【140話】ランディVSバハムアーク
バハムアークは弱った僕に向かって、牙を剥き出して襲ってきた。
「第6レベル呪文……リバース……リムーブカース」
間一髪、バハムアークの攻撃を避けて、代わりに軽い攻撃を当てる
「バカな、リムーブカースだと!? なぜ第6位呪文をあれほど連発出来る?」
ふっ、それは僕が凄いから。
「ふふっ、それは秘密。さて呪いも解けた事だし、これで条件は互角だね」
バハムアークは一瞬キョトンとするが、すぐに嫌らしい笑みに戻る。
「フハハ……何を言うかと思えば、条件が互角だと? 笑わせる、このバハムアーク様は高度な物理耐性と魔法耐性があるのだぞ。その武器では到底ダメージを与えるに足りない物だろう。このバハムアーク様にはストライキングもレイズデッドも通用しない。ストライキングス程度では、ダメージが少なすぎて、このバハムアーク様の再生能力といたちごっこだぞ。さあ、こちらの攻撃だ。大気中の酸素よ我が魔力と混じりあい爆炎の刃と化せ……ファイヤーボール」
「第6レベル呪文……スペルイミュニティLVⅡ」
僕はバハムアークのファイヤーボールを無効化した。
これの効果は1時間続く。
「さあ、これで第3レベルまでの攻撃魔法は、無効化したよ。第4レベルまで無効のバハムアークと、だいたい互角かな?」
僕の挑発にバハムアークは乗ったようだ。
「ヌウウ! このバハムアーク様と互角だと? ならばこれでどうだ!」
バハムアークはコウモリ型のナイフを無数、僕に向かって飛ばしてきた。
しかし、それは1発も命中しない。
「ま、まさかプロテクションノーマルミサイル!? いつの間に?」
「事前に準備してるのは、バハムアークだけじゃないって事」
プロテクションノーマルミサイルLVⅡの効果時間は24時間だからね。
「雷の微霊よ、我が神経に宿り、研ぎ澄まし刹那の粒子となれ……ヘイストォ! 体術はほぼ互角とみた、ならば速度倍化の呪文を使えばこのバハムアーク様が有利!」
バハムアークが爪と速度を武器に、高速で襲ってきた。
今までの行動でバハムアークの力が読めてきた。
もはや、トゥルーサイトを使うまでもない。
恐らく、バハムアークはクレリックレベル18で、マジックユーザーレベルは半分の9だろう。
もっと高位のマジックユーザーならば『ファイヤーストーム』を使ってくるはずだから。
さあ、バハムアークの引き出しは開けきったようだから、詰め将棋の時間にするか。
しかし、ヘイストを使ったバハムアークは強かった。
あのリッツ教官と、同等の技術と速度を持っていた。
しかも、筋力は若干上回っている。
武器で殴っても、動きが一瞬止まるだけで、ダメージを与えられない。
もし、1年前に出会っていたら、決め手がなく7日間くらいは戦い続けていただろう。
数回打ち合って、僕の身を切らせ、手頃な隙を作り出す。
「第6レベル呪文……レイズデッドLVⅡ」
「ごばぁぁぁぁぁぁぁ!?」
久しぶりと思われる痛みに、ごろごろと転がるバハムアーク。
「さあ、まだ続くぞ」
「おかしい、おかしいぞ! 幾重にも罠は張り巡らした。作戦は成功していた。なのに……なのに何故、レイズデッドを使えるんだぁ? しかもヘイストを使って、なお戦い負けるだと!?」
うん、バハムアークの作戦は素晴らしかった。
僕にサモンアンデッドを沢山取得するように仕向けて、レイズデッドLVⅡを使えないように手を打っているんだもの。
おまけに、僕にだけ掛かる弱体化の呪いまで使ってくるなんて。
4度目の攻防で呪文を使える隙ができた。
「第6レベル呪文……レイズデッドLVⅡ」
「うんぎょぉぉぉぉぉぉ!? バカな、第6位呪文をいくつ使ったんだ? そんなのあり得ない! それだけ使えるなら、第8位呪文まで使えてもおかしくないレベルだぞ!!」
バハムアーク、鋭いな。
「ちょっと、封印っぽいのにかかってね、第8レベル呪文を使えるまでには1年と半分くらいかかるんだ。第6レベル呪文……レイズデッドLVⅡ」
「ホデュァァァァァァ!?」
まだ、消滅しないのか。
流石マスタークラスの吸血鬼だ。
カミーラ、ひなたん、今頃どうしてるのかな。
吸血鬼で思い出してしまった。
バハムアークを見ると、流石に消滅しかかっている。
では、お話タイムにしよう。
「さて、バハムアークだったな質問むっ」
バハムアークのフェイントを交ぜた爪攻撃が、命中して僅かなダメージを受ける。
「第5レベル呪文……ストライキングス。おらっ、おらっ、おらっ! おらぁっ!!」
「グポゥ! ……グポゥ!!」
流石だ、これだけダメージを与えても、まだ僕の攻撃を半分避ける力が残っている。
しかも、僕に爪痕を残す反撃もしてきた。
「さて、質問コーナー」
