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【14話】ランディ盗賊と戦う

 何でこんな事になってる?


 私は『ウエストコート高等学院』学院長、ハベンスキーだ。


 私は三人の護衛と一緒に、謎の盗賊供と戦っている。

 何故こんな地域に七人も盗賊が?


 何でこんな事になったのだ?



 思い返すと、九年前に先輩であり友人でもあるマキナスが、学院長を無理矢理、私に押し付けてからが、災難の始まりだった。


 国をあげて開催される、一大イベント『八武祭』では、五年連続のビリ。

 生徒達の回復魔法を習得する確率が低下傾向になったり。

 毎年々々、公爵様に脅され、三ヶ月毎に侯爵様にネチネチと虐められる。


 終に、ストレスで私の髪の毛と、永遠の別れをしてしまった。

 私は、あと二年も低迷を続けたら、暗殺されるかもしれない……


 何で校長の任期が六年単位なんだ!? あと三年もこの地獄を味わえと?……


 私は起死回生の手段として、マキナスに戻って来てもらい、彼に要職に就いて貰おうと考えた。


 そして、マキナスの隠居している村を探し出して、手土産を、大量に馬車に詰め込み出かけた。



 しかしその手土産は、私の命と一緒に、盗賊供に奪われる寸前だ。


 四対七では、分が悪過ぎだ……しかも私はそれほど強くない……恐らく一番弱いと思われる盗賊と戦ってもギリギリで私の方が弱いだろう。


 ああ……私の人生は災難続きだったなぁ…… 死んだら、マキナスを呪ってやることにしよう……私はそう誓った。


 だが、私はあの世に旅立つ事はなかった。



 ▲△▲△▲△▲△


 

 近頃体力が有り余っているので、ちょっと遠くまで走っていたら、どっかの馬車が野盗と思われる集団に、襲われているのを見つけた。


 僕は、腕試しを兼ねて、野盗から助ける事にした。

 正直、ロイエン相手じゃいくら本気を出しても、殺意の篭った本気まで出せないからね。


 ランディ行きます!


「第一レベル呪文……マジックストーン」

 ゴトゴトゴトゴト……

 僕の足元に二十五個の野球の球より、少し小さい石が、ゴロゴロ出てきた。


 これは破壊力の有る魔法の石だ。

 殺傷能力は普通の大人ならば、二・三発当てれば、死んでしまうくらい威力が有る。


 えっ? 大した事ないって? だって第1レベルだよ?


 先ずはマジックストーンで、野盗の分断をねらいましょう。


 一発目は、クリティカルヒットだったらしく、目標は盛大に吹き飛んで、動かなくなった……哀れ。


 二発、三発と投げると、野盗が目の色変えてこっちに走って来た。

 その間に、野盗を追加で一人倒した。


 そして、僕に向かって来たのは二人だけ……いいの? たった二人で……

「第2レベル呪文……オグルパワー」

 これは、腕力をオーガ級まで引き上げる呪文だ。


 子供の僕が使うと効果は劇的に上がる。

 例えば前世の力を20%継承してる僕の力を約90とするなら、オグルパワーは230だ……凄いだろ。


 野盗が、暴言を吐きながら迫って来た。

「ガキだからって容赦しねぇぞ!」

「ママのおっぱいでもしゃぶってれば死ななかったのによっ!」


 えっと……言い難いんですが、まだおっぱいしゃぶってますよ?

 今でも巨乳ビッチのレジーナが、せがんて来ますから。

 はい、僕はノーと言えない日本人ですから……


 と思っていたら、野盗が目の前にぃ!?

 しまった、作戦だったか……なかなか賢いなっ。


 ガキィーン!


「んなっ!?」

 野盗の手から剣が離れる。


 子供と思って油断しすぎだよ、普通の子供が野盗の喧嘩に交ざる訳無いじゃん。


 もう一人は武器を狙わず、直接腕を棍で叩き折った。

 ボキッ!

