プロローグ
申し訳ございません。
使用している端末の関係で文章に変な空白や謎の改行が発生しています。
可能な限り修正しますが残っていた場合よければ誤字報告などにて教えていただければ幸いです。
プロローグ
暗い部屋の中。
ヘッドギアを持ち1人の青年がベッドに寝転がる。
「始めるか。」
そう言い、ヘッドギアを頭につけて電源を入れる。
ウィィーーン
ヘッドギアについている冷却装置が起動し七色に輝く。
それを確認し降ろしたゴーグルにselect・gameと表示され下に幾つかのパッケージが表示される。
「えっと...、パッケージ購入画面へ。」
そう言うと画面が移行しマーケットの画面に切り替わる。
幾つかのVRゲームが並んでいる中彼は検索機能といい、友人から聞いたゲーム名を音声入力する。
「えっと、『サブジュゲーション・コレクション・プロダクション・オンライン』だったよな?」
自問自答する様にそう呟く。
「前から興味はあったんだよな。まあ、受験でそれどころじゃ無かったんだけど。」
心なしか上擦った声を上げる。
一年も待ったゲームなのだ。
やはり、興奮するものなのだろう。
「ダウンロード完了っと。じゃあ、ゲームセレクト画面へ行って起動。」
口頭で指示をして目を瞑る。しばらくすると浮遊感と共に落下する感覚に襲われ彼の意識はゲームの中に入った。
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『やあ!! 初めまして!!!!』
目の前の丸い猫型のマスコットが彼に話しかける。
「キャラメイキング?」
『そうだね。一から作る?』
横には、白いマネキンのようなものがある。
「いや、元の体のベースを出して?」
『了解......、ほいっと。』
そう言い、リアルの彼と瓜二つの存在が現れる。
「あー、OK。髪の色を白色にして肉付きを多少良くして。」
『大雑把だね。これぐらいかな?』
「もう少し少なめで。あ、後顔つきを多少良くして。」『OK、これぐらいかな?』
「十分!!!! これでいいよ。」
『注文が少なくて安心したよ。』
「十分多いと思うけどな? まあいいか。」
『キャラメイキング最長時間は三日だね。』
「多いなっ!!?」
驚きつつもすぐに気分を変える。
『名前はどうする?』
「レイ・ハニーイーターで」
『目黒だね。了解。』
「元の名前が目黒玲だからな。」
『安直......』
「いいだろ別に。」
若干拗ねたようにいう。
『まあ、名前選択はプレイヤーの自由だからいいけど......。まあ、いいか。じゃあ、ゲームを楽しんでね!!!!』
「チュートリアルは?」
『ゲーム内で出来るから。やるのなら是非やった方がいいよ。後、最初のmapはどこにする?』
「王国? だっけか?」
『友人に誘われたクチだね? それは。まあ、OK。王国に飛ばすよ? では、良い旅をSeeyounexttime!!!!』
そう言われて、再度浮遊する感覚に囚われると同時に一瞬目の前がブラックアウトし次の瞬間には中世のような街並みの中に喧騒に包まれつつ立っていた。
「わーを、こりゃ凄え......」
思わずと言った感嘆に肌に伝わるかのような空気の感触。
そして何より、鼓膜に伝わるかのような空気の振動。
その全てが、まさにもう一つの現実だった。
「ん? なんだこれ?」
視界の端に、半透明の白色の板のような物がポップアップする。
「なにこれ? quest? ああ、チュートリアルか。内容は......、ギルドに向かえ......、と。場所を教えろよ。あ、このmapのタグを押せばいいのね。すんませんでした。えっと、ギルドは......目の前の建築物か。簡単だな。まあ、最初だからこんなもんか。」
独り言にしては少し長い言葉を言って、歩き始める。
今、レイが立っている場所は少し大きな広場となっており中心には時計塔があり、その周
囲には光の柱のような物が立ちレイのような初心者と思わしき人物が次々と現れる。
大抵の人物はレイのようにギルドに向かうが、他にも結構な数の人物が既存のプレイヤー
に出会いはしゃいでいる。
恐らく、友達同士やまたは家族、他にも同僚や恋人と言った可能性も考えられる。
