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【120話】お茶会準備

 最近は忙しく、身体が鈍るんじゃないかと思う今日この頃。


 転生前と違って、マジックアイテムに守られていない僕は、親に守られていない子供同然。


 剣士の国、ベルデタルにお願いして『腕が良い筈なのに剣以外の製造する事を好む』そんな鍛冶職人が欲しいと、お願いした。


 狙いは、僕専用の武器と防具を造ってもらうため、それが終わったら、水車や風車など回転を利用した道具類の作製をお願いするつもりだ。


 頼んでから返答に2、3ヵ月はかかるだろうから、気長に待つ事にした。




 因みに帰還した時、マニュエル侯爵の百面相ぶりは素晴らしかった。


 笑顔の公爵と共に剣士100人の軍団を連れてた僕たちを見て、肝を抜かれた顔をしたと思ったら、目玉が落ちるほど瞳を見開き、唇がぶれるほどプルプルさせ、顔色は、赤になったり青になったり、顔芸だけで、食っていけるんじゃないかと思ったほどだ。


 おまけにタイミングよく『マヌケ鳥』が上空を通過して、この世界の言葉で『マヌクェー、マヌケェー』と鳴いていた。


『五月蝿い!』と上空に向かって叫ぶマニュエル侯爵に別の鳥が、真上から糞を投下した。



 その糞は見事にマニュエル侯爵の口の中に入り込む。

『ぐぼばぁっ!?』

 とナイスな効果音を出した後、土気色になって倒れた。


 不思議な事に、マニュエル侯爵側の治療係が様々なトラブルにより到着が遅れ、2日間腹痛で寝込むことになった。


 まあ、こんな偶然があり得る筈もなく、証拠も出ない事から、王族特務隊が怪しいと想像した。



 何故想像止まりかと言うと、サンジェルマン王子やアルテリオン達は多忙で、僕にかまってる暇はないからだ。


 正確に言うと、王族全体が忙しくしている様だ。


 何かあるのかな?




「あなた、ランディ、次の店に行くわよ」


「まだ行くのか?」

「え~!?」


 クラリスの声に、ロイエンと僕が疲れたように返事をする。


 僕は今、ロイエン、クラリス、レジーナ、ドリアさんと、お茶会用の礼服を買いに出かけていた。



 こんなことになったのも、ドリアさんの阿呆な発言のせいだ。



 ~回想~


 クラリスとロイエンが珍しく? 僕に突っかかってきた。


「ランディ、お前は何て事をしやがるんだ!」


「ランディ、聞いたわよぉ。この前のお茶会で 『隣国との最悪な状態が、たったの一ヶ月で最友好国になったのは、貴女のご子息ランディ子爵の功績なんでしょ? 今度の私が主催するお茶会には必ずいらしてね』『数々の武勲に、うなぎ登りの商会、10代での伯爵も夢ではありませんな? 来週の会は親しき者の集まりですが、お二方には是非参加を』『私の姪が、来年14歳になるのですが、ご子息のお眼鏡に適うか、1度見て頂けないでしょうか?』とか凄いし疲れるのよっ」


「そうだぞ、ランディ。それだけならば少々疲れる程度ですむが、一部は『ド田舎の新興貴族が調子にのりやがって』とか『子供の脛をかじる親共』とか、妬みの視線が凄く痛いんだぞ。以前お茶会を断ったら、バッチリ聞こえる陰口で神経をすり減らしたんだぞ」


「と言うわけで、やり過ぎよランディ!」



 と、八つ当たりされていた。


 ロイエンとクラリスの気持ちも、解らない訳ではないから、対処に困っていたら。


 ドリアさんがやって来た。


「ヌホォ! 父神様、聖母様、このドリアに良い策があります。ヌヘェ、次回のお茶会、ランディ殿をお連れになっては如何でしょうか?」



「……!?」

「はっ!」


 ロイエンとクラリスが、衝撃を受けたような表情をしている。


 まるで『こんな名案、何で今まで気づかなかったの!?』と言っている様だ。


「もちろん、ランディ殿は多忙ですが……ドロワット、聖母様方のお茶会の予定表を」


 なんで、お前がそんなの持ってんの?


「ゴーシュ、ランディ殿の予定表を」


 僕のまであるんかい! 怖いわっ!


