表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

115/195

【閑話⑪】キンジVSデスラー

こんかいはちょっと長いです

 キンジとデスラーが10m程度の距離を取って、試合開始の合図を待つ。


 キンジの装備は頑丈なローブ、プロテクションリング+1が2個、ダガー+1、ボロいダガーを3本、手甲+1、exclamationバックル(アイアン)で、見た目と違い、合計するとチェーンメイル並の防御力を誇る。


 対して、デスラーは厚手の布の服に、こん棒を構えている。



「喜べキンジ、相手は徐々に力を上げていく気だ。ありがたく闘え」


 ガルはデスラーの重心を見て、様子見で闘う事を看破した。


「そうだ、私は自慢の肉体があるうえ、さらに冥王様の愛を授かった。冥王様の愛は耐久力5倍の超レアギフト。どんな攻撃も耐えきって見せる」



「アーサーに少し肉を増やした様な男に、わずかながら闘気を纏っている。それにHP5倍か……アーサー、お前より丈夫なんじゃないか?」


「いくらHPが高くても、ACがスポンジでは、アーサーは動きませんよ。 アーサー?」


 カーズは、アーマークラスの低さを指摘するが、アーサーは聞いていない。



「フー フー キンジ 羨ましい」


「…………」

「…………」


 アーサーはデスラー相手に闘いたいのを我慢している様だ。


 カーズ達が余計な会話している間に、試合開始の合図があり、キンジが動いた。


「大気中の酸素よ我が魔力と混じりあい爆炎の刃と化せ……ファイヤーボール」


 キンジはB7サイズの手帳から紙を1枚破って呪文を唱えた。


 キンジが唱えた『第3レベル呪文、ファイヤーボール』は覚悟と受け身さえ取れていれば、ダメージは半減できる。


 しかし、ファイヤーボールの言葉に、デスラーはこの世界の飛んでくるファイヤーボールを想像した。


 結果、デスラーはファイヤーボールのダメージをまともに受けるどころか、キンジを見失ってしまう。


 そして、そのままキンジの攻撃第2弾が始まる。


「氷界より極寒の吐息を召喚し、此の地に向かい降り注げ……フロストサークル!」


 デスラーを中心に、極寒の刃が荒れ狂い生命力を削るが、彼の命を脅かすには、程遠い。


「ぐおおっ! 何だと!? 流石冥王様が注目する人が推薦した男、油断できぬと言うことか。 はぁっ!!」


 デスラーは肉体強化の魔法を使って、キンジと至近距離で闘う事を急いだ。


「やっぱ、10秒のタイムラグは厳しいっす!」


 魔法攻撃は、10秒に1度しか行えないが、詠唱のタイムラグが差し引かれるため、10秒よりは短い。


 それでも、キンジが次の呪文を使うまでの間に、デスラーの2回目の攻撃を喰らってしまう時間はあった。


「痛ぇ!!」

(それでも、アーサーさんより芯に来ないし、ガルさんより痛くない。しかもカーズさんより恐くない……行ける! ランディさん直伝……)


