【146話】第7レベル呪文解放
読者様の情報提供により『内政2』の『バナナ』のくだりを改稿いたしました。
フッフッフッ、ハーハッハッハッ! フハァーハッハッハッハァ!!
いけない、笑いが止まらない。
僕の笑いが止まらない理由は、力の上昇を実感したからだ。
実感と共に、瞳に映る空間タブレットの呪文取得項目も増えていた。
人物捜索LVⅡ≡捜索範囲無限、効果時間24時間
呪文詠唱破棄≡第3レベル呪文まで、効果時間2時間
ハイトゥルーサイト≡半径20m以内の全てを知る。効果時間24時間
ホールドパーソンLVⅢ≡レベル9以下麻痺
ホールドモンスター≡モンスターレベル9以下麻痺
クリエイトアニマル≡動物を産み出す。効果時間レベル×10時間
クリエイトアンデッドLVⅢ≡死体に限らずヴァンパイヤ、ワイト、レイス、ファントムを作る
インスピレーション≡3回イエス&ノーで神が質問に答える
ファイブイヤーズオフ※≡5年分若返る
エアリアルサーバント≡自分に似た強力な精霊を召喚する
さて説明しよう。
人物捜索LVⅡ。
これは、僕のオリジナルクレリック呪文だ。
名前と顔さえ認識していれば、何処にいようと見つけ出す事ができる。
ただし、同じ世界限定だけどな。
呪文詠唱破棄。
これも僕のオリジナル呪文。
既に呪文の短縮を実現しているので、ありがたみが少なく感じると思うだろうが、そうじゃない。
無言で、呪文の発動ができる恐ろしさは、強敵に出会えば解る事だろう。
ただし、第3レベル呪文までしか実現出来ていない。
ハイトゥルーサイト。
トゥルーサイトの広範囲タイプで、効果時間もかなり延長している。
ただし、あまりに多い情報量だと、僕が処理しきれなくて気持ち悪くなるから、あまり使わない呪文だ。
ホールドパーソン&ホールドモンスター。
これは、雑魚の人間やモンスターを強制的に麻痺させる呪文。
雑魚以外には通用しないが、ベルデタルの戦士クラスまでなら、ギリギリ麻痺が成功するだろう。
もちろん、この中で割りと強いダナムもホールドパーソンLVⅢの餌食になってしまう。
クリエイトアニマル。
今まで倒した動物を召喚する呪文。
災害復旧や強行軍、僕は使わないが食用にもなる。
ただし、僕をもってしても20日と少ししか維持できないから、それほどチートじゃない。
クリエイトアンデッドLVⅢ。
これは、高位のアンデッドモンスター『ワイト』『レイス』『ファントム』『スペクター』『ヴァンパイア』等を造り出すことが出来る。
ここからは、死体にこだわらず、生者を強引にアンデッドモンスターにすることも出来る。
因みに、お笑いキャラのバハムアークは、クリエイトアンデッドLVⅣで産み出されたんだろう。
インスピレーション。
これは、質問事を1度の呪文で3回、神にyes、noで問うことが出来る。
質問を間違えると、無反応になるから気を付けなければならない。
ファイブイヤーズオフ※
これは、5年若返る事が出来る呪文で、リバーススペルで歳をとる事も出来る。
これは、永続呪文だが寿命は変わらないため、大した事はないと思う。
エアリアルサーバント。
僕に似た聖霊の召喚する呪文。
召喚主の半分の実力を持ち、そこそこの命令を実行出来る力を持つ。
暗殺に使う術者が多いが、暗殺対象が強すぎたりすると、パワーアップして術者を襲うので注意だ。
それ以外の無茶な命令は、拗ねて消えてしまう。
効果時間は僕で約2日だけど、わりと短い時間で帰って貰ってる。
そして、基本の身体能力、前世の90%の力が今の僕に加わっている。
例えるなら、一流騎士の数値を『10』とすると『20』の90%で『18』の力が、いまの僕の『8』に加わり『26』と見て良いだろう。
スタミナも『40』の90%で『36』+今の僕『7』が追加されて『43』となった。
あくまでもこの数値は、ざっくり計算だからな。
毎日鍛えてるみんなには悪いが、竜神と人神の『加護』と『愛』の中間点にまで達したと思っていい。
そうなると、早速試したくなってきたな。
よし、牧場に遊びに行こう。
《注意:猛獣の生息地です》
◆
◇
◆
ふう、堪能した。
エスパルの浄化前より弱くなったけど、それでも南の獣たちは、活きがいい。
今現在、本気を出さないと進んでいかない事態に直面していた。
僕は、独りで4体の獣を運んでいる。
さすがに総重量2トンを超えると、本気を出すしかないな。
南の獣、恐るべしだ。
ほら、ユタの民も引きずられている獣を見て、戦々恐々としている。
おや、あそこにいるのは、ハゲジィじゃないか。
以前、教師が欲しいと書状を送ったら、3人ほど来たのだが、トウドウとサイドウに認められたのは、ハゲジィだけだったから、後の2人はナパに着任してもらった。
ハゲジィが小さい子供たちに何か教えてるみたいだ。
どれどれ、聞き耳をたてよう。
『ほれ、見なさい。昆虫はすごいだろう。自分の大きさの何倍もの獲物を引きずっているじゃろ? これは、身体の作りがまるで違うからなんじゃ。昆虫をもっと研究すれば、そのうち大きな物を運べる道具を作れるやも知れんぞ』