そんな様子を視界に入れつつものんびりとギルドに向かう。
レイが立っていた場所からギルドまでは目測で約150メートル。
かなり離れている。
たまに、馬車が通ることもあり物珍しいことから離れているが案外遠いとは感じない距離
でもある。
体感数分無いぐらいでギルドに到着するレイ。中に入ろうと扉を押し、片足をギルドの中に入れた時。
ピロン♪
不意に、スマホなどに設定しているような通知音が聞こえる。
先程から聞いたままの(閉じ方がわからないとも言う)画面を見るとquestclearの表記が。
ギルドに到着したことによりquestが完了され通知音が鳴ったと把握したレイは次のquestが何かと思いmapからquestのタグを押し、quest画面に切り替える。
そこには複数のquestが表記されておりその先頭には[ギルドに登録せよ]の文字が。
「まんま、チュートリアルだな。」
呆れつつも分かり易さに納得。そして、後ろがつっかえていると思い、慌てて後ろの人物に頭を下げる。後ろの人物も怒らず、それどころか若干の苦笑いをしながら許してくれる。初心者は皆通る道なのだろう。
だが、他人に迷惑をかけているのは事実。
そう言う訳で中に入りあたりを見渡す。
幾つものカウンターとそこに並ぶ様々な装備を着た人の行列。
漂う、肉やスープのあっさりとしつつも記憶に焼き付く匂い。
また、制服を着た人が階段を書類や素材を持って動いている様子を見てまた感動する。
その様子に呆気を取られつつ見続けていたレイだが一度冷静になりquestを進行進行しようとする。
ご丁寧にも、カウンターの上の看板に様々な事が書かれている。
その中にギルド登録と書かれた場所が。
そこに並ぼうとするレイ。
どこが1番空いているかを見つつ案外他の列と比べ少ないことに安堵する。そして、再度カウンター上の看板を見て納得。そもそもの数が多いからこそ、列に並んでいる人物も少ない訳だ。レイもその列に並ぶ。
約十分ほど経ち呼ばれる。
「次の方、どうぞ~」
「はい宜しくお願いします。」
「えっと、ジェンタイルズの方ですね。」
「え?」
「ああ、ぷれいやーと呼ばれている方々ですよ。我々はジェンタイルズと呼んでいます。左手にある紋章がその証です。」
ピロン♪
「え?」
慌てて、左手を見る。
先程までその存在すら無かった紋章が今は、現れている。
唖然とするレイ。
「ふふっ、皆さん同じような反応をなさいますね。」
若干、顔を赤くするレイにそう伝える。
初心者は皆通る道なのだろう。
「では、ギルドシステムの説明をお話します。」
「お、お願いします。」
まだ、羞恥に悶えながらも話を聞くレイ。
「まず、ギルドというものは国境なき国のようなものです。人類が辿りついていない場所以外ならば必ずと言っていいほど各地にあります。」
「そうなんですか。」
相槌を打ちつつ、テンプレともいうべき設定だと思う。
「そして、ギルドには複数の種類がありここは商業、職人、冒険者、傭兵ギルドが合わさっています。」
「四つもギルドがあるんですか!!?」
「もっと沢山有りますよ? 細かく上げればキリがありません。4人集まり拠点があり都に存在するメインのギルドに指定の金額を、この町で言えばここに報告しお金を払えば良いんですよ。」
「そうですか。」
「そうですよ? では続きを話しますね。ここの登録では基本的に冒険者登録になります。」
「どうやって登録するんですか?」
「初回登録は無料でこの金属板に触れれば完了ですよ。あ、まだ説明があるので待ってくださいね。」
そう言われ、ソワソワし出すレイ。
「お気持ちは分かりますよ? あははは......。すぐに済ましますから少し待ってくださいね。」
「は、はい。」
「ギルドにはランクという物がありS~Fとなっています。えっと、お名前は?」
「レイです。」
「レイさんは初登録の為、Fランクからのスタートですね。このランクは貢献度によって決まります。よく強さと勘違いされ易いですが違いますよ?」
「はい。」
「後は......、依頼を受けるのがそこの依頼受注の窓口です。今ある依頼はジェンタイルズの人々が持っているらしいステータス画面で確認できます。」
「あ、ホントだ。」
