入学式ー出会い
文章や会話は不定期で増える場合があります。
~春~
それは別れの季節であり、出会いの季節でもある。
人生の1割くらいを共にした仲間と別れ、それぞれの夢に向かって歩き出す。
その歩き出した道の先で新たな出会いがある。
それが春という季節なのだ。
今日は天ノ南高校、通称 天南の入学式だ。
そのため、今日から通うであろう同級生達が歩いているのが部屋の窓から見える。
入学式に遅刻なんてしたら一生の笑われもんだ…と思い、時間的余裕はあるが少し焦り気味に、カバンの中を忘れ物がないか軽く確認し玄関へと向かう。
新品の靴を履き、顔を両手でパンッと1回叩き気合いをいれる。
「俺も今日から高校生か……どんな青春が俺を待ってるのか楽しみだぜ!」
そう呟くと、夢と希望への第1歩を踏み出した。
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青春が、始まる
名前 雨月夕陽
性別 ♂
身長 168cm
特徴 アニメオタク 以上
この、夕陽こそがこの作品の主人公だ。
これといった特徴がないのが特徴、と言っていいほど特徴がない。
強いて言うならアニメオタク。
それも割と立派な。
部屋の壁には好きなキャラのタペストリーが丁寧に飾ってあるし、本棚にはライトノベルや漫画が丁寧に詰まっている。
まぁそんな感じのどこにでもいそうな人だ。
家から学校までは徒歩で約15分。
近くもなく、遠くもない距離だ。
今日は入学式ということもあり、少し早めに家を出た。
緊張と不安が降りかかる。
「何組だろう…部活は何にしよう…友達出来るかな…」
そんな小学生みたいなことをぶつぶつと言いながら歩く。
傍から見れば不審者Lv1みたいな感じだ。
緊張のせいか、足が思う通りに動かない…とまではいかないが、足取りが重たい。
しかし、アニメの主人公のように急にパッと顔をあげ、おとむろに、周りの目など気にせず叫んだ。
「…この学校を選んだのはただ近かったからという理由だけではない…!!僕の…いや、俺のイメージを変えてやるんだ!!」
俺の青春待ってろよ!ふへへへへ…
そんなことばかり考えていると、早くも学校が見えた。
きれいに飾り付けされた正門を潜り、校舎内へと入る。
靴を持ってきた袋に入れ、上履きを履き、クラスと出席番号が書いてある張り出しの紙を見に行く。
と言っても、苗字が「あ」から始まるのでいままで出席番号が1番以外だったことはないんですけどね。
「クラスは…2組か、出席番号は…1番だな」
まぁ当然ですよね、みたいな顔をしながら2組のクラスへと向かおうとしたとき……話しかけられた気がした。
正確には、登校中もずっとそんな気はしていたが無意識に無視をしていたのだ。
それに家を出てから隣にずっと気配を感じる。
緊張や不安で特に気にしていなかった…いや、気にかけることが出来ていなかったが、そういえば家を出た時から隣に誰かいる。
俺はそこでようやくその存在に気づいた。
「あの…あの…!すみません…!」
「へ?」
「あ、す、すみません。さっきからずっと話しかけていたのですが、、、」
「え?あの、ずっと…?」
特に気になったのはそこではないのだが、話の流れ的に聞き返してしまった。
「はい、雨月さん…雨月くんが家を出た時からずっと…」
「ほんとにずっとじゃん」
思わずツッコんじまったよ。
いや、それより、え?ほんとにいた?まじ?全然気づかんかったわ。
………………ってか、誰?