「第1レベル呪文……ライト」


 ランディはライトの呪文を、明かりを灯すためではなく、目潰しに使うのを好んでいた。



「くっ、見えない……こんな魔法があるのか」


『デスラー、落ち着くのだ。闇夜の戦闘だと思えば良いのだ』


 強い光に目が眩んで冷静さを欠いたデスラーに、冥王が言葉で助けるが、しかし……



「キンジ チャンス 正面突破!」

「キンジぃ! 右から回りこめ!」

「キンジ、左に動いてダガーを投げなさい」


 アーサー、ガル、カーズが同時に叫んで、言葉でデスラーを撹乱する。


 この間に、キンジは全く違う行動をしていた。

 チームワークは抜群だった。


「うっわ、お兄ちゃんを含むあの4人組は、私の知る限りだと人類最強なのに、小者感が半端ないんだけど」


「マーニャぁ 知ってるかぁ? その4人組って、自分達をちょっと強い一般人って思ってるんだぞぅ」


 ランディガールズは、カーズたちのセコさに呆れている。


「大気中の酸素よ我が魔力と混じりあい爆炎の刃と化せ……ファイヤーボール」


 マジックスクロールによる、キンジの呪文が炸裂するが、覚悟を決めて防御に徹しているデスラーにダメージ半減されていた。


 それでも、キンジは攻撃を止めない。


 ダガーを投げて、デスラーの太股に刺さった瞬間に次の呪文を使った。


「氷界より極寒の吐息を召喚し、此の地に向かい降り注げ……フロストサークル!」


 ダガーを併用して虚をついて、意識をずらして呪文の効果を上げようとしたキンジだが、デスラーには効かなかった。



「第1レベル呪文……マジックミサイル」

 小声で呪文を使ったキンジは、マジックミサイルを自分の周囲に纏わせた。


 そして、デスラーの視力が戻る。


 デスラーは、キンジの回りに浮かぶ4つの光の玉に注意しつつも、全力で攻撃に出た。



「キンジ 右足 バネに する!」

「攻撃の直後、左脇に攻撃だ!」


 アーサーとガルの助言のあと、キンジは気を失いそうな一撃を貰ったが、ギリギリのところで耐えきれた。

 右足が、ダメージを少しだけ吸収したのだ。


 ガルの助言のままにキンジは、脇腹にダガーを突き立てる。


 そのダガーはデスラーの予想に反して深く刺さる。

 ガルは、デスラーの筋肉が伸び弛むタイミングを予知していた。


 それでも、デスラーの動きを止めることは出来ない。


「見事だ、だがこれで終わりだぁぁ!!」


「キンジ 左胸 十字受け!」

「キンジ 左胸に腕をクロス!」


 アーサーとガルが同じ意味の言葉を発したのは、焦りから来るものだった。


 キンジが受けを失敗するイコール、負けを連想したのだ。


 十字受けをしたキンジが吹き飛ぶ、キンジの片腕は骨折していた。


「アーサー、ガル、覚悟がたりませんねぇ、壁を越えさせるんでしょう? 第8レベル呪文……ライフリカバリーLVⅠ」


 カーズの遠隔回復呪文がキンジのHPを回復させる。


「キンジ、お前に使えるライフリカバリーは、後3回です。気合いを入れなさい! ここからが本番です」


 キンジは、1日に1度しか使えな い最強呪文を、ここで使った。


「第5レベル呪文……チェインライトニング!」



 詠唱のほとんどない攻撃に、デスラーは覚悟するタイミングを間違えて、ダメージの軽減に失敗する。


「ぐぎゃっ!」


『むう』

「なんと!?」

「こ、これは……」


 冥王陣営も、キンジの電撃呪文に驚く。


「はははっ、どうだ! このおれの最強呪文は。1日1回しか使えないけど、アーサーさんの0,7倍の威力があるんだぜっ!」


 この台詞では、全く自慢になってない事に、キンジは気づいていない。





 カーズの回復呪文、ガルの先読みの助言、アーサーの檄によりキンジは徐々にデスラーのHPを減らしていく。


「ふんぬぅっ!」


 デスラーこん棒を投げて、両腕を使いキンジを捕まえて締め上げる。


「ぐえっ、ご、ゴー」


 今、キンジの回りには12発のマジックミサイルが浮いている。


 それが今、キンジの合図でデスラーにぶつかる。


「ゴハァ……」


 しかし、デスラーはキンジを放さない。

 デスラーの尋常じゃない締め上げに、キンジは落ちる寸前だった。


「キンジ! 相手の呼吸を聞けっ!」


 ガルの言葉を聞いたキンジは薄れ行く意識の中で、デスラーの呼吸が荒い事に気づいた。


(もう少しだったんだ、初めは絶対勝てないと思ってたけど、ここまで来たんなら……勝ちたかった。けど、もう攻撃呪文は使いきった。あっ……あった)



 キンジは力を振り絞って、呪文を唱えた。

「第2レベル呪文……アニメイトウォーター」


 キンジはデスラーの頭部に水を召喚した。

 しかも、デスラーが息を吸った瞬間にだ。


「ゴボッ!?」


  この召喚された水は、冷静に対処すれば簡単に取り除けるのだが、デスラーは焦っていた。


 そして、キンジにマジックスクロールを使う時間を与えてしまう。


「氷界より極寒の吐息を召喚し、此の地に向かい降り注げ……フロストサークル!」



 あれだけの攻撃を受けても、デスラーは倒れない。

 しかし、キンジに迫り来るデスラーの瞳には理性の光はなかった。


『まずいの』


「闘い 集中!」


 アーサーの言葉の直後、デスラーは肉体強化を限界まで発動させて、キンジの頭部に拳を突き入れた。


 そして、キンジのHPは0になり、命を落とした。





 この時、アーサー、ガル、カーズの、何かを期待した表情は、真剣そのものだった。


「第9レベル呪文……リザレクション」


 キンジが蘇生して、意識を取り戻す。


「キンジ、攻撃だ!」


「は、はいっす」

(あれっ? あれれ? とにかく攻撃だ)


