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【138話】地下の不死城

「あっ、まだ溜まってない」


 アンデッドモンスターに対抗するため、聖水を汲みに来たのだが、涌き出る量が少なかったせいか、溜め池には聖水が、少ししか溜まっていなかった。


「第1レベル呪文……ホーリーウォーター」


 僕の呪文で、一気に3分の1まで溜まった聖水。


「うお!?」

「ぬあ!?」

「おおっ!」

「これが……」


 今回は対アンデッド戦を想定した、呪文選択をしてきた。


 ホーリーウォーターは普段より多く覚えている。


「さあ、行くよ」


 聖水を竹筒に入れてもらい、目的地に向かって出発した。


 だがこの後、気軽に地下洞窟に入った事を、若干後悔する事になる。


 出てくるモンスターは『スケルトン』『ゾンビ』『グール』の最弱トリオなので、いくら通常の固体より強くても、弱い事には変わりない。


 ずんずんと地下洞窟に向けて進む。


「こ、こんなに強かったのか」

「あの時は、手を抜いていたのか」


 トウドウとサイドウがアンデッドモンスターを瞬殺する度に同じセリフを言う。


 因みにあの時とは、トウセン、サイセンとまとめて闘った時の事だ。


 トウドウとサイドウも鍛えられているようで、森の中での動きがいい。


 楽々、地下洞窟に到着した。


「ここは、剣と盾を持った、白の魔獣が多くやって来る。普段は聖水の残量が3分の1になったら、撤退する」


「今までは隔日で北の大森林に行く日を分けていた。収穫は剣と盾が5組もあれば大収穫なのだが」


 既に洞窟の入り口には、3組の剣と盾をころがしている。


 たしかに、この森の中で、スケルトンの遭遇率は低かった。


 ならば、ここからスケルトンの遭遇率が上がるのか。


 しかし、期待はずれでスケルトンとの遭遇は、たったの2回だけで、さらに地下に行く階段までたどり着いた。


「ここから先は、私の記憶では1度しか入ったことがない」

「トウドウ、お前のとこもか、もう少しよい素材が欲しくて、西側も1度試した事があったが、半数も死んでしまった」


 なら、ここから先は期待して良いんだね?


 渋る町長たちを無視して、階段を下る。



 地下二階層から、洞窟の作りは完全に作りが別物になっていた。



 地下一階層は、適当に掘った洞穴の様な感じだったのが一転、地下二階層では堅い磨かれた石で壁や床が構成されてあり、天井は光蘚の様な植物が敷き詰めてあって、うっすらとだが、かなり先まで見ることが出来る。



