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【164話】罠

物語の都合上、明日も投稿します。

 息が軽く弾む。


 太陽の位置を見て、戦いが丸一日たったのがわかる。


 正面の敵からは『罵声』『悲鳴』が、背後の味方からは『歓声』『声援』が聞こえてくる。



 ついに、新型鎧軍団が出張ってきた。


 僕も丸一日戦って、息が弾むようになってきた。


 新型鎧軍団と戦いながら、あることを実感している。


 闘気が身体中を循環しているのを。

 今までは、体内のみ作用していた闘気が身体の表面まで巡って来ている。


 ありがとう。

 この戦いでまた1つ僕は強くなれた。


 敵の攻撃が止まった。


 先には、手と膝を地に付けている将軍っぽいのがいた。





 そして、移動式の架け橋が八基、進んできた。

 もう少し欲を出したかったが、ここまで順調に戦えていた。


 このままの位置で待機する。


 架け橋が掛かり、アカシア軍が押し寄せてくる。


 そして僕の所には直接襲って来ないで、弓とファイヤーボールが降り注ぐ。


 僕も出し惜しみはしない。

 ここからはどうしても味方に頼るしかない。


 わがままな話、味方には誰一人死んで欲しくない。


 呪文も全開で使うぞ。

 2回目の『プロテクションノーマルミサイル』と『スペルイミュニティLVⅡ』を唱えた後、第8レベル呪文の『バリア』をかける。


 左右にある直近の四基は呪文が届いたが、遠くに掛かった跳ね橋は遠すぎて届かない。


 これを想定して『バリア』は8回覚えてきたけど、ちょっと足りないし、時間も足りない。


 西側の架け橋に急いで走り『バリア』を掛ける。



 この半透明の障壁は攻撃される度に薄くなり、完全に透明になると、障壁はなくなる。


 だから、初めて見る『バリア』に戸惑っても、その内、攻略されてしまうだろう。



 東側には、優秀な戦力を配置したから、僕は中央か西側の薄くなるバリアを見極めてから動く。


 もちろん、待ち時間を作りたくないから『マジックストーン』で直接向こう岸の兵士を少しずつ始末する。


 お返しとばかりにたくさんの弓矢と数発のファイヤーボールが飛んでくるが、弓矢は効かないし、ファイヤーボールはダメージが少ない。



 なので、たっぷりと嫌がらせをする事が出来た。


 後は、任せたぞみんな。



 ◇

 ◆

 ◇



 バリアーが突破されて、森の中に戻り応援に行く。


 森の中は整備された道を5路作り、そこに罠を集中させて、敵の数を減らしながら、時間を稼げるようにしてある。



 先ず目に付いたのは、弓矢のトラップで死んでいるアカシア軍の兵士。


 焼け焦げた跡がない事から、ファイヤーボールのキャンセルは上手く機能していると思う。


 森の中も足を止める罠をたくさん設置していたから、多くのアカシア軍が引っ掛かっている。


 無人トラップも多いから、生きてる敵兵士も散見できる。


 時間もないから、生きてる兵士は手っ取り早く、脚または腕をハンマーで粉砕しながら、自陣に戻っていく。



 有刺鉄線の罠まで、たどり着いた。

 この外周の有刺鉄線は距離がありすぎて、全てを囲う事は出来なかったが、道を塞ぐように設置したから、役には立つだろうと信じている。


 案の定、ここでは多くの死体が転がっている。


 柵を乗り越えやすいように情報をリークしたから、乗り越えた先の着地点には落とし穴を作っていた。


 落とし穴いっぱいに、新型鎧を含む兵士が埋まっていた。


 落とし穴には解毒の容易な毒虫を入れておいたけど、対処は出来なかったようだ。



 このトラップは五重に用意してある。


 さあ、早く挫けて撤退してくれ。



 早くもアカシア軍の先頭にたどり着いた。


 罠を自分で作動させながらアカシア軍に突っ込む。


 石や矢、槍などが飛んでくるが、僕には当たらずアカシア軍の皆さんに命中する。


「ひいっ!? アルカディアの悪魔だ!?」

「うわぁ! もう戻ってきやがった」

「た、助けてくれっ」

「バカ者! ここで時間を稼げば、他が楽になるんだ! それに一日半も戦いっぱなしだ、疲れが出ているはずだ! 殺れぇ!!」


 新型鎧の兵士はここには2人しかいない。

 見た感じだと、まだ後方に多数いるから身軽な部隊がまず制圧しに動いたのだろう。


 ここにいた、アカシア軍は小一時間で殲滅させた。


 後続のアカシア軍が来ない。


 断続的に攻めるつもりなのだろうか。


「領主様、ご無事ですかっ!」


 敵兵が見えなくなると、ユタの戦士がやって来た。


「報告します。こちらの怪我人12名、死者0です。2万以上の兵にあり得ないです」

「死ぬつもりで来たのに、2日も持ちそうだ」

「しかも、その1日をライトグラム伯爵1人でなんて」

「…………」


 キャンブルビクト侯爵から頂いた傭兵が、ものすごい眼差して僕を見る。


 戦争に役に立たないと思った吟遊詩人も、罠の再設置や伝達役として頑張っていた。


 何やら、合間に紙とペンで一生懸命書いていたので、隠れて覗いてみたら『神が力を振るったその奇跡』とか書いていたから、こっそり捨ててやろうと思う。


 夕方前には既に撤退しだしたから、暗い時間帯では戦わないんだと判断した。


 数名の警戒は怠らないけどね。


 偵察がてら、谷のほうに移動したけど、敵で埋め尽くされていて、即席で陣を敷いていた。


 5つの道のうち、2つの損害は確認したから、残りの確認に戻る事にした。



 ……

 …………


 途中の報告で、一番東側の方があまりの兵力に撤退が遅れて、大変な事になっていると聞いた。



 急いで、東側に向かった。

 東側の部隊を見つけたので、報告を聞いてみた。


「す、すみませんでした。わ、罠の再設置に時間が掛かりすぎて、その……敵の数が凄すぎて、あの……」


「いや、生きてるなら良い。被害は?」


「怪我人は、はっきりとは不明ですが50人もいないかと。あと、そのテスターさんとダナムさんが…………すみません2人のお陰で……」


「何処だ!」


「…………」


 無言で北に続く道を見たので、全力で走った。




 そこには、血まみれで倒れているテスターとダナムがいて、覆い被さるように泣いているシュガーとソルティが視界に入った。




この結果に不満でもう読むの止めようと思われた方々へ、明日の投稿までは、読んでください。

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