「ぐあぁっ! ギ、ギフト持ちかぁ……」


 僕の事を『ギフト持ち』と勘違いしたみたいですね。


 取り敢えず向かってきた野盗二人は、両手両足を叩き折って、馬車近辺で戦闘中の所に救援に行った。


 不味いな……盗賊も一人倒れてるけど、襲われた方も一人倒れているし、あきらかに全滅まで、後三分弱って感じだ。


「第2レベル呪文……ストライキング」

 僕の棍に魔法追加ダメージを付与させ、戦闘に乱入した。



「あっ? なっ!? ゴアッ……何だと、ゴプェ、ブギャン!」

 一人撃沈。

「おい、大丈夫か……グボゥッ、グフッ、タワバッ!」

 二人目撃沈。

「この糞ガキ……ヘブン、ゴポォッ! アベシ、ホゲラッ」


 よ、弱ぇ……油断しすぎだろ? まあ見た目が八歳の子供に初見で全力で来るのも、珍しいと思うけどね。


 野盗の弱さにあまりにビックリしていると、息を切らせながら、禿げたジイサンがやって来た。


「た、助かった……礼を言うが、君はいったい……」


 驚くのも分かるけど、今は死にかけのこの人!

「ちょっと待って……やっぱり、このままだと死んじゃいそうだ」


 ギャラリーが居るけど、人の命が懸かってる……うん!

「グランヒーリング」

 致命傷を負っていた人の傷がみるみる塞がっていく……が、完全に治らない。


「なっ! グラン、グランヒーリングだと? 子供がグランヒーリング!?」


 ハゲジィが五月蝿いんだけど……無視無視


「もう一丁グランヒーリング…………うん、治ったみたいだ」


 二人の護衛は驚きと喜びが入り交じった表情だ。僕は、重体だったもう一人の護衛に近づく。


「おじさん達も、怪我をしてるよ……エクスヒーリング」

 それほど重傷じゃないと思ったけど、完全に治らない。

 この世界の魔法、効率悪くないですか?

「まだか……エクスヒーリング」


 この人も完全に治ったかな……あと一人……しかしハゲジィはさっきから『なにぃ!』と『何だと!』とか、もう五月蝿いなぁ……


 もう一人も『エクスヒーリング』二回で完全回復しました。


 ……

 …………


 ハゲジィがまともな会話が出来るまで、結構な時間を過ごしてしまった。



 ハゲジィは、救援のお礼で馬車の荷物一つくれるって言ってきた。


 僕は小さめの物を貰って、名前を告げて帰った。

 良い事したな……将来、見返りがたくさんやってきます様に。



 しかし初の戦闘(命懸け)は圧勝だったな、やはり『オグルパワー』は圧倒的だった。


 明日から多目に覚えておこう。



 ……………………あっ、ハゲジイさんの怪我を治すの忘れてた……



 ▲△▲△▲△▲△



 私は十歳にも満たない子が、七人の盗賊の内、六人も倒した衝撃から未だ覚めていない。

 もちろんその中には、手傷を負った盗賊もいたが、倒した事実に変わりない。


 見た感じでは、龍神のギフト持ちだろうが、そんな事よりあの子は、回復魔法を使った……しかも上位回復魔法を複数回も……グランヒーリングが二回にエクスヒーリングが四回……最低でも魔力総量が320を超えるって事だぞ……しかも、魔力の枯渇の様子もない。


 あの様子なら、少なく見積もっても魔力総量は360は有るだろう……ならば魔神のギフト持ちか?


 いや、あの腕力は龍神のギフトで間違い無い。

 こんな田舎にあれほどの人材がいるとは……


 是非とも、我が学院に入学させたい……たしか、ランディ・ダーナスと言ったな。


 マキナスに会ったら聞いてみるか……きっと何か分かるはずだ。




明日からペース落とします。

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