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没作品集 〜何故続きを書いてないのかは神のみぞ知る〜  作者: 黒犬狼藉
クリエイティブ・ワールド・オンライン
2/10

プロローグ2

 ジュウ......。

 

 卵が焼ける香りが漂う。

 そこに、塩胡椒を振りかけ火を止める。

 

 チンッ!!

 

「パンも焼けたな。うん、丁度いい。」

 

 パンに、卵を乗せて食べる。

 香ばしい香りに塩胡椒の塩っぱさが効いて程よく美味しい。

 

「じゃあ、ゲームするか。」

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『やあ、さっきぶり。チュートリアルは終わったようだね。アドバイスだけど、ギルドでは戦闘訓練も出来るよ。』

「やってみるよ。」

『あと、SPをお金に変える方法は換金所かギルドに行かなきゃ駄目だからね。』

「ギルドってめっちゃ重要じゃ無いか!?」

『運営の人たち曰く、ギルドさえ有れば何とかなる。だってさ。』

「じゃあ、もしPKとかしまくって犯罪者になれば......。」

『プレイできないわけでは無いけど快適では無いね。』

「絶対犯罪を犯さないようにしよう。」

『まあ、余程のことをしない限り大丈夫だよ。あ、じゃあ。seeyounexttime!!』

「またな!!」

 

 そういうと、ゲームにログインする。先ほど、ログアウトした場所に、レイは立っていた。

 

「ふう、わかってたことだけど一瞬で視界が切り替わるのは慣れないな。まあ、いいか。それより猫型AIから戦闘訓練がギルドで出来るって言ってたし、やってみるか。」

 

 そういう訳で、ギルドに再度戻る。

 だが、戻ったはいいもののどこで訓練出来るかわからないため、あたりを見渡し、右往左往してしまう。

 

「どうされましたか?」

 

 そんな様子をみかねたのか、ギルドの職員の1人が声をかけた。親切そうな好青年の姿を見て安心するレイ。

 

「戦闘訓練をしたくて......。」

「あー、わかりました。ついて来てください。」

 

 そう言って、ギルド職員の彼はレイを訓練場に連れてゆく。それは、ギルドの中にあり様々なプレイヤーやNPCがそこにいた。

 そんな中、訓練場の中心で屈強な大男と細身の女性が戦っている様子が一際目立って見え

 る。

 

「ここで出来ますよ。丁度、ニューズ教官が居るみたいですね。」

「あの方ですか?」

 

 そう言う、レイの目線の先には筋肉隆々のいかつい男性が居る。

 

「いえ、その隣の女性です。」

「え? あの可憐そうな人ですか?」

「ハハハ、実際は化け物のような強さですよ。ほら、見てください。」

 

 そう言われて、始まった乱取りの様子を見る。筋肉隆々の大男が大きな刃を振りかぶり、襲いかかろうと足を踏み出す。

 

「危ないッ!!」

 

 慌てて、助けに入ろうとして、その考えが間違いだと気づく。

 

 ヒュッ......。

 

 ニューズ教官と呼ばれている女性が剣を振ったと思ったら、大男は転げ、次の瞬間には首に剣を突き付けられていた。

 

「ん? もう終わりか?」

「クッ。」

 

 悔しそうに顔を顰めながらも、おとなしく負けを認める大男。決着が、ついた後ニューズ教官はレイの方に近づいてきた。

 

「君はジェンタイルズかな? それで、ここにはなにしに来たのか?」

「ジェンタイ......、あ。コ、コホン。実は武術を習いたいんです。」

「そうか......。どんな武器を使うのかな?」

「いやまだ、決まって無くて......。」

「そうか、じゃあ槍、弓、剣どれがいい?」

 

 優しく、しかし有無を言わさぬ口調でそう聞かれ、先ほどの剣を使い大男を倒した時の印

 象とのギャップにドギマギする。

 よく見れば、端正な顔立ちであり、完璧と言って良いバランス。

 見れば見るほど惹かれ、また近づき難いその雰囲気に反して不快にならない程度にフレンドリーに話しかけてくるギャップ。

 女性経験の少ないレイには余りにも高貴で犯し難く美しすぎた。

 

「え、えっと。ゆ、弓で」

 

 慌てて、答えるレイ。ゴールドの髪から仄かに漂う花の匂いに顔を赤らめる。

 

