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【本編完結】食に固執する腹黒令嬢は、愛されても気付かない  作者: いか人参
本編

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32/58


なんか見られているような…??


いや、気のせいか…何かあるなら話しかけてくれればいいのに…ほんとお前ら面倒な性格だな!!


そんなことしてると、空気読まずにこっちから話しかけちゃうからな!!!



朝、教室に向かうまでの間、普段よりも多くの視線を感じたクリスタ。

それは、いつもの羨望や憧れの類ではなく、嫌な感じのする視線だった。最近やけに増えた気がする。

鬱陶しい視線に、クリスタは心の中で目一杯悪態をつきながら廊下を闊歩していた。





「クリスタ様、久しぶりにランチをご一緒しても良いかしら?」


クリスタが教室に入った瞬間、デリアが声を掛けてきた。いつもの溌剌とした表情なく、暗い雰囲気を漂わせている。



「もちろん、宜しくてよ。」


そんなことなど気にせず、クリスタはいつもの花のような笑顔を見せた。







「お前、噂に気付いているよな?」


食後のコーヒーを啜りながら、エメリヒがフランツに尋ねてきた。

今日はクリスタがデリアからランチに誘われたため、珍しく、この二人でランチを取っていたのだ。




「ああ。俺とクリスタが仮初の婚約をしているって噂だろ?全くもってくだらん。」


「それだけなら良いんだけどね…クリスタ嬢のことを男好きとか、フランツのことを弄んでいるとか、逆にお前に遊ばれているとか、それはもう有る事無い事言われちゃっててさ…ひどいよね、ほんとに…」




…ピシッ


フランツが手にしていたコーヒーカップにヒビが入った。


辺りの空気が一気に冷え込み、呼吸が苦しくなるほど重苦しい空気に包まれ、フランツは、人を殺せそうな目をエメリヒに向けた。



「ちょっと待て!俺じゃないから!!他のヤツらが好き勝手言ってるんだって!!だから、一旦落ち着いて!早くその殺気を消せ!!」


何も悪くないエメリヒだったが、フランツの威圧に耐えきれず、両手をホールドアップし、全面降伏の姿勢を見せた。



「全員の名前、分かるか?家の名前だけでも十分だ。」


「お、ま、え!!それ、家ごとまとめて全員ヤル気だろ!それはさすがにダメだ。普段頭いいクセに、なんでこうクリスタ嬢のこととなると、一気に脳筋になるんだよ!まったく…」







同刻、クリスタとデリアはテラス席でランチを取っていた。

曇り空の今日、テラス席を使う者はほとんどいない。そのため、デリアは敢えてこの席を選んだのだ。



「クリスタ様…その…フランツ様とは…ご婚約なさっているのですよね?」


「ええ、そうですわよ。」


クリスタの即答に、デリアは心底ホッとした顔を見せた。



「その…大変申し上げにくいのですが、クリスタ様のご婚約のことを偽りだと言って、悪い噂を流している者がいるようで…でも、私信じませんわ!クリスタ様とフランツ様は本当にお似合いだと思いますもの。」


「そのようなことがありましたのね…道理で…」




クッソむかつく視線ばかり刺さるなと思っていたんだよね!!!あれはほんと不快ーーー!!!どう思われても全く気にしないけれど、見えるところでコソコソされるのはほんといやっ!!


こういうのは、堂々と面と向かって言うか、自分の布団の中だけで言うか、どちらかにして欲しいわ、全く!!




「私、余計なことを…お耳汚しをしてしまい申し訳ありません…」


言葉の続かないクリスタのことを、ショックを受けていると勘違いしたデリアは、申し訳なさそうな顔で謝罪の言葉を口にした。



「とんでもないことですわ。私のために教えてくださったのでしょう?御礼を申し上げますわ。」


クリスタは、デリアの気持ちを少しでも軽くしようと、慈愛に満ちた微笑みを見せた。





「ああ、ここにいたんだね。ようやく見つけたよ。クリスタ嬢、今少し良いかな?大事な話があるんだ。」


声がした方向に視線を向けると、そこには久しく見ていなかったヨークがいた。




うっわ…………………

なんでこんなところにクソ貴公子がいるんだよ…女の尻追いかけてきたってやつ??ほんとやめてくれ……。



「まぁ、お久しぶりですわね。どうなさいましたの?」


相変わらずクリスタは、馬鹿にする寸前の、わざとらしく目を見開いた驚いている風の顔を作った。

ちなみに、これを師匠的に訳すと、『御託はいいから、要件があるなら今すぐここでさっさと言え。』だ。




「君とゆっくり話をしたくて、個室を取ってあるから、そちらに移動しよう。」


こちらも相変わらず、貴公子然とした態度で、クリスタに手を差し出してくる。



「わたくし、フランツ様と婚約しておりますの。他の殿方と二人きりは控えませんといけないですわ。」



こういう時のための婚約者だよね!!

こんなにスマートにお断り出来るだなんて、最高だわ!!フランツ、ありがとう!!



「ああ、それなら大丈夫だよ。僕が君の正式な婚約になったから。だから、クリスタ、君はもう嘘は付かなくていいんだ。」


見た目だけは良いヨークは、その綺麗な顔で優しい眼差しをクリスタに向けた。

普通の令嬢なら、息が止まってしまいそうなほど、うっとりとする光景だった。



 

はあああああああああああああああああああああああああああああああああ!???

だからお前は、一体なんなんだよーーーーーーー!!!

人の名前を許可なく呼び捨てにするなあああああああああああ!!!!このクソ貴公子があああああああ!!!!




クリスタは、呼び捨てにされたことに対して、ブチギレていた。





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