挨拶
頭の整理が追いつかない。
たしかに先日、引っ越しのトラックが家の近くに停まって、誰かが引っ越して来たことは知っている。
だがそれがロリ(合法)だなんて考えもしなかった。
というか、なんか懐かれてる気もする。
そんなことを考えながら、学校の制服からラフな私服へと着替えを済ませた。
「はぁ…俺の高校生活一体どうなるんだ…」
ピンポーン
家のチャイムが鳴る。
「そういえばさっき、挨拶に来るとか言ってたな……仕方ない、はーい今出まーす!」
ドアを開ける。
あれ?誰もいな…いたわ。
小さすぎて気づかんかった。
「あぁ、甘咲さん。さっき言ってた引っ越しの挨拶に来てくれたの?」
「あ、はい。……これ、つまらないものですが…」
「ありがとう」
夕陽は苦笑で綺麗に包まれた箱を受け取る。
引っ越しの挨拶だ。
お菓子か何かだろう。
それにしても小さいな…
「あの…どうかしましたか?」
「え、あ、ごめんねジロジロ見て。同い年、、、なんだよね?身長どれくらいあるの?」
「身長、ですか。最近は測ってないので詳しくは分かりませんが、145cmくらいでしょうか…」
「えっと、小さいね。」
「…」
しまった。
いくら小さいとは言え、高校1年生。
つまり、女性なのだ。
女性に身長を聞くなんて、それにもし小さいのを気にしていたら…
とっさに"小さいね"なんて言ってしまったことを後悔しながら次の言葉を探していると
「……小さいのは、、お嫌いですか…?」
え?
どういう意味?
てっきり「女性に小さいなんて、失礼にもほどがありますよ!」とか言われると思ったんだが…
この予想外の一言には、さすがの俺も驚いた。
「え?えっと、嫌い…じゃないけど…」
俺がそう答えると、顔をパーーッと明るくして
「そうなんですね!あ、夕食を作らないといけないので今日はもう失礼します!」
「え、あぁ、また明日ね」
「はい!」
良かった、機嫌を損ねなくて。
それなんだあの最後の顔は、天使か。
そんな事を考えながら部屋に戻り、今日の出来事を振り返る…いや、振り返るほどの出来事は起きていないがどうしても確認しておきたいのだ。
「甘咲夢…同じクラスで家が隣…俺好みのタイプじゃないけどかわいかったな…」
その日はさっさと夕食を済ませ、寝た。




