【112話】第6レベル呪文解放
ある日、目覚めると呪文選択の一覧に『第6レベル呪文』の項目が追加されていた。
きた! 徐々に転生前の力が戻りつつある。
この世界の人間には申し訳ないが、まともに戦って負ける気がしなくなった。
生命力は、ギリギリ転生前より落ちるが、筋力と敏捷性はあの頃を超えた。
その上で第6レベル呪文の開放。
なんか、ひなたんを仲間にした頃を思い出すな。
さあ、説明回ですよ。
第6レベル呪文 18回
レイズデッドLVⅡ※≡死体の5割の体が有れば蘇生可能、蘇生期限レベル×1日 蘇生率90% 《ランディは99%》
クリエイトアンデッドLVⅡ≡死体からグール、マミー、ジャイアントボーン、ゴースト、スーパーゾンビ等を作り出す。
サモンアンデッドLVⅠ≡アンデッドモンスターを産み出す。
スペルイミュニティLVⅡ≡第3レベル呪文以下を無効化する。無効化時間は1時間
カース(呪い)※≡対象に呪いをかける
鋼皮LVⅡ≡通常武器からの完全防御 効果時間 は1時間
クリエイトルーム≡異次元から部屋を召還する。効果時間は24時間、広さはレベル×㎡
ディテクトアイテムLVⅡ≡物品探知距離無限、効果時間24時間
僕は1日に18回のクレリック呪文を使う事ができる。
はっきり言って、このレベルをズンドコ唱えられるのは、僕の知る限りでも一桁しかいない。
先ずは、レイズデッドLVⅡ。
これを覚えてしまうと、第4レベル呪文のレイズデッドLVⅠは、おままごとだ。
僕のレベルなら死後50日以内であれば蘇生が可能だ。
ただし、肉体の5割が残っていないと、蘇生は無理だけど。
通常のクレリックならば、蘇生率は9割らしいが、僕は殆ど失敗しない。
さらに、LVⅡ以降からは復活した瞬間に戦線復帰出来るから、死に慣れていれば、ゲームの様に参戦できる。
この、リバーススペルは『エクスキューション』抵抗力の弱い相手に死を与えるだけでなく、耐えきった強者にも、ダメージを与える。
クリエイトアンデッドLVⅡ。
これもクリエイトアンデッドLVⅠの上位に位置する呪文で、死体からグール、包帯男、ゴースト、巨大骸骨、動きのやたら速いゾンビに変えることが出来る。
ただ今は、レイズデッド以上に使いたくない呪文だ。
使えば、回りに何れだけの迷惑が出るか……
サモンアンデッドLVⅠ。
これは、何もない空間から下位のアンデッドモンスターを召喚する呪文。
このレベルに達した闇のクレリックは、色々な組織からマークされ始めるんだ。
優秀な戦闘員が守護していないと、町1つ滅ぼす事が出来るからね。
スペルイミュニティLVⅡ。
これは、一時間だけ第3レベル相当の呪文や魔法を無効化出来る呪文だ。
これを使いまくっていれば、アーサーっぽくなれる。
あいつも、第3レベル相当の不都合な呪文や魔法を無効化するからな。
カース(呪い)。
これは、今まで掛かったことのある呪いを、任意の相手に掛けることが出来る。
実は融合後、日本人がベースになっているせいか、まともな呪いを掛けることが出来なくなってしまった。
今出来る呪いは、複数の女性に近づくと緊張する呪いや、大事な場面でお腹が痛くなる呪い、寒さや暑さに弱くなる呪いしか使えない。
代わりに、リバーススペルの『リムーブカース』は恐ろしいまでの威力を誇る。
仮解除を含めれば、400年間失敗なしの実績があるのだから。
因みにリリスたんの、呪いに近い封印も、一時的に解除することが出来るんだ。
鋼皮LVⅡ。
これは一時間だけ、通常武器を無効化することが出来る。
アーサーの肉体も、無機物無効の効果を持っているから、これを参考に呪文を開発したんだ。
この世界に来てから、魔法の効果を付加した武器を
見たことがないから、使えば無敵かもしれない。
まあ、闘気を武器に纏わせるような奴がいたら、話はべつになるけど。
クリエイトルーム。
これは、異空間に自分の部屋を作り出す呪文だ。
この部屋に入るための扉は、僕以外開けられない仕組みになっているのでかなり便利だが、時間制限があって万能でもない。
部屋の中には、日本人時代の家具等の便利アイテムが揃ってるから、入り浸りになりそうだ。
ディテクトアイテムLVⅡ。
これは、望んだ物品を探す呪文だ。
これの凄いところは、距離制限がないって事だ。
当然の様に、満遍なく呪文を取得して、最初に唱える呪文はこれだ。
