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とりあえず、助かったのかしら……?

 (どうしましょう。私は今暗殺者かどうかの疑いをかけられているのよね……?お話からするに、城の関係者を通じて侵入してきたと思われているのかしら。)

 少し落ち着いた頭で先程の第二王子の言葉について考える。侵入がバレたことで動揺してしまっていたが、護衛が来た時の対応からして、彼は自分をすぐにどうこうするつもりはないようだとあたりをつける。

 (どうするのよ。なんて言えばいいの?わからない、わからないけれど、何か言わなければ……っ。)

 「わ、私は……暗殺者ではありません……。」

 システィアが返答するも、アスタリオンは続きを促すようにじっと見つめてくるだけであった。

 「私がここに来たのは、……神のお告げを受けたからです。先程答えたように、私は教会で見習いとして神に仕えております。そして先日、神から殿下はこの世界にとって重要な人物であることを教えていただいたのです。ですから、殿下の幸せが、世界や私の幸せになるのです。これが、今の私が答えられる全てでございます。」

 そう言ってシスティアは顔を伏せた。

 (私は聖女だけれど、まだ力が足りず仕事も完璧にこなせない。見習いと同じようなものよ。前世の記憶だって、神様が教えてくれたと考えてもいいはずだわ。)

 神聖術には心の綺麗さが重要になる。そのため、システィアは聖女になった瞬間から嘘をつくことが禁じられていた。


 「……お前の話を、全て信じることはできない。本来なら、この離宮に侵入した時点で、俺はお前を捕まえ、殺すこともできる。いくら疎まれていようとも、それができる立場に俺はいる。」


 その言葉にシスティアは青ざめる。そうなのだ、今、彼女の命は第二王子の手の中にある。心臓からドクドクと嫌な鼓動がする。


 「だが、お前が条件を飲むというのなら、今回だけは見逃してやる。」


 "見逃してやる"その言葉にシスティアはバッと顔を上げた。


 「お前にとっては悪い話ではないだろう。条件をのめば命が助かるんだ。さぁ、どうする?」

 「その、条件、とは何なのですか?」

 「それは言えない。」


 何を言われるかわからない不安はあったが、命がかかってる状態では条件を受けるしかなかった。


 「わかり、ました。条件をお受けします。」

 「そうか。なら魔法契約を交わしてもらう。」


 魔法契約とは、魔法を介して約束ごとをすることである。魔法があまり使えない一般の人が使うと、消えない契約書というくらいだが、上級者が使うと契約を破った時に代償が発生するのだ。


 「アスタリオンの名のもとに、ここに誓いの証を残す」

 アスタリオンが魔法を発動すると、目の前に魔法陣が現れた。

 「お前の血をそこに垂らせ。」


 システィアは指を噛み、血を垂らした。


 「これで契約はかわされた。条件は後々伝えることにするが、まずは一つだ。」


 「お前、これから毎晩俺の元へ来い。」

システィア(まっずーい!!それに痛いですわ!!血を垂らすなら、ナイフが何か貸してくださればいいのに!!)

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