「弓か、難しいのを選んだな。ふむ......。こちらへくるが良い。」

 

 そう言い、レイの手を引っ張る。

 その見た目からは想像もつかない力で引っ張られ、躓きそうになるも踏み留まりついて行く。

 風に靡いてニューズ教官の髪が顔にファサリと当たり、また顔を赤くした。

 

「このどれが良い?」

 

 連れてこられた場所は、武器が幾つも置かれた場所だった。

 

「君の体格に合いそうなのは......、コレとコレとコレかな?」

 

 そうして指差したのは、普通の弓と剣弓と言われる孤の部分に片刃の剣がついてる武器、

 そしてややこしそうなギミックがついた弓があった。

 

「この三つですか? どれが1番おすすめですか?」

「おすすめ、と言われたら少し困るね......。私的にはコレがいいかな?」

「コレですか? なんて言うんだろ? 剣弓? なのか?」

「近接も遠距離もこなせるしおすすめね。逆に辞めた方がいいのはこれかな? ブリキ細工がポーションをつけるのを自動でやってくれるけど威力が弱いのだよ......。使い勝手はどれも変わらないから安心してくれていい。」

「じゃあ、おすすめのコレをお願いします。」

 

 そう言い、剣弓を手に持つ。

 ずっしりとした重さが手に伝わり刃は潰されているが、それでも凶器としては十分な武器だろう。

 

「お、おお......。」

「ふ、ふふふ、初心者感が満載だな!!」

「わ、笑わないでくださいよ!!」

 

 思わず言い返す。

 確かに、おっかなびっくりで腰が引けながら持っているが、そこまで笑うこともないだろう。

 

「まあ、まあ、じゃあ早速訓練と行こうか。」

「はい。」

「じゃあ、まずjobをArcherにするといい。ステータス画面から操作可能の筈だ。」

 

 そう言われて、ステータス画面を見ようとし消えている事に気づく。

 

「え、え!?」

「ああ、出すにはステータスと言えばいいらしい。やってみるといい。」

「はい、す、ステータス!! あ、よかった。出てきた。」

 

 ホッとしながら、画面をみるとタグがまた増えている。今度の表記はjobだった。分かり易くて有難いと思いつつ、開いてみると取得可能jobの中にArchersが。早速それを押して取得する。

 

「無事、取れたみたいだな。」

「はい、有難とうございます。」

「私はなにもしてないよ。あ、こらこら、早まるんじゃない。取っただけでは打てないからな。こっちに来るといい。」

 

 そう言い、再度レイの手を引きながら的がある場所に連れてゆく。

 

「まずは、構えからだな。ほら、持ってみるといい。」

 

 そう言われて、弓を持つ。

 

「違う、そうじゃない。こうやって持つんだ。」

 

 そう言うが早いか、レイの持ち手の位置を調整する。

 自ずと、体が密着し動悸が早まる。

 体が熱を持ち始め、ついに背中に触れたたわわに実った二つの実の感触に慌ててニューズ教官から離れようとする。

 

「初心だな。ふふっ。」

「は、恥ずかしいんだよッ!!」

「これぐらいで恥ずかしがっては、弓を撃つときはもっと密着するんだぞ? 別に触れないやり方もあるが効率が悪いのでな。わざわざ遠回りをしたいのか?」

「そ、それは......。」

「ふふっ、それなら諦めろ。」

 

 そう言われて、渋々ながらも納得し指導を受ける。

 教え方は非常に丁寧で、分かり易く非常に有難い。

 また、見本としても美しく完璧な腕前を披露しレイも思わず感嘆する。

 中心に刺さった矢に矢が刺さった時は思わず飛び上がった。

 こうして、ゲーム内時間で日が暮れるところまでやったレイは、空腹と尿意の状態通知が来たこともあり一時ログアウトした。

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「あ、おにーちゃん。ラーメン作って?」

「えぇ、面倒臭い。」

 

 そう言いつつも、鍋を出してラーメンを作り始める。ついでに、某有名企業が作ったインスタントラーメン(醤油味)だ。水の量を測り、鍋に入れ沸騰させる。沸騰したらインスタント麺と粉を共に入れ混ぜつつ最後に卵を入れて完成。

 