「アーサーパァンチ! ランディキィック!! ガルチョップ、フギャァ」


 キンジ2回目の攻撃『ランディキック』で、デスラーHPは一定値以下になって、殻に被われた。

 その直後、キンジの攻撃は殻に当たり、指を折った。


「痛たたた……闘いでのダメージより、自爆の方が精神的ダメージでかいっすね。でも……でも……勝ったどぉぉぉぉぉ!!」


 この時、冥王の表情は冷たい物になっていた。



 ……

 …………


 闘いの報酬として、冥王はカーズ達に【マスターの砂時計】と異世界のマジックアイテムについて聞いていた。



 それは、冥王が冥神と呼ばれていた頃、他の二柱の神と異世界の技術者を召喚したのだと言う。


 その召喚した世界は、5つもあり、その未知なる技術は凄まじい物だったとか。


 1つ、王神流と言う武術を流行らせる。

 1つ、太陽光を動力に取り入れる。

 1つ、通常攻撃無効の金属を普及させる。

 1つ、人間の意思を保ったまま、不死可にする技術。

 1つ、時間をある程度止めてしまう技術を提供する。

 等、現行では理解不能なマジックアイテムを次々に編み出した。



 その、数あるアイテムの中で、価値の低いアイテムを『アプレンティス』価値の高いものを『マスター』のアイテムと呼ばれるようになった。


 ある日、5つの異世界の技術者達は、人神、魔神、竜神の要請により、この世界から消えてしまった。


 たくさんの発明品と共に。

 だか、それでも残った施設はたくさん点在していて、いつしか『遺跡』と呼ばれる様になった。


 冥神を含む三柱の神は、他の神々の怒りを買い、『神』の名を剥奪され『王』と呼ばれ、封じられる事になった。



 ……

 …………



「まあ、あの神から聞いたはなしは、そんな所ですね。500年以上も前の話ですから、異世界に心当たりがあっても、技術者は無関係でしょう。 それより今回の戦いで、キンジが一段階強くなったのを喜びましょう。 これは誇っていいですよ、死から復活直後に、攻撃出来る者は意外に少ないのです」


 カーズ達は、キンジを蘇生直後から戦える様に、仕込む事に成功した。

 これは、カーズ達の生まれた世界ですら、難易度の高い事だった。



「そうなんすか? でも王神流って、ここでも幅を利かしてますね。そろそろおれにも王神流を教えてくださいっす」


 キンジは蘇生直後から戦える事が出来た事実より、王神流を教えて貰う方に興味があった。


「実はキンジ、既に王神流基礎訓練は始めてるんだけど、俺様やカーズ同様才能がちょっっっっっぴりしかないから、下位を名乗るまであと3年くらいかかりそうだぞ」


「ガルさぁん『ちょっぴり』の『つの字』の多さが悲し過ぎます」


「そんな 事より ランディ 生存 発覚 場所 あっち」


 カーズ達は、冥王に仲間を探していると伝えて【マスターの衛兵】の機能を使い、この大陸で一番強い反応を探して貰っていた。


「しかし、既に力を持って転生しているはずなのに、此方に来ないと言うことは、兄さんに動けない理由があるようですね」


「ああ、記憶喪失または、弱者をたくさん抱え込んだかの2つが濃厚だな」


「アイスプラント キウイ 肉野菜炒め定食 意味なし?」


「うるさいっ、きっと意味があるはずです。ですが気づきましたか? あの冥王と言う神、一瞬でしたが敵意を放ったのを」


「カーズも感じたか。キンジがデスラーに勝った少し前だ。勝ってからなら理解できるんだが」

 

「敵意 一瞬 やはり 手練れ」


  カーズ、ガル、アーサーは非常に鈍い部分があった。

 それが冥王の、殺意を放った原因を突き止められない。


 だから、殺意を感じ取れなかった女性陣は『敵意』受けた事に対して、アレのせいだよね……と思っていた。



 ◇◆◇◆◇


 場所はキンジとデスラーが闘った場所で、冥王エリュシオンは、明らかに不快な表情をしていた。


『竜神達が怒り、人間等に手を出した理由が解ったわ』



「冥王様、それは?」


『カーズと言う男の蘇生魔法だ。あれは人間が所持していい魔法じゃない』


「第9レベル呪文……リザレクション……でしたね。では何故彼らを放置したのですか? 我等が一丸となって、戦えば倒せるのではないでしょうか?」


『甘い! 我とてこの現世で戦えば、一対一でも、どれ程の時間を要するか……しかも神を封じる武器を所持しているなら【マスターの衛兵】も意味がない。お主ら2人では話にならん』


「っ……では、冥王様これから、如何なさいますか?」


「あの、カーズにならって、回復の出来る従者が欲しいの、ねんのため【アプレンティスの衛兵】が大量に眠る遺跡を探す。実はあやつらの弱点は見つけたのだ」


「流石は冥王様! して弱点とは?」


 ヴァンパイアの男が、カーズ達の弱点を聞く。


『いかにやつらでも、冥界に送り、そこで戦えば、我等の勝ちは揺るがぬ。しかしあのままでは、1人として冥界に送る事叶わぬ』


「…………」

 剣士は、冥王の次の言葉を待っている。


『やつらは、お互いが触れた時、若干であるがその抵抗力を落とした。3人同時に触れた時はギリギリで我の力が通じない程度にまで下がった。そこであやつらに4人目の仲間を見つけさせ、接触した瞬間、我が冥界引きずり込む。冥界であれは人間ごときに負ける道理はない』


「チャンスは4人が揃った時ですね。して残りの者はどうしましょう? 出来れば私に……」


 ヴァンパイアの男は、嫌らしい笑みを浮かべ舌を舐める。


『ただの人間など、好きにするがいい。……いや待て、たっぷりと苦しませてから好きにしろ、万が一にもないが、動揺と焦りを与えて確実に始末する事にする。早くデスラーを回復させて動くぞ! 【マスターの衛兵】の稼働時間は残り少ない』


「はっ」

「はっ」


 カーズ達は、キンジを成長させた引き換えに、冥王エリュシオンを敵にまわして、狙われる事になった。


はい、今回カーズたちは、キンジをRPGゲームのように、死んでも蘇生すれば、直ぐに戦線復帰出来るよう、仕込みました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