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【137話】宴会

「ランディ、待たせたな」

「ランディ殿、お待たせしました」


「ダナム、ペンタゴン、ご苦労様」


 ダナムとペンタゴンが数名を引き連れて、食料3400人分、塩100㎏、胡椒4㎏、砂糖40㎏を運んでやって来た。


「ようし、僕の領主着任記念として、これを取り分けよう」


 住民を1人呼び止めて、2人の町長、トウセン、サイセンを呼び出す。


 ここの住民は、約800人弱。

 クリエイトアイテムを使って、50グラム入れられる瓶を召喚する。


 僕のルールでは、そのまま売るためにクリエイトアイテムは使わない。


 そうすれば、お金を無限増殖出来て、異世界旅行の面白さが失われてしまうからだ。

 だから、後先は考えないが、使用するためとか楽しむために、僕のクリエイトアイテムはあるんだ。



 しかし、調味料を何千もの瓶に入れるとなると、手間が半端ない。


 現地で労働力を捕まえよう。


 トウドウ、サイドウに説明して、労働力を手に入れる。


「領主様は、税を納めるよう言われて来てるのではないですか?」

「それに、このような施し、意図がわかりません」


「ふっバカだなあ、この町はもう僕の物だ。その僕の民を元気にさせないでどうする? それに税金はいずれ上げるぞ。そうだな今の5倍くらい稼げるようになったら実行するからな」




「領主様! これからは心から貴方様を領主と認め、忠誠を誓います」

「ですが、町の収入を5倍にするなんて、どんな事を」


 僕の言葉に真実味を感じたのか、破顔した直後、頭を下げてきた。


「んっ、まだ考えてない。だが、素敵な作戦が見つかるまでは、僕の私物で施すから、期待して待ってろ」



「ははっ」

「ははっ」


 2人で仲良く頭を下げた後、僕の戦利品を見てつぶやく。


「それにしても、グレートスタンプ、キャットスパイダー、さらにはクラッシャージョーまで」

「この、猛獣に町の人々が何人犠牲になったことか」


 そう言えば、アンデッドモンスターといい、美味しい肉モンスターといい、僕の知る個体より、少々強かったな。


 ばらつきなく、一様に強いのが引っ掛かる。

 何がタネがあるのかもしれない。

 今夜の祭りの後に考えよう。


 ん? 少し騒がしいな。


 見ると、調味料の瓶詰を依頼した町の人々から、驚きと歓喜の声が、わきあがっていた。


「こんな綺麗な塩、初めて見た」

「良いのか、あの貴族様の就任祝いだからって、ただで貰って」

「この、塩一瓶でも相当な金額になるぜ」

「まてよ、それよりも、砂糖の方が凄い。こんなすごい物、年に1回お目にかかるかどうかだぜ」

「それよりも胡椒だ。前の貴族が言ってた。金と同様の価値があるって」


 むっ、胡椒はやり過ぎだったか。

 確かに高価だったけど、王都ではしっかり出回っていたからな。


 でも、大きいとはいえ、食肉5頭じゃ宴会には足りないか。


「ダナム、ペンタゴン。町の人を2、3人連れてくるから、南側の森に出かけよう」


「食料調達か? 砦の民の話じゃ、かなり強い……いや、ランディがいれば問題ないか。腕がなるな」


「ランディ殿、私にも殺らせて下さい。そろそろ腕が鈍ってしまいます」



 ◆

 ◇

 ◆

 

 南側の森から肉の塊を持って帰ってきた。


「はぁ、はぁ、これが魔の大森林か。噂には聞いていたが、歯ごたえ充分だったな。俺様1人では倒せない獣か」

「そうですなダナム殿、わたしも攻防一致の戦い方がうまく機能しない獣との戦いは新鮮だった」


「もういやっ!」

「命がいくつあっても足りねぇ」

「特に領主様がイカれてる」

「俺は誓う。領主様と魔の森には出かけねぇ」


 楽しく狩をしてるのに、ユタの戦士には不評なんですが?