「待て、今回は引き分けとしよう。なあ、ランディ、このバハムアーク様の配下になれ。そして世界を征服しよう。お前となら、待てっ」
「第6レベル呪文……レイズデッドLVⅡ」
「モヘェェェェェェェ…………」
バハムアークは灰になって消滅してしまった。
ムカつく事言って、僕に情報を与えずに死を選んだ。
流石だバハムアーク。
僕は敬意を表しつつ、次の呪文を唱えた。
◆
◇
◆
僕は、バハムアークと戦った場所より更に下の階層に来ていた。
玉座の後ろに隠し扉を見つけて開けると、柩が置いてある。
その柩を無理矢理こじ開ける。
「ば、バカなぁ、何故このバハムアーク様が消滅していないと判った? しかもこの場所にたどり着けるだと!?」
一応説明してやろう。
「お前の方がバカだろ。真祖級の吸血鬼が1回程度の消滅で、滅ぶわけがないだろ? だから怪しい場所をしらみ潰しに探そうとしたら、1発で見つかったんだ」
僕はここで嘘をついた。
実はオリジナル呪文『人物捜索』を使って見つけたんだけどね。
今は、言わない方が良いと思った。
「ま、まて……そうだ仲間にならないか、このバハムアーク様と同格の仲間だ。自慢できるぞ」
(こ、これ以上肉体を破壊されたら、復活に時間がかかり過ぎてしまう)
「じゃあ、待つとしますか。僕の質問に色々答えられたらだけどね」
「わ、解った」
(チャ、チャンスだ)
「君ってさ、人間のクレリックから吸血鬼になったんだよね?」
コクコクと頷く。
「じゃあ、君は何処から来たの?」
「話は長くなるが、ここの神、冥神、幽神、幻神に召喚されて、この世界に我々はやって来た。理由は停滞した世界を発展させるためだと聞いた。封印されていたせいで、時期は分からないが、封印が解け始めてから150年が経過している。今は地下限定で封印が完全に解けている」
なるほど、暗記しなければいけないくらい、大事な話だった。
何故なら、僕の知ってる神は、魔神、竜神、人神の三神だからだ。
「召喚された、メンバーはかなりの人数で6つの異世界から召喚され、研究、開発が進んだ。だが、私の創造主を含めた数名の技術力が凄すぎて、竜神、魔神、人神の強い要望で、強力なマジックアイテムと一緒に元の異世界に帰ったと言う」
なるほど、バハムアークは強力じゃないって事ね。
「で、なんでバハムアークはここに残ったの?」
(その流れ、待ってましたぁ!)
「それは、偉大な創造主が三神に秘密で私を封印し、隠したに他ならない。フハハ……聞きたいか? 偉大な創造主の名前を」
「うん聞きたい。バハムアークとは似た世界の出身だと思うから名前くらいは知ってるかもね」
「フハハ……このバハムアーク様も同じ事を考えた。偉大な創造主の名前は『大死帝』が一柱、ノーライフキング、ゾルディアークだ。知ってるか?」
う~ん、知ってるけど、昔話で聞いた事があるだけの奴だった。
「ああ、伝説の四大リッチだろ? 『ディアブロス』『ゾルディアーク』『クラギリウス』『ギャラガー』だっけ?」
たしか、物作りの好きなリッチがゾルディアークだったよな?
書物じゃ、失敗作を破棄する時、現地でポイ捨てする、環境に悪い奴。
「フハハ……知っていたか。ならこのバハムアーク様と協力するのは得策だと解るだろ? 1滴の血と蘇生のリバース呪文で、このバハムアーク様はすぐに復活する。さあ2人で世界を征服しよう!」
「蘇生の呪文だね。第6レベル呪文……レイズデッドLVⅡ」
「チ、チガァァァァァァァ」
ふぅ、またしてもムカついたから、先制攻撃してしまった。
「第4レベル呪文……人物捜索LVⅠ……むっ、あっちか」
僕のオリジナル呪文でバハムアークの次の柩の方向が分かった。
標は、隠し通路を差していたので、追いかけると、標は消えてしまった。
どうやら柩は1㎞を超えている様だ。
「長期戦になりそうな予感。普通の吸血鬼なら復活に3日かかるんだけど、念のため2日以内に見つけよう」
◆
◇
◆
「みぃぃぃぃっけ!」
「何故だあ、何故この場所が分かるんだぁ?」
「えっ、分かりやすい場所にあったから?」
「嘘つきっ! こんな地下建造物の天井裏が、分かりやすいわけないだろ!」
「第6レベル呪文……レイズデッドLVⅡ」
「オタスケェェェェェェ」
さて、また探すか。
こうして、僕のバハムアークを完全に消滅させる旅が始まった。
バカ王子「シクシク、シクシク(ToT)」
弟子「どうしました?バ……スピア」
イケメン「今回で、王都にいる特務隊の寸劇が最終回なんです」
信者「続きは、ランディが、17歳になってから」
特務隊「皆さん寸劇をご覧くださってありがとうございました」
キンジ「とうとう、次週はとどめを刺すだけです。次回神罰転生、闇の公園浄化! よろしく」




