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【167話】合流

小説としては、愚手かもしれませんが、視点が、一人称と三人称がちょこちょこかわるかもしれません。

 時は少しだけ戻り、とある谷底の出来事。


「この贅肉オーク、私の顔を見て『ランディ』と言いましたよ? 兄さんの名前を」


「カーズ、贅肉オークは失礼だろ。見た目は人間に近い。ライカンスロープの豚男だろう」


「オークも 豚男も ルーツ 同じ それより この肉 もう死ぬ 残り寿命 推定 1分」


 カーズ、ガル、アーサーの順番で、太った瀕死の男を取り囲む。


「カーズさんは、ランディさんとそっくりだから、間違えたんっすかね」


「はっ、いけません! アーサー、この豚を死なせてはなりませんよ」


「解った 第1レベル呪文 ライトヒール」


 瀕死の男は、アーサーの使う最下級の呪文で完全回復する。


「あっ、治ったみたいっす。でもどうします?」


 キンジは回復したが、意識のない男をどうするか聞いている。


「もちろん 叩き 起こす」


「アーサーさぁん、せっかく助かったのに、今度は即死しちゃうっすよ」


「それなら俺様が優しく起こしてやろう。そりゃっ」


 ゴキン、ゴキン

 ガルは寝ている男の関節を、可動域限界まで一気に動かした。


「ブヒィィィィィィ!?」


「あっ、今の体の柔らかい体操選手用の起こし方だった」

「ガルさんも大概酷いっすよ」


 瀕死の男の名前は、ドリア・フォン・ターベールだった。





 カーズはガルのせいで、ぐったりしているドリアに事情を聞き、急ぐ必要があると理解した。


 ドリアには、適当に説明したが、ドリアは体型に似合わず聡明であり、おおよそカーズたちとの関係を理解していた。



 先を急ぎたいカーズだったが、アーサーの回復呪文では、体力まで回復出来なかったドリアを気づかい、死亡した従者を埋葬し、しばらく休憩をしてから、戦場に向かって移動した。



 ◇

 ◆

 ◇



 上空を見ると、18年ぶりに見る仲間の姿を見つけた。


 上空には、カーズとガル、ガルの上にはドリアさんが乗っかっていた。


 ドリアさん、10万の軍隊より頼りになる戦力を連れて来やがった。


 アーサーは敵陣のど真ん中に向かって、突き進んでる事だろう。


 ほら、森の樹木が10数本倒れた。

 魔神剣を使ったな。


 敵軍に飲み込まれた味方の戦局に異変が起きた。


 ひなたん、カミーラにマーニャが原因だろう。


 ならば、香織ちゃんとリリスたんは……


 その時、後ろからズシリと重い衝撃を受けた。


 僕が気づかない気配、それは好意。


 振り向くと、声に出したいけど出せないで泣いている、香織ちゃんとリリスたんがいた。


「えぐっ、ぐすっ、うぇぇ……」

「うぇぇ、ひっく、ランディ……これ」


「香織ちゃん、リリスたん、遅いぞ。でもギリギリで間に合った」


「えっ? ぐすっ 私の事を、覚えてるの? 記憶喪失かと」

「リリスの事も覚えてる? らんでぃ?」


 何を言ってるのか理解できないが、文句を言いたいのは僕だ。

 こんなに待たせて……



 香織ちゃんとリリスたんから、差し出された物を受け取った。


 リリスたんからは、赤と黒の刻印の入ったポーチ。


 香織ちゃんは、エクスクラメーションバックル。


 残りの持ち物は、マーニャたちが持っているのかな。


 気がついたら、力が沸き上がり、体が『早く暴れさせろ』と訴えてる。


「香織ちゃん、リリスたん、合流するぞ。レッドオプティマイザー!」


 僕は久しぶりの装備を解放する。


 主な色を赤で作られた僕の装備。


 プレートメイル+6

 バックラーシールド+5オブ、エレメンタルレジスト

 プロテクションリング+5

 サバイバルリングオブ、プロテクション

 ディスプレイサークロークオブ、フライング

 フレイムフレイル+5オブ、エクストラダメージ


 エクスクラメーションバックルも合わせれば、アーマークラスは27にもなる。


 アカシア軍の誇る、新型鎧のアーマークラスは盾を合わせても、推定15か16だから僕の装備が反則級なのは解ってくれるだろう。



「ふぇ?」

「んきゃ!」


 香織ちゃんとリリスたんを両脇に抱えて、3メートル程度の高台から飛び降りた。


 地面スレスレで勢いを殺して着地する。


 うん、この『空飛ぶマント』は久しぶりでも、使いこなせてる。


「マーニャ、ひなたん、カミーラ」


 彼女等の近くまで移動して、その名を呼ぶ。


 直ぐにカミーラとひなたんがやって来た。


「主殿、()()()ぶりです。記憶は失っていないようですが、お身体に異変は?」


「髪が金髪になってるよなぁ、ランディ。あと未成年を殺さずに、戦うにはちょっと大変」



「僕の制約を真似しなくてもいいのに……あれ? マーニャが来ないね」


 みんなで、マーニャのいる方を見た。

 正確には、火災が起こっている現場を見る、だ。



「うぉやぁぁぁぁぁぁ! 火弾、火弾、火弾、火弾、火弾、火弾、火炎弾、火弾、火弾、火弾、火弾、火弾、せぇの魔破火炎弾!! お兄ちゃんの敵は全員死刑!!」



「マーニャは、主殿の敵対する者は等しく『死の権利』があると言っておったのじゃ。だんだんカーズ殿に似てきたのじゃ」


「ランディの育て方が悪かったんじゃないのかぁ?」


「まーにゃ、かっこいい」


「……ランディ、呼ばなくて良いの?」


「いや、呼んだけど……はっ、そんな場合じゃなかった。僕は前線に出るから後よろしく。香織ちゃん、()()を頼むね」



「主殿、後よろしくって、また無茶な」

「だめ、今のランディはマーニャ以上だからなぁ」

「私はランディの言われた仕事をするね。リリスちゃん行こっ」

「かおり、わかった」


 言いたい事もたくさんあるだろう。

 だけど、今は仕返しの時間、よくも僕に数日間も絶望的な感情を与えたなっ!


 さあ、反撃だ。



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