 まあ、今夜の宴会で好評に変えてしまいましょう。



 輸送隊の中には、レジーナの弟子もいたから、ニクガクルガとミートボアの基本調理法を伝えて、丸投げした。


 大鍋と大樽を用意して、宴会を始める。


 残念だけど、大釜は出すことは出来ない。


 僕のクリエイトアイテムは、リカバーで修復した50㎏以内の物品しか召喚する事しか出来ないからだ。


 でも、そんな制限が楽しい。


 そして、クリエイトウォーターで、発泡酒を出す。


 この、貧しい町では、安酒ですら年に1回くらいしか飲めない状況らしく。


 何故、盛大に盛り上げているのか不思議そうにしていた。


 演説の準備が出来たので、メガホンを持って台に上がる。


「僕がこの地域一帯の領主となった、ランディ・ライトグラムだ。数日前から着任したが、ユタの町が1つになり、僕を名実共に領主と認めてくれたようなので、宴会を開く事にした。今回は全て僕の私財で賄ったが、そんなやり方では、宴会の開催は年に1度が限界だろう。だからお前たちには、苦労した分の収入を、命を懸けた分の報酬を受け取れるように、町を作り替えてやる。最初は全て僕が手伝ってやるから、明日のために、食べて、飲んで、騒ぎやがれ!!」


 ふっ、まともな領主なんて、やったことがないから、こんなセリフで良いか自信はない。


 だけど、みんな盛り上がって、宴会を楽しんでくれた。


 僕は、辺りを歩き回り、様子を窺いながら進んで行く。



「今度の領主様は、気前も良いが、戦闘能力が桁違いらしい。まさにユタの領主にぴったりだな」

 

 うんうん。


「このお酒、最高だな。○リン淡麗とか言う名前らしい。俺は今回の領主を信じてみようと思う」


 うんうん。


「うちの戦士たちと、猛獣を10体も捕らえてきた。しかも怪我人なしでだ。領主様は30日分の働きを、たった1日でやってくれた。領主様バンザーイ」


 うんうん。


「領主様は東西の亀裂を直し、犯人の魔獣の死体まで見せてくれた。こんな楽しいことがあるか? 俺は幸せだ」


 うんうん。


「領主様は凄いお方だが、大森林に入ると悪い意味でもの凄い。係わるなよ」


 うん、うん?


「あの人は森に入ると、とりあえず走るんだ。戻ってくる頃には、数体のキャットスパイダーが後から追いかけるようにやってくる。いくら領主様が強いとはいえ、生きた心地がしなかった」


 うん、あれ?


「クラッシャージョーを知ってるな? あの化け物が、泣きながら逃げるのを、楽しそうに追いかける領主様は、まさに森の主だった。大森林に入った領主様は別人だからな」


 おや? あれっ?


「領主様が何故ユタの町に来たのか、解ったんだ。あんな化け物が王都に居られる訳がねぇ。化け物過ぎて追い出されたに違いない」


 おいこら。




 こうして翌日以降、僕と森の動物を狩りに出かける戦士は、ほとんどいなくなった。



 後片付けをしていると、トウドウとサイドウが揃ってやって来た。


「準備を率先してやると思えば、後始末にも参加する。今回の領主様は、本当に変な御方よ」

「だが、トウドウ、今回の用件は違う。領主様、民の話をいくつか聞いていて、聞き逃せない事があって、ここに来ました」


 ほう、どんな用件でしょうか?


「うん、言ってみろ」


「その前に、ユタの町の北側には、ナパという名前の町が、150年ほど前まではあったのですが、その町のごく一部に不思議な魔法を、使う人が居たそうです」


 トウドウの言葉にサイセンも続いた。


「その魔法とは、北の魔獣に効果のある聖なる水を出現させたり、農具を直したり、出現させたりし、さらには今の回復魔法とは種類の違う回復魔法を使ったと言う」


 なるほど、150年前は、ナパの町にクレリックがいた可能性があるって事か。


「領主様は、聖水を出し、聖光を照らし、大鍋や大樽を出しました」

「それで、領主様の祖先はこのナパなのかと考えたのです。只のお伽噺と思っていたのですが」


 言いたいことは解ったけど、僕は違いますから。

 だけど、150年以上昔にクレリックが紛れていたのは間違いなさそうだ。


 150年前滅んだ町のナパか。

 できるだけ早く、調査に出掛けたいな。


「トウドウとサイドウの聞きたいことは解ったけど、僕はナパとは関係ないよ。ただし、そのナパの人は、僕と同じ術式の魔法を使えたかもしれないね。僕も君たちの知る回復魔法とは、別の回復魔法を使え

