんで、こうなるの!?」


 泣きながら、自分の運命を呪うキンジだが、それでも、あのカーズの弟子である。


 カーズの弟子史上、最弱のキンジだが、それでもカーズの弟子である。

 さらにアーサー、ガル、ランディとともに一緒にいて、精神が病んだりしない男だ。


 襲われると解ったキンジは、反射的に攻撃した。


「第1レベル呪文……マジックミサイル」


 近くの敵兵に一発づつ打ち込んだので、死ぬことはないが、見たことのない攻撃に怯んでいる。


 そこで、キンジは見た目で禍々しい短刀を見せつける。


 キンジは、攻撃と呪文を同時に使うほど熟練者ではないが、不気味な武器に注目させて、次の呪文を使う時間を稼ぐ。


「第3レベル呪文……ライトニングボルト!」


 たまたま敵兵が重なって見えたキンジは、直線上に入るように修正して、直線型の範囲攻撃呪文を使った。


 キンジの電撃呪文を受けた敵兵は、死ぬか気絶の二択を選んだ。


 ライトニングボルトの範囲外にいた敵兵は、驚いて全速力で逃げてしまった。


「見ない顔ですが『ランディ電撃隊』の方でしたか。素晴らしい攻撃魔法でした。お陰で助かりました」


 話しかけてきたのは、後方支援をしていた、ベルデタルの剣士の家族であった。


 キンジはうまく、この集団に溶け込んでいった。



 side カーズ&ガル


 カーズとガルは、敵軍を上空から眺めていた。


「ヌハァ! ランディ殿の軍が、のみ込まれていくぅ!」


 ガルの背中に乗っていたドリアが顔を真っ青にして騒ぐ。

 そもそも、上空に拉致されてからずっと真っ青なドリアだったが。


「豚よ、落ち着きなさい。まずは『アカシア軍』と言う者たちに、どうやって帰って貰うか考えないと」


「カーズ、余裕ぶっこいてる場合じゃない。ランディが膝立ちで崩れ落ちている。全滅間近な軍隊は、ランディの友人みたいだな」


 ガルの言葉にカーズが豹変した。


「ならば、アカシア軍には全員死んでもらいましょう。挨拶がわりにメテオスォームをぶちかまします」


「待て! カーズ落ち着けっ。俺様たちはガキんちょは殺せない決まりがあるだろ?」


「ならば、早くしなさいガル」


「ああ、消去法で捜そう。10秒待て」


「待てません」


「ちょっとくらい、待てよな」


「なら、ちょっとだけ待ちましょう。第5レベル呪文……トゥワイスレンジ」

 カーズは、待ち時間を利用して魔法の射程距離が、2倍に伸びる呪文を使った。



 カーズとガルの会話に、ついていけないドリアだったが、自軍が壊滅するのを黙ってはいない。


「使徒様、あの……」


「黙れブタ。カーズ、あそこは心配いらない」


「待たせ過ぎですよ、第5レベル呪文……チェインライトニング」


 ランディが発案した電撃魔法とは、比べ物にならない高威力の電撃が炸裂した。


 そして、電撃の範囲内にいた全ての兵は一瞬で絶命する。


「あわわ、なんと言う威力と範囲。これが使徒様のお力なのか」


 ドリアがカーズの電撃呪文に驚いているなか、次の指示が来る。


「カーズ、あそこは気を使え、少年が3人まぎれてるぞ」


「では、第8レベル呪文……天地轟雷」


 カーズの呪文の範囲内で、チェインライトニングを、上回る威力の電撃が轟音と共に降り注ぐ。


 だが、その範囲内にはアカシア兵が数名生き残っていて、状況を理解出来ずにキョロキョロしている。


「使徒様の攻撃を耐え抜いた!?」


 ドリアの驚きに、ガルはアカシア軍を見ながら説明する。


「あれは、3人が未成年、ここにいちゃダメな程の未熟者だ。天地系の呪文は、未成年の同族を殺せない俺様たちのために編み出された、カーズのオリジナル呪文だ。カーズ、あっちは遠慮なく殺れるぞ。ランディも俺様とカーズに気づいたな」