「塩胡椒とって。」

「はいはい、コレだな。」

「ありがと。あ、それでさ。お兄ちゃんも、あのシー何ちゃらやり始めたの?」

「あー、CWOな。結構面白そうだぞ? やり始めでなんとも言えないけど。」

「そうそう、それそれ。学校でも噂になってるの。ほら、みっちゃんもやってるらしくて。」

「えっと、誰だっけ?」

「私の横の席の子だよ!! 全く、なんで忘れてるかな?」「いや、自分の事じゃないんだし。会ったことも無いからな。」

「え? そうだっけ?」

「無いぞ? 確か。」

「ズズズズーー」

「誤魔化すように食べ始めたな。」

 

 (俺も食べ始めるか。)

 

 そう考え、箸をとり静かにいただきますと言う。

 

 (しかし、CWOでなにしようか。剣弓をメイン武器にしたのはいいものの弓ってコストパフォーマンスが悪いらしいな。と言うか、あの武器売ってるのかなぁ。)

 

 悩む玲。

 確かに、弓は矢を使い捨てにすることからコストパフォーマンスが非常に悪い。

 

 反面、ヘイトが向けられにくくコストに目を瞑ればここまで優秀な武器もない。

 また、玲が選んだのは剣弓。

 すなわち、近接もこなせる遠距離武器なのだ。

 費用が整うまでは近接のみを使いクエストをこなせばコスト面もほどほどに抑えられるの

 では無いだろうか。

 

 (近接だけに絞ればしばらくはクエストが出来るか? )

 

 同様の結論に辿り着いた玲。

 故に、欠点にも気づく。

 

 (そうじゃん、近接系jobかスキル取らねえと使えないじゃん......。)

 

 運動神経が普通程度の玲が、急に弓を射れることができるようになった理由はコレだ。

 同様に、近接系武器を使用するのにもjobかスキルがなければリアルスペックで対応しなければならない。

 実際に、剣弓を振った時にそのことがよくわかった。

 バランスを崩し、まともに振ることは愚か、立つことすら危うくなったのだ。

 

 (となれば、jobとしてSwordsmanでも取るか? スキルならコストが高すぎるし......。)

 

 冷静に、損得を勘定してゆく。このゲームは、初期の状態でメインjobを一つサブjobを三つとることが可能である。メインや、サブの変更は基本いつでも行える。

 

 メインとサブの違いはjob効果が発動されるかされないかの違いとなっている。

 例えば、Archerのjob効果は弓に関する行動補正となっており初期では大した事がないがjobのLv.を上げれば馬鹿にならないほどのものとなる。

 また、jobにはjob効果の他にjobスキルというものがありそれぞれに特定のものが存在する。

 例えば、Archerならば【基本戦闘技術】【弓】【弓兵】の三つが手に入る。

 効果は、簡単にまとめると【基本戦闘技術】は戦闘系スキルのアクティブ化と動きの補正+1となっている。

 簡単に言えば、逆上がりが出来ない人物がいたとして必要な筋力が有れば逆上がりができ

 るようになるというものだ。

 【弓】と【弓兵】の効果は非常に簡単で、どちらも射出武器の補助と矢を早く番える事が

 できる。

 他に【弓】には弓形状の武器の補助及び作成時に類似性の高いものをレシピとして登録し作成可能(武具作成が規定レベルまで上がらなければ作成不可)が入り、【弓兵】には射出武器を携帯した武器を持ちながらの行動に体力補正+1が入りactiveskillの、[連射][貯め撃ち]が得られる。

 効果としては、[連射]は矢を番えることがより早くなる。その反面、狙う行動の補正が

 弱くなり当たりにくくなる。

 [貯め撃ち]は、攻撃力の上昇と狙いの補正+1、飛距離の向上となる。

 また、コレらのjobスキルは最大Lv.50まで上げられる。

 スキルツリーでも同様の物が取れそちらの場合はLv.100まで上げられる。

 Lv.を上げるにはそのスキルに対応する行動をすればLv.が上がる。

 さらに、上限であるLv.まで上げたり条件を満たしたりすれば上位のjobを獲得できるようになったりもする。

 ついでに、jobのLv.の上限は100である。

 

 (しゃーない!! 背に腹は変えられないしやってやるかー!! )

 

「おにーちゃん、急にブツブツいい出してキモい」

「グハッ......!!」

 

 大袈裟に胸を押さえて倒れる玲。その様子を冷ややかに見つつ器を洗い場に置く妹。そんな微笑ましい日常の1ページだった。

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