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商人を助けたけど……

 ──多分俺には最初から力があったんだと思う。


 それに気づいたのは8歳の頃、切っ掛けなんてものは無かった。

 朝起きた時、俺は自分の中に内包する力に気づいた。


(そうか……俺のスキルは過去の勇者様のスキルを使える能力……)


 初代から数えて合計『7京9181兆5273億6446万4985人』の勇者様のユニークスキル。

 感覚で分かった。きっとこれは他の世界線のユニークスキルもカウントされているのだろう。

 膨大すぎて把握しきれない程のユニークスキルの中には、戦闘に使えないようなものも数多くあり、尚且つ増え続けていた。


 そして、その力を手にした8歳の俺は純粋に思った。


「きっと……この力は悪者から世界を救うために神様がくれた力なんだ! 俺はこの力を使って世界を平和にしてやる!」


 毎晩のように読んでいた過去の勇者様の冒険活劇。

 人を愛し、仲間を愛し、悪を正し、弱きを助ける。

 心が引かれないわけがない。


 この力を世界の平和の為に使おうと決意した俺は、まずは力をコントロールする為に家を出て、一人山に篭った。

 途方もない力は、コントロールするのも危険で非常に時間が掛かるのだ。


 そして──10年。

 俺は10年山に篭り、数々の修行を積み経験を重ね、18歳になる頃──

 俺は7兆2283億9464万9591の力をコントロールすることが可能になった。


「10年かかって0.09%しかスキルをコントロール出来なかったか……」


 しかし、これ以上山に篭って修行をし続ける事も出来なかった。

 こうやって山に篭っている間にも次々に魔王は誕生し、人間は死んでいる。

 10年で0.09%しかスキルをコントロール出来ないのなら、一生かかっても全てをコントロールすることは出来ないだろう。


 修行を中断した俺は、山を下り人里へと向かった。

 心の中には両極端の二つの気持ち。

 これから俺の快進撃が始まるんだと言う一種の高揚感と、もしかしてまだ修行が足りなかったんじゃないかと言う不安感。


 そして進み続ける事数日だろうか、そろそろ街に着くと言う所で聞こえたのは人の悲鳴だった。

 迷わずその声のする方向へと進み……見た。


 ──商人の馬車がゴブリンの群れに襲われている所を。


「うわああああああ! 助けてくれ!」


『ギ!』

『ギギ!』


 倒れた馬車の周りには数十匹のゴブリン。

 馬は既に殺されており、商人は今にも襲われそうだ。

 不謹慎だが、心が躍る。


 今の俺は、まるで勇者様のようじゃないか! と。


「今、助けるぜ!」


 瞬間──スキルを発動。


 肉体を強化するスキル『肉体強化』

 肉体を超強化するスキル『超肉体強化』

 分身するスキル『ドッペルゲンガー』

 相手のスピードを遅くするスキル『スローモーション』

 自分のスピードを速くするスキル『クイックモーション』

 武術の達人になれるスキル『拳聖』

 超高速で動けるスキル『縮地』

 拳に触れた物体を消滅するスキル『破壊拳』

 全て力で解決できるスキル『肉体言語』etc……


 肉体系スキルを50個程同時に使っただろうか。

 ゴブリンたちの群れは瞬きをする間に塵となって消滅し、何が起こったのか分からないと様子の商人に、俺は話しかけていた。

 まるで、子供の頃に憧れた勇者様の様に。


「大丈夫か?」


「あっ……あなたが助けてくれたのですか?」


「ああ! 俺が世界の救世主ク……」


 意気揚々と名前を名乗ろうと思った時だった。

 街の方から一人の冒険者が走ってきて、俺に叫んだ。


「待て待て待て待て! お前何をしているんだ! このクエストは俺たちが先に受注したクエストだぞ!」


 瞬間──硬直。

 この冒険者が何を言っているのか全く分からなかった。

 なんで俺が怒られてるんだ? 先に? 受注? 人が死にそうだったんだぞ? 何を言ってるんだ?


「おい! お前! ギルドに登録してない人間が勝手にモンスターを倒したらダメに決まってるだろ! 俺が来るまでなんで待てなかった!」


 目の前で怒鳴られてハッと我に返った。

 何がダメなのか全く分からない。

 だって俺はモンスターから商人を守ったんだぜ?


「なんでダメなんだよ。俺は命を救ったんだぜ? お前らが来るのをチンタラ待ってたら商人のおっさんは死んでたん……」


「黙れ! 年上に口答えするな!」


 ──ドカッ。


 と、言い終わる前に俺は殴られていた。

 肉体のダメージは全くないが、それよりも心が少しさくれていく感覚がした。

 

「このクエストの報酬は俺が貰うからな!」


 冒険者はそう言うと、承認を引きつれて街に戻っていった。

 別に報酬が目的ではないからそこはどうでもいい。

 ……商人を助けられたんだからな。


「とりあえず……文句言われるのも嫌だからギルドに入るか」

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