はじめと
どこかの星のどこかの場所に、小さなかみさまがいました。
そのかみさまの名前は"なさらま"といって、
"ぱれっと"という場所に一人で暮らしていました。
"ぱれっと"には色々なものが置いてありましたが、全てがまっしろでした。
しかし、"なさらま"は、色々なものをどうやって使うかを知りませんでした。
"なさらま"は色んなことを知っていますが、その意味を知りませんでした。
"なさらま"はずっとここにいました。
あるとき、"なさらま"は"ぱれっと"の中に見たことがないものが置いてあることに気がつきました。
"なさらま"は気になってそれに触れてみると周りがさらに白くなり、しばらくすると、白が少し薄くなって目の前に何かが立っていました。
「だれ...ですか。」
"なさらま"は自分から自然に出てきた音に驚き、『声』を知りました。
目の前の何かは言いました。
「俺は"芸術家"だ。で、ここはどこだい?お嬢ちゃん。」
ーこの時が、"なさらま"と"芸術家"の出会いでした。
"芸術家"は"ぱれっと"の事や"なさらま"がかみさまである事を知りませんでしたが、"芸術家"は"なさらま"が知らないことを沢山知っていました。
芸術家が住んでいる所は『地球』といって、まんまるで、青かったり透明だったりする『水』や、"芸術家"のような
『ヒト』という生き物がいる事などを教えてくれました。
「じゃあ地球ってところには"芸術家"が沢山いるの?」
と"なさらま"が聞くと、"芸術家"は顔をしかめて
「俺みたいなのが地球に沢山いたら困っちまう。"芸術家"は地球で俺だけさ。」
といつもより小さな声で言いました。
そうして教えてもらっていく内に、"なさらま"は"ぱれっと"に置いてある物がどうやって使う物なのかを知りました。
その中には"芸術家"が教えてくれないものも少しありましたが、
「嬢ちゃん一つ教えてやる、嬢ちゃんがまだ知らなくていいものもここにはある、俺がわざと教えてない物は全部ただの『置物』だと思っといてくれ。」
と怖い顔で言われてから"なさらま"は置物のことを聞くのをやめました。
"なさらま"は色んな事を知れました。
"芸術家"がいてくれたおかげで『喜び』や『驚き』『楽しい』など感情の意味も知れました。...『恋』という感情も。
"なさらま"は"芸術家"がずっとここにいてくれると思っていました。
どのくらい時間が経ったでしょうか。
"ぱれっと"にある置物以外の意味を知り終えた時、"芸術家"は言いました。
「そろそろ俺は家に帰るとするよ、地球で芸術家としての仕事をしなきゃいけなくてね。」
"なさらま"は驚きました。嫌がりました。
「なんで帰っちゃうの!まだ色んなこと教えてよ!」
泣きながら言いました。
"芸術家"も悲しそうな顔をして、"なさらま"の頭を優しく撫でました。
「すまねぇな、嬢ちゃん。どうしても今行かなくちゃならねぇんだ。」
"芸術家"は頭を撫でるのを止めると、"芸術家"は本と丸い置物を取り出して言いました。
「嬢ちゃん、この本に"ぱれっと"の『置物』の事について書いてある。その本に書いてある事をしっかり読んで置物の使い方、意味を知ることができたら『置物』を使って俺に会いにきてくれ。また会おうな、嬢ちゃん。」
"なさらま"にその二つを渡すと、ポケットから別の『置物』を取り出して、霧のように消えました。
"なさらま"は泣きました。そして、『別れ』と『悲しみ』を知りました。
しかし、諦めませんでした。
「絶対にまた会いにいくんだ。『すき』って伝えるんだ。」
そうして"なさらま"は、"芸術家"の残した本を片手に"ぱれっと"の『置物』を知ろうとしていくのでした。
ー全ては、"芸術家"に会うために。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
"なさらま"という名前、実はアナグラムもどきになっておりまして
「なさらま→まさらな→まっさらな」
となり"なさらま"が住んでいる"ぱれっと"とあわせて
「まっさらなぱれっと」となります。
"芸術家"が色々な事を教える(色をパレットに乗せる)ことで
様々な表現ができるようになっていった…と考えて頂けたらありがたいです。