「ただ、受ける際は必ず依頼受注の窓口に行ってくださいね。」
「分かりました。」
「最後に、冒険者は国には縛られませんがその時いる国の法には縛られます。それもステータス画面で確認できます。もし違反し表沙汰になればギルドで行使出来うる全権限が使えなくなります。また、指名手配となればいくら復活するジェンタイルズでも特殊な空間に飛ばされてしまうらしいです。では、これにて説明を終了いたしますね。」
そう言い、カードを差し出す。レイはそれに触れ、ファンファーレが突如として鳴り響く。
「なんだ......?」
先程から出しっぱなしにしているステータス画面を見るとそこにはチュートリアル終了と書かれている。
また、タブも幾つか新しく出ておりその内容も気になるところだ。
「では、良い冒険を。」
「はい!!!!」
声を上擦らせ興奮しながら今から始まろうとしているゲーム生活を心待ちにしながらレイはそう言い、ギルドを出た。
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ギルドを出て、近くの段差に腰をかける。そして、ステータス画面を触り操作する。
「今更だけど触れるんだな。」
本当に今更ながらそんな感想をいうレイ。
「ふむふむ、今ある項目はマップにクエストに法律にステータスにスキルツリー? と設定だな。」
そう言い、最初二つは飛ばして法律から触れ始める。
画面が切り替わり、大量の文字列が現れる。
「多すぎるわ!!!!」
思わず叫ぶのも無理はない。
検索欄が存在するほどには量が多い。
予想ではあるが中身は六法全書に匹敵するのではないか?
「まあ、困った時にみるか。じゃあ、次。」
そう言い、恐らく二度と開かないであろうタブを閉じる。
次に開けたのはステータスのタブだった。
そこには身体を抽象的に表した絵と幾らかの文字が書かれている。
「えっと、これは健康状態か。HPとかはないんだな。あ、装備名称も書いてあるのね。えっと、初心者の革服上下に初心者の革靴と......え? 初期インベントリ袋(100スタックまで収納可能)あんの!!?」
今更ながらに驚くレイ。
そんなことは公式ホームページを見ればすぐに分かる事だ。
面倒くさがって調べなかったため、今更ながらに驚いているのだ。
「使い方は......、念じたら入るの? 袋なのに? あー、利便性の問題か。ステータス画面でも操作可能なのね。これは有難い。実態は......、無いのか。その代わり、保持者が死ぬとその場にアイテムが拡散する......。つまり、PKされたら一巻の終わりじゃねえか!!!!」
その通りだ。
「そう考えると、デスペナが重いな。逆に言えばアイテムさえ無ければデスペナがないのと同義......? いや、時間がリアルとは違うからそうでも無いか......。いや、言うて一時間だからやっぱ軽いな。」
そう結論づけ、思考が脇道に逸れたと修正。スキルツリーのページを開く。
「ん? ここもチュートリアルがあるのか?」
画面真ん中の種のマークが書かれている丸っこいところをタップするよう矢印が表示されている。
特になにも考えずに、押す。
『[スキル:才能の種]を取得しました。』
アナウンスが流れる。
「あ、ここでスキルを取るのか。結構普通だな。」
特に感慨深くもなく、確認してゆく。
「SPでスキルを取れるのか。SPはお金にも変換できんの? へえ。面白い。逆は、無理なのか。まあ、そうか。ご利用は計画的っと。SPは敵を倒したりジョブレベルを上げたりすクエストこなしたりしたら手に入るのか。こりゃいいな。」
そう言い、他のスキルに目を通す。
「初期で手に入るのは、採掘、採取、基本戦闘技術の三つか。基本戦闘技術だけ異様にコストが高いな。払えない訳では無いけどそこまでして買いたいとは思えないな。遠慮しよ。まあ、まずはコストの低い採掘と採取を手に入れようか。」
そう言い、クリックすると先ほどとほとんど変わらぬアナウンスが流れスキルをゲットする。
それが終わって他になにをしようかと悩み出し始めたところで通知がくる。
「なんだ? あ、空腹か。そろそろログアウトして朝飯食うか。心なしか俺も腹減ってる気
がするし......」
そう言い、レイはログアウトした。