ボランティアで勇者します
「うっし、じゃあこの生首をギルドに提出すれば晴れて俺は正式な冒険者って訳か!」
ゴブリンの魔王を速攻で倒し、目の前に落ちたゴブリンの魔王の首を拾いながらそう呟くと、ロウガの奴が俺から首を奪い取ってきた。
「何を言ってるんだ! これは俺の獲物だったろう!」
「いやいやいや、俺が倒したじゃん」
もう、ここまでくるとギャグにしか聞こえない。
だってお前完全に見てたじゃん。
ゴブリンの魔王が俺に拳を叩きこんだところで死んだ瞬間をさ。
「何を言ってるんだ! 俺が倒したんだ! だってお前は何もしてなかったろ! 俺が与えたダメージが後から効いてきて、魔王が死んだんだ!」
「いやいやいや、んな訳ねえじゃん。お前が認識出来なかっただけで俺が倒してたんだって。あんなへぼ剣術で魔王が殺せる訳ないだろ?」
この時、俺は完全に忘れていた。
目の前にいるこいつはゴブリンの魔王より厄介で、理不尽な男と言うことを。
「っ! 何見習いが俺の剣を馬鹿にしてるんだ! 先輩に盾突きやがって許さん!」
すると、ロウガは評価シートに大きくバツをかいて俺に見せてきた。
「お前は追放だ! ギルドには俺から言っておく! 敬語も使えない! 年上の言うことも聞けない使えない人間だとな!」
「はぁ~もうそれでいいや。なんか疲れた」
俺は内心その言葉に安心していた。
多分このままギルドに入っても先輩後輩の関係は続くだろうし、正直これ以上コイツと関わりたくない。
追放? 結構。一人で勝手に魔王を倒すわ。
そして俺はその場から立ち去ると、適当な街に住む事にした。
ボランティアで勇者をして魔王を倒そうと。
『ぐうううううううううおおおおおおおおおおおああああああああああああああああああああああああああ!』
ミノタウルスの魔王を一瞬で倒しながら俺が思っていたのは、虚無感。
幼いころに見た勇者の絵本に描かれてあったのは、仲間と共に限界ギリギリの死闘を繰り広げながら魔王を倒す自由な冒険活劇。
魔王を倒した後は仲間と祝杯を挙げ、民から賞賛される物語だった。
「あ~あ、つまんね」
現実は全然違う。
魔王を討伐するにはギルドから正式に依頼を受けないといけないし、そのギルドは年功序列のガチガチの縦社会。
先輩の命令は絶対で、勝手な行動は出来ないし、したら怒られる。
勿論ボランティアで魔王を倒している俺には仲間なんていないし、魔王は全員クソ弱い。
(俺が成りたかったのってこういうのじゃ無いんだよな)
俺は最近覚えた煙草に火を付けながら、家へと瞬間移動した。
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