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怨讐のイットレィター  作者: 漣 カコイ
1/3

プロローグ : 成人






 


世の中大抵のことは上手くいかないようにできている。

みんな知ってる、そんなこと。教えられなくてもいつの間にか知るようになっているから。


でも、時々どこからか湧いて出てくる自信に背中を押されて人はいつもの自分から少し変わった自分になる。その小さな変化、ただその変化の積み重ねが当人を成長させていくことになる。

なら、15年という月日がたった今、僕はどんな成長をしてきたのだろうかとふと思う。


前に立って新成人達に祝福の言葉をかける牧師の声を右から左に流しながら少年はぼーっとそんなことを考える。ただ長々と続く牧師の祝福のスピーチのせいで教会では永遠と感じれる緩やかな時間が流れていた。

無意識に組んでいた手が汗で湿り、この日のために村のシスターが新しく作ってくれた制服がキツくて中にこもった熱と周りの人の熱で額に汗が滲んだ。


__シスター、サイズ合ってないよ……。


試着したときから分かってはいたが三日三晩徹夜して作ってくれた制服を更に修正し直してくれと頼む度胸が少年にはなかった。

まぁ着れないというわけではないから、隣で溢れ出る筋肉を隠しきれていない友人に比べたら幾分かマシな方なのだろう。ほぼ上裸である。

彼も自分と同じような理由でサイズを間違えた制服を着てきたのだろうと少年はみた。


「なんか熱くない?」


「アホか。脱ぐものもねぇ俺に聴くな」


ぎりぎり聴き取れる小さな声で顔を歪ませて不服そうに答える友人だったが、悪戯な笑みを浮かべる少年のピチピチの制服を見るとニヤリと笑った。


 「デカくなったな……俺達」


 「うん」


 「子供の頃は成人ってもっとしっかりしたイメージ

  だったけどよ、まぁ実際なんか……」


 「「微妙……よな」」


それなっ、とハモったことに互いに指さして小さくポーズをとる。些細なことでも友達がいれば何でも面白く感じてしまうのはどうやら成人しても変わらないらしい。

その時、ちょうど時計が正午をまわり、カーンカーンと鐘の鳴り響く音が教会の中まで聞こえてきた。牧師は鐘の音を聞くないなや「あもう昼飯か」と小さく呟くと両手を天に大きく広げ、息を深く吸うと一言残してスピーチを終えた。


「未来ある若者達に!

 祝福があらんことを!!」


成人たちから拍手があがり、同時に牧師が光魔法を展開。成人たちの頭上に現れた光の球体は優しい光を発して分散すると、鳥の形に変わり成人を祝うかのように教会内を元気に飛び回り始めた。


「き、教会内で魔法って使っていいんだっけ……」


「さぁな。俺には何も見えん」


こうして少年『シオン=リーグヴァン』たち他13名の少年少女達は成人の式を終え、大人としてのスタートを迎えた。






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