ようやく落ち着いて…はいないが、1番聞きたかったことをようやく聞けた。
「君は…誰?」
「す、すみません、自己紹介が遅れましたっ…私は甘咲夢と申します…私もっ今日からこの学校で…そのっ…」
俺はまず、こう思った。
ロリだ。
本当に実在すんだ、合法ロリ。
銀髪でツインテール、身長は145〜150cmくらいだろうか。
高校1年生にしては小さい。
しばらく見入っていたが、ハッと我に返った。
「え、あ、そうなんだね。えっと、俺は雨月夕陽。」
「は、はい!存じております!あの、私も2組だったので良かったら教室までご一緒させていただいてもよろしいでしょうか?」
存じている…?どこかで会ったことがあるのだろうか。
いろいろと聞きたいこともあるがきっとこの子も不安なんだろう。
夕陽はそう思い、慣れない女子との会話をしつつも教室へと向かった。
自分の席にカバンを置くと夕陽は早々に教室を出て、3組へと向かう。
「あいついるかな…」
夕陽が探しているのは小学校からの幼なじみである、海翔のことだ。
さっきクラス表を見た時に3組に海翔の名前があった気がしたので実際に探しに来たのだ。
あった気がするというのはそのままの意味で、探してる途中で夢の存在に気づいたから、記憶が曖昧なのだ。
「まだ来てないのか。まぁ帰りには会えるだろ」
今海翔と会うのは断念し、帰りに出会える奇跡に頼るのだった。
入学式が始まり、そして特に何も無くすぐに終わった。
そしてホームルームも終わり、今日はもう帰宅…ということで海翔を探しに行くことにした。
普通に靴箱にいた。
なんだよ。
「お前普通に靴箱にいんのかよ」
「お、夕陽じゃん!普通に靴箱にいちゃダメなのかよ。まぁとりあえず一緒に帰るだろ?」
2人は花で盛大に飾られた正門を抜け、帰路に着く。
「3組はどんな感じだ?」
「雰囲気は悪くないがやっぱり知り合いは少ない」
「だよな…やっぱ違う学校にしとけば良かったかな」
「バカ言うな。俺たちの青春は始まったばっかだぜ!、、、それよりさ、一つ聞いていいか?」
何を聞かれるんだろう。
秘密にしてることなんてないし、今更聞かれるようなこともないはずだが…
「その隣にいるの、だれ?」
「え?隣って…」
隣を見る。
たしかに人がいる。
見覚えのある銀髪のロリっ子が。
「…」
「…」
「…」
「なんか喋ってくれ!?ってかなんで隣で普通に歩いてるの!?」
「私も、家、こっちだから…」
そうなんだね。
「何が"そうなんだね。"で解決しようとしてんだ俺!!」
「お前、そういう趣味あったのか…」
「海翔、それは違うぞ。俺はロリよりお姉さん派だ!」
正直今はそんなことどうでもいい。
いや、よくはないが。
「えっと。で、だれなのその子」
「えっとたしか…」
「甘咲夢です。雨月くんと同じ2組です。よろしくお願いします。」
「甘咲さん、は、夕陽とどんな関係なのです?」
なんか海翔も動揺してる。
ってか"なのです?"ってなんだよ。
「私は雨月くんのクラスメイト…です。」
だよね、そうなるよね。
だってさっき会ったんだもん。
「俺もさっき会ったばっかでよく分かってないんだよ…なぁ海翔…あれ?海翔?」
「あ、俺こっちだから。じゃあまた明日な」
海翔ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ
この状況で2人きりにするか普通。
家までの距離はもう少し。
がんばれ、俺。
「えっと…甘咲さんは家どの辺なの?」
「はい、雨月くんの隣です。」
「そっか、隣か」
そっか、隣か。
え?隣?
ん?つまり、俺の家の隣が…え?
「つい先日引っ越してきたばっかりで、挨拶もしに行けず申し訳ございません…」
「え、あ、挨拶は別にいいんだけど…隣?ほんとに?」
「はい、隣です。間違いなく雨月くんの家の隣です。」
まじか。
これなんかのイベント発生フラグか?
そんな事を考えてるうちに家に着いた。
と、同時に夢の家にも到着した事になる。
「あ、じゃあ俺ここだから」
「はい!それではまた明日…いえ、後で挨拶に伺いますね!」
まじか。
隣に引っ越してきたのがまさかロリとは。
いや、かわいいし、普通に嬉しいんだけどね?
そうして俺の高校生活は始まった。
どうも閲覧いただきありがとうございます。
小説を書くのも、投稿するのも初心者ではありますが、正直な感想を書いて下さると嬉しいです。




