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ちょっぴり危険なお昼ご飯

「お、いたいた。夕陽〜」


「…海翔」


「調子はどうよ」


「…別に普通だよ」


「そうか、それなら良かった。…でさ、あの後どうななった?」


あの後、と言うのは昨日の帰り道のことを指しているのだろう。

あの状況で堂々と2人にしやがって。

しかし、大して変なことも起きてないので事実をありのまま伝えることにした。


「あー、甘咲さんなんだけど、俺の家の隣に引っ越してきたみたいでさ」


「え、まじで?」


海翔は前の席に座っている夢をチラッと見る。

夢は何やらノートに殴り書きしているようでこちらの会話は耳に入っていないようだ。


「まじだ。俺も急だったからびっくりした」


「そういえばお前ん家の隣、ここ数年空き家だったもんな」


「うん。何故か引っ越してきた人は1年経たず出ていくんだよな…」


「へぇ…ってことはもしかして2人で登校したのか…?」


「え、まぁそうだけど」


「お前…ついに、リア充に…」


「まてまてまて。一緒に登下校しただけだ。リア充とは言わん!」


「女子と2人で登校。この世にいる非リアがどれだけ求めていることか…」


「そんな大袈裟な……そろそろチャイム鳴るぞ」


「…ちなみに今日の帰りは…?」


「あーわり、先約があr…」


夕陽が言い終える前に叫びながら教室へとダッシュで戻っていきました。


「リア充ねえ…」


すると殴り書きしていた夢が突然振り返り


「楽しみですね」


と怪しげ?な笑顔で呟きすぐに前を向いた。

突然のことに心臓がドキッとしたが、良く考えると突然じゃなくてもドキッとするわこんなの。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


放課後になり、下駄箱で靴を履き替えた2人はそそくさと帰ろうとしていた、、が


「あの、甘咲さん…?」


「どうかしましたか?」


「えっと近くないですか?」


「そうですか?歩道をあまり広く使いすぎてはいけませんし、普通じゃないですか?」


「普通…なのか…?」


夕陽と夢の距離は普通ではなかった。

今にも肩と肩が当たる…なんてものではなく、このまま自然と腕を組んでも周りにバレない程度には近かった。

ってかなんなら腕組んでやろうか。

そんな勇気ないけど。

一方、夢はというと。


「おっひる~おっひる~♪」


と全く気にした様子もなくお昼ご飯のことを考えているようだった。

そんな感じでマイペースな夢と心臓バクバクの夕陽は特に会話が進展することもなく家に着いた。


「じゃあ後でお邪魔させてもらうね」


「はい!お待ちしてますっ!」


………夕陽は荷物を置き、着替えを済ませ、部屋の中をぐるぐるしていた。


「何を緊張してるんだ俺…昼ごはんを食べに行くだけ…食べに行くだけ…」


早めに行き過ぎても迷惑かもだし、でもちょっとくらい手伝わないとだし、、

そんなことを考えそわそわしながら、いつ行こうかと悩んでいた。


「…シャワー浴びてから行こ」


シャワーで汗を流し、体も心も?綺麗になったところで夢の家に行くことにした。


家のチャイムを鳴らすと、ガチャっとドアが開きそこにはエプロンをした夢が立っていた。


「上がってください~!」


「お、お邪魔します」


部屋に入ると何やらいい匂いが…


「今仕上げをするのでもうちょっと待っててくださいね」


「わかった……何か手伝えることある?」


「そうですね…では、楽しみに待っててください…!」


なんだよそれ、かわいいかよ。

夢はフライパンの火を止め、綺麗に盛り付け、運んでくれた。


「お待たせしました!特性、お子様ランチBです!」


と、ドヤ顔で言う夢。

お皿の上にはハンバーグやにんじん、ポテトなどがある。

夕陽はその完成度の高さにおぉ…っと感激していたが…


「なんでハンバーグに旗立ってんの!?ってかお子様ランチBって何!?」


そもそもAを食べていないのにBから入って良かったのか。

いや、そもそも突っ込むところはそこで合っているのだろうか。

冷静に考えるといろいろとおかしかった。


「でも大事なのは味だからな…」


ハンバーグを1口口に運ぶ…


「う、うめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ~~~~」


めちゃくちゃおいしい。

今まで食べたハンバーグの中…いや、料理の中でもトップクラスでおいしい。


「何これ!めっちゃおいしい!」


夢は嬉しそうに微笑みながら


「それは良かったです!あ、お口にソースが付いてますよ」


顔を近づけ、ティッシュで夕陽の口を拭う。

その突然の出来事に夕陽は夢中で食べていた手を止め、顔を赤らめ我に返る。


「っ…ほんとに美味しいよ、甘咲さん」


「喜んでいただけたようで何よりです…!」


お子様ランチBを食べ終え


「ご馳走様」


「お粗末さまです」


「食器くらいは俺が洗うよ」


「いえいえ、シェフとして最後まで仕事は自分でやります!」


シェフは皿洗わないだろ。

知らんけど。

時計を見ると針は2時15分を指している。


「じゃあそろそろ帰るね。今日はほんとにありがとう。」


「こちらこそ来ていただいてありがとうございました!また良かったら食べに来てください!」


ドアが閉まる音がしたあと夢は


「喜んでもらえて良かったぁ!」


と、我慢していた笑みを解放し、太陽のような笑顔で喜んだ。


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