蟻でも見ているのだろうか、子供と地面を交互に見ながら、説明している。
ふと、1人の子供と目が合う。
「…………せんせい、ハベせんせい」
「ん、なんじゃ?」
「りょーしゅさまも、こんちゅうなの?」
「はぁ!?」
子供が僕に、指を差す。
同時に、ハゲジィが僕の方を振り向く。
そして、ハゲジィの視線には、僕が捕まえた美味しそうな獣たち。
「こら、ランディ何て事をしてくれんだ。今の説明が台無しになってしまったじゃないかっ!」
無罪だ、冤罪だ、濡れ衣だ。
「ハゲジィ、僕は悪くないぞ」
「誰がバケジィだっ!」
えっと本名……本名はたしか……
マキナスジジィが言っていた。
「ハゲスキーだっけ?」
「ハベンスキーじゃ!!」
マキナスジジィの嘘つき。
ハゲジィと話していたら、子供たちが授業の続きをせがんできた。
「ハゲせんせい、もっとおしえて」
「ハゲせんせいの、おべんぎょう、たのしい」
「ハゲせんせい、ハゲせんせい、キャハハハ」
しまった、子供たちに悪影響が。
「ランディィィ!」
「あっ、仕事をしなくちゃ」
僕は颯爽とこの場を後にした。
猛獣達を引きずって。
「……ハゲせんせい、りょうしゅさまは、こんちゅうなの?」
「…………(転職失敗したか?)」
◆
◇
◆
漆黒の陰影ランディでございます。
只今、ロイエンとクラリスの寝所に侵入中であります。
理由は、今まで殆ど使ったことのない呪文の実験台として、選ばれたからです。
なぜ、熟睡中にやって来たかと言うと、許可を得ていないからです。
さあ、行くよロイエン、クラリス。
「第7レベル呪文……ファイブイヤーズオフ。第7レベル呪文……ファイブイヤーズオフ」
寝ているロイエンとクラリスに若返りの呪文をかける。
う~ん、きもち若くなった様な気もするが、大した変化は見られなかった。
さあ、次はレジーナだ。
…………翌朝……。
「奥さま、どうしたのですか、今日はやけに若々しいのですが?」
「そう言うレジーナこそ、肌に張りがよみがえっているわよ!?」
「ん? ん? どう言う事だ?」
「はっ、あなたまで若くなって……」
「アリサが高等学園に行った頃の、旦那さまを思い出します」
「???」
どうやら、判る人には判るらしい。
5年分だもんな。
ロイエンは気づかなかったみたいだけど。
実験じゃなくて、親孝行は大成功に終わった。
◆
◇
◆
ある日、王族特務隊と王宮騎士団がやって来た。
なんでも、特務隊はアカシア王国調査のための、臨時の支部設置するため。
王宮騎士は、新米王宮騎士の鍛え上げる場所を、エスパルにするためらしい。
しかも、やって来たのは、全員僕の知り合いで、特務隊は、サンとリー、ガルサンダー、王宮騎士からは、テスター・バスター、ジョーシン○ンキが来ていたのだった。
「よく来てくれた、サントリー、雷撃、テスターとジョーシンさん」
「「いま、ひとまとめにしましたか、グランドマスター」」
「雷撃のガル、只今参上」
「おお、カッコいい」
「さすが主殿、嘘のない賛辞の言葉、ありがたく頂戴する」
「久しぶりだな、ランディ」
「だれも、特務隊のランディを呼ぶときの言葉に異論はないのか? 主とかグランドマスターとかのよ」
「まあまあ、落ち着いて。彼らの軽いジョークを気にしてたら、エスパルじゃやっていけませんよ。皆さんを、歓迎するアトラクションを用意してます。『不死の間』『猛獣の間』どちらがいいですか?」
「ふう、私は遊びに来たわけではないのだが、不死の間が気になるが」
「了解、じゃ行きましょう」
……
…………
僕は、彼らに元バハムアークの居城に連れて行った。
あそこだけは、弱くはなったけど、アンデットモンスターが徘徊しているんだ。
みんな強くて頑張ったけど、ワイトには勝てなかった。
「何がアトラクションだ! 死にかけたぞっ!」
「あれは危険だった。 主殿が居なかったら全滅もあり得た」
「「さすがは生きた遺跡」」
「って言うか、いきなり遺跡に連れて行くとは、ランディも人が悪いな」
「いやぁ、ほぼ最強軍団だったから、ためして見たくなっちゃった」
まあ、通常の武器でワイトを倒すには、気の遠くなる準備が要るからな。
調子に乗っちゃった。
こうして、楽しげな予感を覚えながら、特務隊と王宮騎士をエスパルに迎え入れ、歓迎した。
キンジ「とうとうランディさんのじゅもんが化物じみてきましね。でも、5年若返る呪文って使い道が少ないんじゃないっすかね?」
ガル「なんでだ?」
キンジ「だって、ランディさんもカーズさんも10年若返る『アンチエイジング』の呪文を使えるじゃないっすか」
ガル「おお、なるほど。ランディのあの呪文はな、見た目をブラスマイナス5年分の姿を変える呪文なんだ。悪巧みにはけっこういけるんだぜ」
キンジ「人外呪文を只の悪戯に使う神経が、めっちゃ謎っす。次回はヒロインと思わせて、ヒロインじゃない美姉妹が、登場するかもしれないっす」