 そう、ガルは上空から見るだけで、未成年を判別して、カーズに攻撃の指示をだしていたのだ。


「第5レベル呪文、アイスストーム」


 この氷結呪文に耐えられなかった全ての兵は、凍死してしまう。


「あっちに壁を。おっ香織とリリス到着」


 ガルは、ランディの様子を見ながら指示を出す。


「第4レベル呪文、ウォールオブファイヤー」


 炎の壁が出現して、敵軍の要所を分断して更なる混乱を産む。


「あそこ、やっちまいな」


「第7レベル呪文……サークルオブデス」


 この呪文の範囲内いた者は、膝から崩れ落ちて、急に眠りについたように見える。

 だが、それは見た目だけであり、心臓は停止していた。


「あっちは、ほどほどにな。おっランディが『赤』の装備をしたぞ。参戦するか?」


「くくく、私の援護(さつりく)のお陰ですね。第8レベル呪文……天地焦熱」


 縦横無尽に降り注ぐ業火、ただ、その業火のなかでも、一部の兵は結界に守られて肉体的ダメージはない。


 目の前で、味方が生きたまま焼かれて行く姿を見ていた、精神的ダメージはいかほどなのだろうか。



 それから、数発の攻撃呪文を放ったところで、カーズの動きがとまる。


「手近な地点の殲滅は完了ですが……ガル、どうしました?」


「ちょっと待て、ランディが……今『見る』から『視る』に切り換える」


 10秒後、ガルが信じられない様子でカーズに報告する。



「ランディが、強くなってる!?」


「私がいるから、調子が上がっているのでは?」


「違う、闘気だ。ランディが体内でしか練ることが出来なかった闘気を、武器に被わせてるぞ」


 ガルの言葉にカーズも驚く。


「ならば、今の兄さんは、王神流も扱えると?」


「ああ、しかも闘気を武器だけでなく、肉体の外側で纏うように、流動させている」


「それは、脚だけですか?」


 カーズとガルも『脚』限定なら闘気を放出することが出来るからの質問だ。

 言い換えると、全身に闘気を纏わせることが出来るのは、アーサーだけなのだ。


「いや、ほとんど全身だ。9割弱ってところだ。そんなことより問題は」


 ガルが、脂汗を流す。


「ゴクリ……それだけ強ければ……」


 カーズもゴクリと喉を鳴らす始末。


「ああ、アーサー御乱心の可能性『大』だな」


 ガルとカーズの顔から血の気が引いた。


「ヌホゥ? 使徒様、一体何の話を……」


 ドリアは、状況がまるで解っていない。


「緊急事態だ、()の私たち3人では、アーサーに勝てません。私も全開で時間を稼ぎますから、ガルは重り(ドリア)を捨てて、キンジを探して下さい。急いで!」


「さすがに、こっから捨てたら死ぬと思うぞ。キンジを探す次いでに、豚を捨ててくるわ」


 カーズとガルにかかれば、一国の王子であるドリアも『肉の塊』扱いであった。



「第7レベル呪文……ガンダル・ナイティスター・ソード」

 カーズは、遠隔操作の出来る伝説の剣を召喚した。


「神速! くっ、キンジが見つからない……天才か?」

 ガルの目を持ってしても、キンジを見つけることが出来ない。


「第7レベル呪文……フォースソード」

 カーズは、半自動で攻防可能な『ビームサーベル』を装備した。


「ヌヒィィィィィ!!」

 キンジを探すガルの移動速度に、ドリアは悲鳴を上げていた。




 side アーサー


 アーサーは強敵を探し求めていた。


 3万人以上もいれば、楽しめる相手は居るはずだと信じて。


「全員 お座り」


 アーサーの軽く発せられた『言葉』に、アカシア兵の半数が従った。


「王神流 秘奥義 魔神剣」


 周囲の樹木が切断され、アーサーの言葉に従った者以外は、体と首が離れることになった。


「外れ ここ 居ない」


 アーサーの『言葉』の強制力に抵抗できる猛者はいたが、アーサーの軽い攻撃を3回も耐えられる、真の猛者はいなかった。


 だが、アーサーは諦めなかった。


 アカシア軍自慢の鎧を装備した、一団と遭遇した。


 アカシア軍の兵士が、一撃与える間に、アーサーは5回の反撃を繰り出す。


「ミスリル部隊 雑魚 残念」


 アーサーは剣を持つのをやめて、丈夫なだけの鉄製の棒を武器にして、アカシア兵を虐殺しながら、強敵を探していた。


 カーズとアーサーのせいで、一気に兵を減らしたアカシア軍は、大恐慌に陥っていた。


 その中で、アーサーは待ちに待った気配を感じた。


「来る 見なくても 判る 強い! 100メートル 80メートル 近づいてる 俺 歓喜 溢れる」


 アーサーは腹を空かせた肉食獣のように、その気配へと猛然と突っ込む。


「王神流 奥義 鬼人棍」


 アーサーのモンスターパワーは、普通の一撃でさえ、アカシア兵の首をへし折っていた。


 力の乗った、左右ほぼ同時に襲い来る攻撃が炸裂……しなかった。


「鬼人棍!」


 アーサーの相手は赤い鎧を装備していて、同じ技で返したのだ。


 圧倒的に力負けしているにもかかわらず、攻撃を逸らされ、同時にドロップキックをアーサーに仕掛ける。


 アーサーはその攻撃を胸で受け止めて、半歩下がった。

虚を突いたとはいえ、アーサーを半歩下がらせる事は並大抵では不可能だ。


 アーサーは歓喜で、涙が溢れていた。


「我が神、カレアスよ……最高のプレゼントをありがとう!!」


 アーサーが饒舌になっていた。

 それは、これから彼が、理性を忘れて本気を出す証明でもあった。


 赤い鎧を来た男は叫ぶ。


「何でアーサーがラスボスになってんの!? しかも理性が飛んじゃってるし。死んじゃう、僕死んじゃうからっ。誰か助けてぇぇぇぇ!!」


 赤い鎧を着た男の正体は、ランディだった。




次回は、アーサーVSランディか?

と期待した人たちへ。

ごめんなさい、ランディとアーサーは、ちょっっっとしか闘いません。

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