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【111話】内政チート(男爵→子爵)

 王様が、八武祭の開催地から帰ってきて10日後、僕の陞爵(しょうしゃく)について話し合われたらしい。


 アルテリオンの話だと、会議は数時間にも及んだという。


 理由は、僕の功績が大き過ぎだったらしい。

 そこで、子爵にするか、1つ飛んで伯爵にするか、揉めに揉めたって話だ。


 知らなかったから、子爵とランディ商会をタダで立ち上げられたのを喜んだのに。


 既に、陞爵(しょうしゃく)を見越して、周辺の建物十数棟が立ち退きにあっていて、子爵になると同日に、その建物が僕の持ち物になった。


 使用人も2人、国から支給された。


 全ては順調だ。

 そう、順調なはずだった。


 だが、2つほど問題点が浮上した。


 1つは僕の出世の事だ。


 アルテリオンの話によると、これから暫く僕に大きな仕事は来ないらしい。


 何故なら、僕が伯爵になれなかったのは、もう1つ功績を挙げてからと言う話で纏めたらしいんだ。

 伯爵反対派は、全力で大きな仕事を他に回すだろう。



 もう1つは、この身体は鈍るって事だ。

 なかなか才能溢れる肉体だってのは、感じていたが、子爵になって、暫く雑務をこなしていたせいか、鈍っていました。


 特に関節の稼働域ですかね。

 あと、なんとなくだけど全体的に弱くなった気がする。


 この身体は、早熟タイプの一般人だと、あらためて気づかされた。


 だが、この身体のおかげで、神速を開眼したのも事実。

 しっかりと育てよう。



 できるだけ、デスクワークはシープレスを筆頭に丸投げしちゃおう。



 ……

 …………


 丸投げは失敗しました。


 大事な事は、僕が居なきゃ駄目なみたいで。


 いまは馬車の馬と連結する部分を改造して、僕が馬車を引っ張っている。


 荷台にいるのは、新しく雇った従者だ。


 1人が僕に話をして、もう1人が僕の答えに代理でサインする。


 これで運動不足は解消した。

 相変わらずの頭のキレに、僕自身、恐ろしさを感じる。


「ライトグラム様、私はこれを、他の人に見つかるのが恐ろしいです」

「その通りです。私達は、不敬罪で処分されるかもしれません……ガクブル」



 僕の心の声は、漏れていた様です。



 ◆◇◆◇◆



 恐ろしいと言えば、恐いのはレジーナだ。


 レジーナは既に味見させたマヨネーズをコピーして、さらに一段階昇華させてしまった。


 そのクオリティは、まさにキュー○ー製品と変わらない。


 レジーナのいる厨房に歩を進める。


 そこには、レジーナとドリアさんがいる。


「ヌハァ、流石は聖母様。これを我が国に逆輸入すれば、使徒様の偉大なお力を、愚鈍な兄達も気づきましょうぞ」


 ドリアのやつ、僕のいない所じゃ、まだ『使徒様』と言ってるのかって、レジーナが聖母扱いだと? 何してんの?


「ドリア様の用意してくださった、調味料、新たな食材のおかげで、ぼっちゃまの宿題も、なんとかこなせそうです。感謝します」


「ヌホッ! 聖母様にそう言われると、このドリア、感激の余り膝を折りそうになります。ヌフッ、このドリア・フォン・ターベール、お2人に変わらぬ忠誠を誓います」


「えっ!? 私たちの結婚の後押しをしてくださると? ドリア様、よろしくお願いいたします」


「ヌハッ! ヌヒッ! ヌヘッ! 余に 委せるがいい……いでっ」


 委されるなっ! 思わずハリセンで殴ってしまった。


 野菜炒め定食やその他のメニューを再現依頼してたら、なんで結婚の話になってんのよ?


 油断できない。


「おおっこれは、し、ランディさん、ついにせ、レジーナ殿が壁を超えましたぞ」


「いえ、まだまだです。お坊っちゃまの『カツ丼』と『玉子丼』は再現できましたが、『野菜炒め定食』と『カレーライス』は未だ再現できません。でも見ていて下さい。きっとやり遂げます」


