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勇者

 商業国家イラル王国市街地。

 一人の少女が魔王と戦っていた。


「はああああ!」


 ──ザンッ!


『いったいわねぇ!』


 聖剣を振るう彼女の名前はサシャ・ツキシロ。

 世界に10人いるSランク冒険者第9位の実力を持つ──勇者である。

 彼女は過去に異世界から転移してきた勇者の子孫であり、そのスキルは……。


 ──『コンティニュー』

 所持金の半分(小数点切り上げ)と引き換えに蘇る能力。


 更にその能力の真骨頂。

 最終的に銅貨1枚となった場合、永遠に蘇れる間接的不死能力。

 故に彼女の二つ名は『不死の勇者』


 元々勇者として特筆した身体能力、魔力、戦闘センスがある彼女。

何度も蘇る能力と合わさり、最強の勇者としてその存在を知る魔王たちに恐れられていた。


「っ! いい加減死になさいよ!」


 そんな彼女は今、同じく間接的不死能力を持つ魔王と戦っている最中だった。

 何度も何度も聖剣を振るい、数十回以上にわたり魔王を殺し、同時に同じ回数魔王に殺されていた。

 彼女は同じく、イラついた様子で叫ぶ魔王の身体を聖剣で両断する。


 ──ザンッ!


『それは私の/

      /セリフよぉ!』


 彼女は自分の身体を両断されながら叫び、切断された身体は溶ける様にして消え……。

 瞬間──復活。

 彼女は土の中から復活して現れ、サシャに向かって手刀の一撃を放った。


『毒の胞子を纏った手刀よぉ! 内部からグズグズに溶けて死になさぁい!』


「しまっ……」


 彼女の名前は魔王──コルヴァ。

 歩く巨大キノコ。マタンゴの魔王であり、Aランク魔王である。


 その能力はスキル──『転生』

 死んだ場合、自分の子供に転生する能力である。


 そのスキルは元々キノコのモンスターとして、胞子をまき散らし、自己増殖する彼女の生態と非常に相性が良い。

 彼女は胞子を周りに撒き散らす事によって、死んだ場合どれかの胞子に転生し、疑似的に不死の能力を得ていた。


「ああああああああ!」


 彼女は内部から溶けていく、勇者サシャを見ながら呟いた。


「言っておくけど私のストックは残り1億よぉ。いい加減諦めなさぁい!」


 諦めさせるために言ったその台詞。

 同じく不死の能力を持つ者として、死なないにしても死の苦痛は免れない事は誰よりも知っている。

 しかし、その言葉は逆に勇者──サシャの心に希望の火を灯した。


「ああああああああ! つまり! 1億回あなたを倒せばいいって事でしょ!」


 瞬間──所持金を半分にして彼女は死から再生。

 既に所持金は銅貨1枚になっており、ノーリスクでの再生となる。


 まるで西部劇のガンマンの様に、勇者サシャと魔王コルヴァは同時に動き出した。

 勇者サシャの聖剣と魔王コルヴァの毒の手刀が交差し、二人は同時に即死の攻撃をその身に受ける。


「かっ……はっ……」


『ぐっ……』


 勇者サシャの首は腐り落ち、魔王コルヴァの胴体は二つに分かれ──同時に再生。

 その場で再生したサシャと、地面から湧き出てくるように再生したコルヴァの攻撃は再び交差し合う。


「はあああああああああ!」


『おおおおおおおおおお!』


 お互い即死と再生を繰り返す狂気の戦い。

 二人の周りには剣圧と、手刀の風圧で嵐の様に暴風が吹き荒れていた。

 そして二人の表情には笑み。生死すら存在しない戦いを純粋に楽しんでいるようだった。


「はああああああああ!」


 ──ザンッ!


 何度死んだか分からない。何度生き返ったか分からない。

 勇者サシャは何度も死と再生を繰り返す中、徐々に魔王の攻撃に適応してきた。

 今まで見えなかった神速の手刀は見える様になっており、即死の猛毒には徐々に耐性が付いてきた。


 ──勇者としての真骨頂。急激なレベルアップである。


『貴方……私の毒に適応したのぉ!?』


 魔王コルヴァがそれに気づいたのは連続で10回死んだ時だった。

 何度も何度も確実に毒の胞子はサシャの身体に叩きこんだ筈であるし、既に半径50メートルには毒の胞子が蔓延している筈である。


「そうみたいね、ところであなたは後何回殺せば死んでくれるのかしら」


 ──死。


 魔王になり、決して死なない存在になった彼女は初めて死の恐怖を感じた。

 既にストックは9千を切っており、このペースで行けば短い未来。完全に死んでしまうことは明らかだった。


『……それはこっちのセリフよぉ』


 魔王コルヴァはチラリと空を見た。

 ──曇天の空。


(あと少しねぇ……それまでストックが持てば……)


『いい加減! 死になさぁい!』


 コルヴァは秘めた思いを隠す様に大きく叫ぶと、サシャに捨て身の攻撃をしていった。


 ──曇天の空が徐々に厚みを増していく事を感じながら。


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