るからね」


「っ! そうですか」

「わかりました」


 僕も宴会中に気づいた事が、間違いじゃなさそうだと感じた。


 かなり少ない人数だけど、クレリックの素質を持っていそうな民を見つけたんだよ。


 僕の勘違いじゃないな。

 もちろん、素質がなくてもクレリックになることは出来る。


 だけど、素質があった方が育てるのは楽だ。


 時期を見て、勧誘してみるか。


「それよりも、明日北西側にある地下洞窟に行く。4人ほど人手を貸してくれ」


「はい、分かりました」

「はい、お任せください」



 ……

 …………


 翌朝。


 僕はダナム達の見送りをしている。


「ダナム、ペンタゴン。頼んだよ」


 砦に残してきた、ロイエン、クラリス達を迎えに行かせる。


 安全な道があるとはいえ、確証はないから、この2人が頼りだ。


「ああ、任せてくれ。行きは3人だから、3日もあればつくだろう」

「ランディ殿、遅くても9日以内には、戻って参ります」


「領主様そんなことより、何故私がここに?」

「トウドウの言う通り、何故私が武装を?」


 ダナム達を見送るその足で、地下洞窟に向かう手はずだ。


 しかし、4人集まらなかったから、責任をトウドウとサイドウに取らせた。


「だって、4人集められなかったじゃん。責任取ってね」


「うう……誓った忠誠を取消したい」

「みんなの言葉は本当だった。こいつ悪魔だ」

「トウドウさん、心配しないでくれ。俺とサイセンが居る」

「ああ、戦いは伯爵様がやる。化け物の様に強いから安心してくれ、トウドウさんとサイセンさんは案内を頼む」


 不思議な事に、僕の事を『領主様』『領主様』と尊敬してくれるわりに、大森林に絶対同行しないと断られてしまった。


 だから、トウドウ、サイドウ、トウセン、サイセンと僕の5人で地下洞窟に行く事になった。



 ◆

 ◇

 ◆


 とある広い殺伐とした部屋に、1つだけ豪華な椅子が設置してある。


 その椅子は、禍々しいデザインであるが、正しく玉座と言える物だった。


 その椅子に座る、赤い瞳の輪郭の整った、見た目40代の男が座っていた。


 その男は赤い瞳を細め、真っ赤な唇を開く。

 開いた唇からは、大きな犬歯が2本見えた。




「……フハハ……カマドーマは逝ったか。だが、貴様の150年と言う短い命、最後は有意義だったな。このバハムアーク様の封印を、仮にでも解いたのだから」


 バハムアークと自分で言った男は立ち上がり、片手を前に出す。



「フハハ……この『地下城』限定であるが、復活したバハムアーク様の力を見せてくれよう。我は求める闇の力を具現化し、その形を成して下僕とせよ……サモンアンデッド」



 バハムアークの前に黒い闇が出現して、無数のスケルトンが、闇から出現してきた。


「フハハ……クレリック第6位呪文、サモンアンデッド。これからは、このバハムアーク様の命で動くアンデッド軍団が、無限に生み出せる。世界よ! 刮目せよ! このバハムアーク様が手始めに、この国を『死の軍団』で支配してやるわ」




バカ王子「最近つまらんな、楽しいことはないのか?」

信者「アカシア王国の密偵も終了した」

弟子「今はロイヤルナイツが忙しいらしい」

イケメン「ということで、色々と隙な私に任務が言い渡されました。エスパルでシャンプーとリンスの買い付けに行ってきます」

バカ王子「何だって!? 狡いぞ!」

信者「何故、ダークソードが?」

弟子「まだ、師匠は出立して時間が経ってない。それどころじゃないはず」

イケメン「ええ、でも王妃様の分くらいはあるでしょう。ランディの様子しっかりと見てきますね。……うわっ、何するんですかスピア」

バカ王子「いや、お前が怪我をしたら、その役目、俺がやろうと」

信者「なるほど、くらえぇ! ダークソード!!」

弟子「アルテリオン、さらばだ。師匠直伝ランディキーーック」

イケメン「やめなさい、本気でやめなさい」





キンジ「なんか大物が出てきました。今のランディさんも第6レベルまでだからか、久しぶりのピンチ? 次回神罰転生『地下の不死城』よろしく」


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