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めめんともり(配信者)の発言をきっかけに創作がしたくなった。
またリスペクトを込めて書いていきます。
メメント・モリ、ラテン語で死を忘れるな
橋の上に一人の男、その下を牛が通っている。牛は牛舎へ向かう。
その足取りはゆっくりとしていた。
降り注ぐ雨、自分に語りかける雨音がぼつぼつと男の脳に響いた。
牛たちは知らないこの先に待っているものを
私は思う。この牛たちと同じく自分の未来もわからない。ただこの牛たちと私が圧倒的に違うのは自分による選択の余地が未来にないところである。このようなことを考えるのも自分の考えが深い訳でもなく、受験が近いからそう思っているだけだ。いやになる自分の苦しみはまだぬぐいきれない。
先刻、チャイムが鳴り響き、一斉に塾へ向かい出す半分と家へ帰る集団。偏差値でくっきり惹かれたその境界の存在は家に帰るその少年を傷つけてた。
家に帰ると彼の父の牛たちのかわいらしさに目を奪われる。観光客向けの対応もしているその牛舎は人であふれている。その牛たちの番号が意味するものを彼らは知らない。思春期であるから心の問題を抱えるのは当然であるが大人になってもその苦しみに慣れるだけである。そう彼は思った。
そして少々ばかり勉強をして、かれは眠りに入った。
夜、夢の中で彼はまた橋の上にいた。
雨はやまず、橋の向こうには自分がいた
「おまえももう決まっている。」夢の中の自分は言った。
彼は黙って牛の行列を見つめていた。その中の一頭が立ち止まりこちらをじっと見た。何かを語っているような目だった。
目が覚めると朝が来ていた。カーテンの隙間から差し込む光は昨夜の雨を嘘のように思わせた。ベットの中で、彼はほんの少しだけ静かな気持ちでいた。
牛舎からは、子牛の鳴き声が聞こえた。
__まだ決まってない何も_その思いを抱えながら、少年は今日も歩き出す
ありがとう、めめんともりはセンスの塊だね。