 流石の僕も、いい予感はしない。


 僕にしては珍しく慎重に進むと、身体の要所をガードしてある鎧を装備したアンデッドモンスターが2体いる。


 黄土色の体、グールやゾンビとは違った圧倒的な死の香り。


 死体の中から来る存在感。


 アンデッドモンスターでも、強敵に属する種、ワイトだ。


 霊が死んでいる肉体に入り込み、操作する。

ワイトから怪我を受けると、同時に精神攻撃も仕掛けてくる。


 そして、その精神攻撃により死亡した者は、ワイトになり、死体を操りまた人を襲う。


 こいつは通常の武器で倒すことが出来ない。


 ワイトと戦うには、魔法の掛かった武器か銀の武器、又は、ワイトが生前大切にしていた持ち物と、生前の名前が必要だ。


 聖水だと、肉体を壊すことは出来るが、ワイト本体にダメージはない。


「トウドウ、サイドウ。こいつはかなりの強敵だ。僕が間違えていた。次の部屋を見たら、撤退しよう」


「えっ?」

「はっ?」

「伯爵様、自分の間違いに気づいたのに、ここより先の部屋は見るんだ?」

「それより、こいつをどうするんだ? ものすげぇ嫌な悪寒がする。伯爵様、こいつは本気でやべぇぞ」


 うん、1体ならじっくり遊んであげれるんだが、相手は2体。


 僕の油断で、トウドウ、サイドウに精神汚染は掛けさせたくない。


「当然、僕が蹴散らす」


 行くぞ、ワイトども。


 僕を止めようとするトウセン、サイセンを、無視して突っ込む。


「死に属する者よ、無と帰れ!」


 《オオォォォォォォォ…………》

 《オオォォォォォォォ…………》


「ふう、終わった」


「終わった、じゃねぇよっ。伯爵様、いきなり消えちまったじゃねぇか!」

「なんて凶悪な魔法を使うんだ。化け物だ、伯爵様は化け物だ!」

「あわわわわ」

「ひぇぇぇぇ」


 最近、ユタの民が突っ込み集団に見えてきた。

 ボケ役は僕独りにやらせて、800人で突っ込む。


 ボケ役が足りない……いや僕、ボケ担当じゃないし!


「しかし、領主様の浄化の魔法があれば怖いものなしですな」

「これなら、幾つかの素材を持ち帰れましょう」



「いや、そんな凄い()じゃないよ。これは、ターニングアンデッドと言って、一時的にアンデッドモンスターを追い返す技なんだ。ただ僕と比較して弱すぎるアンデッドは追い返せずに、浄化しちゃうんだけど、使用回数も決まって万能ではない」


「そうですか、そうですよね。そんな便利な技が何回も使える訳が」

「因みに、領主様はどのくらい使えるのでしょう?」


 僕は黙ったまま指を4本立てる。


「1日4回、少ないですね」

「あまり多用できない技ですか」


 勘違いされてるので、口を開く。


「1ターンに4回だ」


「えっ?」

「へっ?」


「……10分に4回使えるの」


「……」

「……」

「伯爵様、そりゃもうほとんど無限じゃねえか」

「トウセン、俺は伯爵様の異常さに、だいたい慣れて来たぜ」


 たしかに、並のクレリックは10分間に1度か2度だからな。


 ここを城門と例えると、次は大広間が出てくる公算が高い。


 そのまま進むと読み通り、大広間にやって来た。


 そこには、36体ものスケルトンが僕達を迎えるように整列して立っていた。


 スケルトンが統率されている。


 自然発生のアンデッドじゃなく、造られたアンデッドモンスターの可能性があるな。


 クリエイトアンデッド又はサモンアンデッドか……


 すると、何もない空間から突如声が聞こえてきた。



『ようこそ、不死城バハムアークへ、食料の皆様』



 こ、これは、マジックユーザー呪文の……

「ダイレクトヴォイス」


『フハハ…………第1位呪文とはいえ、マジックユーザー呪文をお知りですか。ワイトを破壊する程のターニングアンデッド、貴方はかなり高位のクレリックと確信しました。推測するに、この私バハムアーク様と同等のクレリックと見ました。貴方なら解りますね。このスケルトンは死体から造り上げた物ではないその意味が」



「??」

「??」


 不思議そうにしている彼らに、説明しながら答える。


「アンデッドモンスターは、無から召喚するより、死体から造り上げた方が簡単なんだ。だから無からアンデッドモンスターを造り上げれる者は、高位のクレリックと判るんだ」


トウドウたちに説明をしながら、バハムアークが何者か思考する。


 第6レベル呪文で粋がっているのは滑稽だけど、それでも高位のクレリックなのは間違いない。


 しかもマジックユーザー呪文まで併用出来るなら、限られた小数のモンスターに絞られる。


 ヒントは、不死城と名乗り、第6レベル呪文を自慢する程度のモンスター。


「吸血鬼か……しかもマスタークラス」


生前がクレリックで、生きたまま吸血鬼に変化した場合、マジックユーザー呪文を収得出来る場合がある。


リッチならば、第6レベルで自慢したりはしない。


『フハハ……これは想像以上だ。このバハムアーク様の正体に限りなく近く当てるとは。フハハ……どうですか、このまま闘えば貴方たち食料は確実に全滅、しかし同格のクレリックが折角いるのです。このバハムアーク様と『サモンアンデッド』で勝負しませんか? 使えるのでしょう?」


