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ゴブリンの魔王

 ゴブリンの魔王。

 比較的魔王の中でも力が弱く、Fランク魔王として登録されてある。


『おおおおお! 貴様ら人間は我々ゴブリンを弱いと思っているな!? ゴブリンの本当の強さを思い知らしめてやる!』


(よっしゃ! ラッキー! これで見習い冒険者は卒業してロウガともおさらばできる)


 ゴブリンの魔王が出た時、俺が思ったのはなんて幸運なんだと言う感情だった。

 見習い冒険者が正式にギルドに加入するには先輩冒険者からの評価シートの点数が高いことが条件なのだが、実はそれ以外に抜け道がある。


 ──魔王討伐だ。


 どんな低ランクの魔王でも討伐出来るのであれば即戦力。

 討伐した証拠をギルドに持っていけばその場で正式な冒険者として登録されるのだ。


(よし、殺そう。速攻で殺そう)


 しかし、その考えは浅はかだった。

 ゴブリンの魔王は強さに比べて報奨金率が非常に良い。

 ロウガがそれを見逃す訳はなかった。


「クロム! お前は手を出すな! この魔王は俺が討伐する!」


「はあ!? だってこれは俺のクエストだろ!?」


「見習い冒険者のクエストは同行する俺のクエストでもある! だから俺の獲物だ!」


 そう言うとロウガは剣を片手にゴブリンの魔王に突撃していく。

 つまりアイツは……割のいい獲物が出たから自分の手柄にしようとしているのだ。


「はぁ~もうやってらんねえ」


 俺はその場に座り込むと、意気揚々と戦っているロウガの姿を眺めた。

 ゴブリンの魔王は生まれたてなのか、かなり弱い。

 すぐにでもロウガが倒してしまうだろう。


(あーあ、折角これで冒険者になれると思ったのにな)


 〇


 クロムがその場に座り込んだ時──ロウガと戦うゴブリンの魔王は、徐々に自分の中で膨らむ力を実感していた。

 レベルアップの瞬間である。


(ギギ……力が……力が湧き出てくる……)


 ロウガの剣を捌きながら湧き出てくる自分の力をコントロールしようと精神を集中する。

 そして──その時が来た。

 魔王の身体は倍以上に膨らみ、漆黒のオーラが彼を包んだ。


 ──スキル『ゴブリンの王』の覚醒である。


『これは……仲間の力?』


「くっそ! なんだコイツ! 急に剣が通用しなくなった!」


 スキル『ゴブリンの王』の力は半径50キロ圏内にいるゴブリンの力を全て自分の力に加算する能力。

 半径50キロ圏内にいるゴブリンの数は約1万匹。

 その体力が、膂力が、防御力が、魔力が、俊敏性が全て彼に集約され、今の彼のランクは……。


 ──Aランク。


 国家壊滅規模の魔王の誕生である。


『ギギギギギギギ! 仲間たちとの友情が俺様に力をくれた! 友情! チート! 勝利! それが俺様の力だあああああ!』


 魔王は感情の赴くままに拳を地面に叩きつけた。

 ──爆散。

 大地は粉々に吹き飛び、ロウガはその衝撃で10メートル以上後方へと吹き飛ばされた。


(虚しい……これが王の孤独か……)


 魔王はぽっかりと地面に開いた穴を見ながら自分の力に酔いしれていた。

 明らかに強すぎる力、既に彼は仲間のゴブリンの事を同族として見れなくなっていた。

 故に孤独。しかし、同時に思うのは王たる者の義務感だった。


『俺様は! ゴブリンたちの為に国家を作り上げてやる! 邪魔な人間どもを駆逐し、最強最大の国家を作り上げてやる! おおおおおおおお!』


 空に向かって彼は叫び続ける。

 声に出す事で思いを信念しようと。

 確固とした信念で夢を現実にしようと。


 〇


(へぇ~あれが魔王の覚醒か、いいもの見れたな)


 と、ぼんやりと座りながら叫んでいる魔王を見ていると、吹き飛ばされたロウガが俺に命令してきた。


「クロム! お前攻撃してこい! お前のクエストだろ! 俺はその間にギルドに逃げ……戻って報告してくる!」


「はぁ? さっき自分が手を出すなって言ったじゃん」


「うるさい! 先輩の命令は絶対だろ!」


 う~わ、マジでムカつくな。

 自分が不利になった途端に人に仕事を押し付けるんだよなコイツって。


「良いからお前がやれ! お前のクエストだからお前に責任が……」


『うるさいぞ! そこの人類! 今良い所なんだ! 俺様の邪魔をするな!』


 ロウガが仕事どころでは無く、責任まで押し付けようとした瞬間。

 魔王がキレてきた。

 そこの人類って言いながらなんで俺を見んの? 俺はただ聞いてただけじゃん。


『特にそこのお前! 何座ってるんだ! 俺様に恐れおののけ! 魔王だぞ!』


「う~わ。お前もそう言うタイプかよ。自分は偉いから媚びへつらえ的な奴は上にいる資格ねえぞ」


『ッ! 死ねい!』




 ──瞬間。魔王を包む漆黒のオーラは拳に集約した。


 身体を今までの10倍以上に膨らまし、漆黒のオーラを拳に一点集中させての打撃。

 彼の必殺技『暗黒破岩拳』であった。




「はぁ~面倒くさ」


 迫りくる必殺の拳。

身体に触れる直前でクロムはそう呟くと、スキルを発動させた。


 座ったまま戦うスキル『座れば牡丹』

 全世界、全生物の力を自分に付与するスキル『王』

 時間を止めるスキル『時間停止』

 空間を操るスキル『空間掌握』

 異次元へと干渉するスキル『次元干渉』

 因果律を操作するスキル『因果操作』

 運命を操作するスキル『運命操作』

 奇跡を起こすスキル『偶然の結果』

 嘘を本当にするスキル『虚言癖』

 無から有を作り出すスキル『森羅万象』

 有を無にするスキル『完全消滅』

 星の力を借りるスキル『星の巫女』

 宇宙の力を借りるスキル『コスモパワー』

 モンスターに必ず勝つスキル『対魔』

 ゴブリンに必ず勝つスキル『ゴブリンスレイヤー』

 魔王に必ず勝つスキル『勇者』

 必ず相手に勝利するスキル『約束された勝利』etc……。




 そして──




 断末魔を聞くスキル『最後の声』


「ぐわっばあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


 500個程のスキルを叩きこまれたゴブリンの魔王はクロムに触れる直前で大きな断末魔を上げながら消滅していった。


 ──ゴブリンの魔王たるその巨大な首だけを残しながら。

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[気になる点] 「見習い冒険者のクエストは同行する俺のクエストでもある! だから俺の獲物だ!」 「良いからお前がやれ! お前のクエストだからお前に責任が……」 実際の所、老害の割り込みによる報酬の横…
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