 やり遂げた暁には、僕の貞操の保障はできませんね。


 最近のレジーナはグイグイ来るし、しかもドリアさんと手懐けるとは、恐るべしレジーナ。



 そうそう、そこのドリアさんは、僕の商会に勉強と言うことで、正式な手続きを踏んでやって来ていた。

 まあ、正式な書類には僕の家名はなく、王都に留学となっているって話だったが。


 護衛の、ドロワットさんとゴーシュさんが恐ろしく強くて運動不足解消に手伝って貰っている。


 ただ、2人ともドリアさんの護衛だから、やり過ぎは出来ない。リッツ教官並みに強いんだけど、僕との運動には、あまり参加してくれない。



 ◆◇◆◇◆


 今日は月に1度の記念日。


 もちろん僕が勝手に設定した。

 これは、給金を払う前日に僕が出した食べ物を食べてもらう日だ。


 今回は、茹でたトウモロコシシリーズ。


 品種は『ゴールドラッシュ』『ピュアホワイト』『エミルコーン』『ロイシーコーン』『ゆめのコーン』だ。

 そのままでも食べれる品種もあるけど、全て茹でた状態で召喚した。


 この食事場にいるのは、ごく限られた口の堅い身内しかいない。


 この王様にも食べさせた事がない品々は、情報漏洩しようものなら、僕が手を下さなくても、どっかで拉致されて人生は終ると思っているふしがある。



 みんな、目の色を変えて食べているが、一段落するとクラリス、ロイエン、セナリースのトリオは、遠くを見つめてため息を吐いた。


「こんな食事会が見つかったら、全ての情報を吐くまで拷問とか、されそうだな」


「言うなセナリース。そんな事はみんな解ってる。これは、仲間の結束を高める儀式なんだ」


「あなたぁ、解ってるわ、でも……でも……私、恐いっ」


 この3人は、何をしてるんですかね。

 まあ、結束を高めるのは当たってますけど。


 レジーナの『胃袋を掴め作戦』に僕も、やってみたいだけなんだから。


 次回は『飛騨牛』『松阪牛』『近江牛』『但馬牛』『米沢牛』のシャトーブリアンの5種盛りでいきましょうかね。

 その次は『魔界の龍』を食べさせてあげますからね。


 魔界の龍は、アーサーがディナードラゴンって命名するほどの、食べられる事に特化した龍だ。


 魔王『ユーストスラーズ』の(しもべ)の一団だ。


 戦えばアーサーを喜ばせ、食べれば捨てる部位がほとんどない素敵な敵だった。


 もちろん、一回に召喚できるのは50人前だから、丸ごとは出せないけどね。



 くっくっくっ、好き放題出来るって素晴らしい!

 流石は子爵だ、号令1つで周囲には身内しかいない状況を作れる。


 でも、本当の仲間が入れば、さらにやりたい放題出来るのに。

 アーサー、ガル、カーズ、香織ちゃん、みんな……早く会いたい……



 ……ズキン……



 うっ、たまに胸の奥が痛くなるんだよな。

 この痛みは何なのか?


 変な病気だったら嫌だなぁ。


「第4レベル呪文……シリアスキュア」


 念のため、最上級の状態異常を回復させる呪文を使った。


 でも『シリアスキュア』を使っても、たまに症状が出るんだよな。


 まさか、三(バカ)の呪いとかじゃないよな?


 まあそれならそれで、そのうち何とかなるか。



 ◆◇◆◇◆


 ある日、2本ある大木の側で子供たちが、チャンバラごっこをしていた。


 その時、樹に傷を付けたらしいんだけど、気にするなと言っておいた。


 しかし翌日、樹から変な物が出ていると報告があって、見に行った。


 それは、樹の樹液だった。


「こ、これは……ゴムか!」


 念のため呪文を使ってみる。


「第3レベル呪文……ディテクトアイテム」


 ゴムの木をイメージして、呪文を使う。


 うん、間違いなくゴムの木だ。


 しかし、周囲1㎞以内にゴムの木は他にない。


 上手く使えれば、いい内政チートが出来たのに。



 この木について、色々調べさせたが、かなり以前にこの屋敷の持ち主だった夫婦が、ずっと寄り添う事を誓って植えた木らしい。


 その夫婦は、ノースコート出身以外は情報がなく、身内もいるか不明だった。


 ゴムの木で、商売は無理そうだが、今のうちに加工技術を身に付けさせるには丁度良い。


 早速、イルムナを呼んで、職人を調達しよう。






 そして、順調にランディ商会を大きくしながら、僕は15歳になった。



 ※ランディ 十五歳

 ※ギフト 暗黒女神の愛

 ※魔法の種別 回復系

 ※使用可能魔法『ヒーリング』『エクスヒーリング』『グランヒーリング』『アルテミットヒーリング』『デトックスA~F』『ニュートラライズポイズン』『キュアディシーズ』

 ※魔力総量 4601

 ※クレリック呪文 第1レベル 35回

 ※クレリック呪文 第2レベル 32回

 ※クレリック呪文 第3レベル 28回

 ※クレリック呪文 第4レベル 24回

 ※クレリック呪文 第5レベル 20回

 ※クレリック呪文 第6レベル 18回

 ※特技『神速』


 ※アリサ 十五歳

 ※ギフト 無し

 ※魔法の種別 回復系 肉体強化系 生活系

 ※使用可能魔法『ヒーリング』『エクスヒーリング』『グランヒーリング』

 ※魔力総量 1810

 ※特技『ゴールデンタイム』


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