 こいつ、よほどサモンアンデッドに自信があるみたいだ。


「わかった。ただし、こいつらは返してあげて」


 親指でトウドウたちを差す。


『フハハ……良いだろう、一対一で正々堂々と勝負と行こう。スケルトンナイトよ、後ろに下がるのだ』


 スケルトンは統率を保ったまま、この部屋から消えていった。


「トウドウ、サイドウ。最後まで見てやれなくてすまない。まあトウセン、サイセンが居るから、無事に町まで帰れるだろう」


「領主様」

「領主様」


「トウセン、サイセン、2人を頼む。もし僕が帰ってこなかったら、状況を配下のダナムとペンタゴンに知らせろ。たぶんそれまでには戻ってこれると思うが、城の規模が解らない。最悪迷子になる可能性もある」


 マッピングは、ガルやカーズの仕事だったからね。


「伯爵様、ご無事で」

「伯爵様、死なないでくれよ」


 さすがに(それ)は想定してないけどね。


 僕は、4人を送り出してから、奥の部屋に進んだ。


『フハハ……改めてようこそ。左にある部屋でゲームの準備で休むと良いだろう。呪文の再取得が必要だろう。休息は今から11時間で良いか?』


 ずいぶんと中途半端な休憩時間だな。


「ああ、かまわない」


『では、ここから遊技場までは直線の階段を下り、一本道の地下6階にある。フハハ……ではお互いこのゲームが楽しめるよう、健闘をいのる』



 さて、では左の小部屋に入って休憩しますか。



 小部屋に入り、安全のため、呪文を使う。

「第6レベル呪文……クリエイトルーム」


 僕は、他の気配を感じると熟睡出来ないから、この部屋の中で休息をとる。


 さあ、明日が楽しみだ。



 ◆

 ◇

 ◆



 地下城の玉座には、バハムアークが高笑いをしていた。


「フハハハハハハハハ……お前は既にこのバハムアーク様の掌の上。遊技場に来るまでには1時間は掛かるだろう。その間にフハハ……」


 バハムアークは使える限りの呪文を使い、下準備をする。



 そして、6時間後に呪文を再収得したバハムアークはサモンアンデッドでアンデッド軍団を構築する。


「フハハ……このバハムアーク様は死の呪文に限り、2倍の回数を使用できる。しかもここで召喚したアンデッドは通常の個体より強力になる。万が一にも負けることはない!」


 バハムアークは、ランディより有利に戦うため、事前にアンデッド軍団を編成し、自分の有利な力場で戦えるように、準備をしていた。


「フハハ……今回は、攻撃用のマジックユーザー呪文を中心に覚えた。代わりにあのクレリックは『サモンアンデッド』中心の呪文で覚えるだろう。呪文の幅が狭くなったあのクレリック相手に、このバハムアーク様の勝ちは確実で揺るぎない。しかも、あやつの血を吸えば、このバハムアーク様のレベルは確実に上がることだろう。おまけに死体なったクレリックを眷族にすれば、有能な片腕の出来上がりだ。フハハッ……笑いが止まらないな。フハハハハハハハハッ!」



 準備万端のバハムアークにランディは、どのように挑むのだろうか。




バカ王子「アルテリオンは逝ったか……」

弟子「あれだけ、痛め付けたのに、よく出立できたな」

信者「答え、回復魔法。それより一部の貴婦人が暴動を起こしている。原因ランディ商会の美容品だ」

バカ王子「ああ、ランディを辺境に追いやった主要貴族のはひとり『マニュエル侯爵夫人』とその娘が陣頭にたって騒いでいる。あれを知ったときは、腹を抱えて笑った」






キンジ「さあ、ついにランディさんとバカムアークがたたかいますよぉ。次回神罰転生『不死城の主』よろしく!」


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