「ほら、こうして照らし合わせれば、半分以上はランディ殿はお茶会に参加出来ますぞ」


 ドリアさん? 今、僕の予定をずらしましたね?

 お前はマネージャーかっ!


 ~回想終~



 そんな事もあってか、お茶会の予定がたくさん入ったので、服を新調しに来たのだった。


 そして、お茶会の苦手なクラリスも、ドレスや礼服選びは楽しいみたいで、僕とロイエンは着せ替え人形同然になっている。


「いらっしゃいませ、ライトグラム子爵御一行様。この店を取り仕切っていますバーボンと申します」


 イケメン店員さんが出てきました。

 しかも、この雰囲気だと予約して来たっぽいぞ。

 まさか、今までのショッピングはプロローグだとでも言うのか!?


 この世界の女性の買い物、まじ恐い。


 香織ちゃん達は、普通だったのに。


「ライトグラム子爵様、初めまして。これからも当店をよろしくお願いいたします」


 と頭を少し下げてきた。


「バーボンさんだっけ? 母さんとレジーナは普段ここで買い物を?」


「クラリス様は、何回か来られた事がありますが、レジーナ様は2度目になります」


「ぼっちゃま、奥様の紹介で1度買いに来たことがあるんです。見ただけで、理性がぶっ飛ぶような下着の注文を……はっ、何でもないです」


 いや、8割方喋っちゃってから誤魔化しても駄目でしょ。


 クラリスは跳ねるように歩いて、僕とロイエンの服を集めている。


 これ、全部着るのか……


 ん? ロイエンが居ない、どこだ?


 探すと、ロイエンは気配を殺して店の出口の扉を、そっと開けているところだった。


「追うんです! ドリアさん、捕まえなさい! 」


 当然、ドリアさんではロイエンを捕まえることは出来ないが、彼には2人の従者が店の外で控えている。


 王宮騎士級の従者2人に、なすすべもなく捕まるロイエン。


 無駄に抵抗したせいか、鼻血を出すロイエン。


 僕はバーボンとドリアさんを見て閃いた。


「ヌフゥ! ランディ殿、任務完了です」


「ドリアさん、ご苦労様です。ちょっと此方へ」


 ドリアさんを連れてバーボンさんの横に立つ。


「素晴らしい!ホラ、見て御覧なさい!

 バーボンさん、ドリアさん、こんなに綺麗な花火……鼻血ですよ……」


「ヌホァ?」


「は?」


 どうやら、分かってくれなかったようだ。


 ふ、マーニャなら『お兄ちゃん、番外編のセリフを持ってきても解る人少ないよ?』くらい言ってくれるはず。


 ちょっぴり寂しくなりました。


 そして、まもなく着せ替え人形になる僕。


「バーボンさん、ドリアさん、どうですかこの服は?」


「とても良くにあっています、ランディ様」


「ヌホォ! 流石は使徒様、いやランディ殿、何を着ても様になりますヌハァ」


「あなた方は、お世辞がうまいですねぇ、仕方ありません、今度ボーナスを弾むことにしましょう」


「ありがとうございます。ランディ様」

「ヌフゥ! ランディ殿、最大級の感謝を」


 フリ○ザ一味ごっこをしていたら、楽しくなってきて、買い物イベントを無事に切り抜ける事が出来た。




 そして、少なくない回数のお茶会に参加した僕は、そこで凄い情報を入手する事になった。

ランディ「マジックアイテムに護られていないと、親のいない子供同然だな」


キンジ「ダウトォォォ!!」


カーズ「失礼ですねキンジは……私と兄さんはアーサーやガルと違って生身のか弱い人間ですから」


キンジ「カーズさんは、ワケわからない詠唱で腕とか口とか生やすから論外っす。それよりランディさんだって、鋼皮で通常理攻撃無効にして、スペルイミュニティーで低レベル魔法無効にして、オグルパワー&ストライキングで、スペシャルパワーアップするし、マジックアイテムなくても、か弱いなんて認めません!!」


カーズ「たしかに……これからはか弱い人間を訂正しましょう。私と兄さんはほぼ普通の人間です。これなら筋が通りますね」


キンジ「もうやだ……天才と何とかは紙一重って

ことわざを改めて実感したっす」



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