「第6レベル呪文……ディテクトアイテムLVⅡ」
イメージするアイテムは、全世界でたった4つしかないアーティファクト、プラチナの『エクスラメーションバックル』だ。
どんなに距離が離れていても、見つけ出せるこの呪文を使ったら…………
だが、僕は愚か者だった。
少し考えれば解ることだったのに。
僕の呪文は、反応しなかった。
そう、この世界に僕の仲間が存在していない事が証明されたんだ。
転生してから15年も経過しているんだ。
仲間が、別の異世界に旅立っているのは確実だったろうに。
この瞬間、僕から自分に対する怒りに近い、複雑な感情が爆発して、周囲に広がった様な気がした。
~
この時ランディの周囲の小動物等は、全力で逃げていった。
感情豊かなの人間的たちは、理由の解らない恐怖に足がすくみ、ロイエン、セナリース、ダナムを含む、そこそこ戦える者たちだけ、武器を取って反応した。
~
僕は、腰の抜けているカツドンを見つけた。
カツドンの本名は、たぶん『カッティー・ドーン』で元非合法奴隷商だ。
今は非合法奴隷を見つけて保護する立場にいる。
最初は命欲しさに、僕のところで働いていたが、最近この仕事にやり甲斐を感じている節がある。
数年前はドリアさんみたいだった体格も、今はただのチョイポチャオヤジだ。
このニックネームは、言いやすいし『カツドン』で固定している。
で、カツドンの恐怖のドン底に落ちている姿を見て、威圧を発していると、遅まきながら気づいた。
こ、これは威圧スキルの、二段階目か?
まさか、こんな時にスキルを開眼するなんて、でもこれでカーズとガルに並んだか……ちょうどあいつ等も威圧LVⅡは一定の条件内でしか使えないからな。
「ひぁひぁひぁ、ヒァンチィサバ(ランディ様)、お、お、おふっ、オヘンナハイ(ごめんなさい)」
いかん、カツドンには影響力が強すぎた。
落ち着けランディ、高々仲間が同じ世界にいないだけじゃないか。
僕はランデイヤの記憶の引き出しを開ける。
第9レベル呪文のトラベルさえ覚えれば、本拠地に帰って『グルトリア』『クラギリウス』と3人でなら、簡単に香織ちゃんの位置を割り出せ移動できる。
僕は威圧の制御に成功した。
「ああ、カツドン、すまない。ちょっと僕が不甲斐なくて、自分に怒ってた」
「えっ!? あ……そ、そうだったんですか。私はてっきり何か粗相を……」
そう言えば、カツドンは随分と活躍してるらしいな。
まさか、こいつがこんな当たりくじだったとは。
「そう言えば、随分と活躍してるじゃないか、僕の財政を圧迫させる気か?」
笑顔でカツドンに語りかける。
「はっ、人智を超えたランディ子爵様なら、問題ないかと」
頭を下げて僕を持ち上げる。
たしかに、お金はあるけど、領地持ちの子爵に比べたら収入は少ないのよ。
商会発足からそんなに時は経っていないし、まだまださ。
「よし、活躍した褒美に、月イチとは別の試食会に連れて行ってやろう。正直者で、沢山食べれそうな子を何人か連れてこい。僕はレジーナを探してくる」
レジーナの味覚、嗅覚、触覚は僕のそれを全に上回る。
食べ物の味を知るには、味覚と嗅覚が大事だが触覚で、辛味や温度を正確に把握して、改良するとは。
テスターやバカ王子と比べても、レジーナの天才度は凄い。
そう言えば、僕の命の恩人だもんな。
回想に耽っていたら、カツドンがボソッと呟いていた。
「ここで、レジーナ様の名が……やはり未来の奥方と言う噂は、本当だったのか……以前仰っていた親子丼とは、まさか!?」
知らない、聞こえない、分からない。
その方か幸せな気がする。
いや、でもここで説明責任を放棄したら、とんでもない事になるかも。
とりあえず、カツドンに言い訳がましい説明をした。
どうやら、僕を自慢するついでに、自分を売り込んでいたようです。
しかも、レジーナだけでなく、アリサも同じことをしていた。
僕が内政を固めている中、あの母娘に足下を固められていました。
まあ、平和な証拠だと思って諦めるか。
そんなある日、僕の元に使者がやって来た。
「ランディ・ライトグラム子爵殿、3日後の正午、1人で王城までお越し頂きたい」
いつもと違う人間がやって来た事に、一抹の不安を覚えた。
ランディもついに15歳、彼の物語もあと、2、3年となりました。
もう少しだけお付き合いくださいませ。




