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最強魔王 最強勇者に瞬殺される

「お前は追放だ」


 と、ある男が追放されてから三か月後。

 魔王ヴァルザが爆誕した。


 魔王──ヴァルザは雄牛型モンスター『ミノタウルス』からの突然変異種だった。


 とある森の奥で暮らしていた彼は、次々と仲間のミノタウルスが冒険者に狩られていくのを見て、激怒した。

 弱肉強食はこの世の理であるが、人間はそれ以上に同胞を殺しているのだ。


 食料にする為以上の乱獲。

 その雄雄しき角を装飾品にする為に、美しい皮を剥ぐために……。

 ヴァルザはその理不尽なまでの乱獲に憤怒し──覚醒した。


『これが……俺の力?』


 大地を割る程の膂力、全力で剣を振り下ろしても傷つかない程の防御力、一瞬にして傷を回復するだけの回復力。

 モンスターの理を超えた魔王の力である。

 そして何よりも……魔王の力『スキル』があった。


 スキル──『重力操作』

 半径10キロの重力を自在に操作できる最強の力。


「まずは、身近な所で試してみるか」


 彼はまずは試しにと、自分の住む里の重力を100倍にしてみた。

 理由はただ近いからと言う理由だった。


『ピギ!』

『グモッ!?』


『ハハハ! まるで虫けらのように潰れていくわ』


 200名はいる同胞は一瞬にして潰れ、血と肉のスープになった。

 そこには、同じく人間に憤怒していた仲間の姿も、愛すべき家族の姿も……。

 彼は潰れた自分の子供の肉を少しだけ摘まんで食べると、口の中で転がし「何だ、美味いじゃないか」と呟いた。


 そして、彼は自身の周りの重力を軽くすると人間の国へと飛び立っていった。

 同胞を殺した人間を殺す為に。

 最強の力で弱者を蹂躙する為に。


 〇


『人類よ! 貴様らは増えすぎた! 死をもって償え!』


 その日、突如現れた魔王によって戦略魔導国家アベルは半壊した。

 現れたと同時に首都は完全に潰れ、国王以下主要人物は死亡。

 更にはそこに滞在していたAランク冒険者も全滅した事から認定された彼の災害度はSランク。


 世界に10人しかいないSランク冒険者が、数人がかりで対処しなければいけない強さだった。

 首都を潰した後に彼が行ったのは、残り人類の殲滅。

 あえて重力操作で潰さなかったのは、彼が絶望する人類の顔を見たかっただけに過ぎない。


『ほう……まだ生き残りがいたか』


「ひっ……たっ……助けて……」


 悠然と燃え盛る街を歩きながら、彼が見たのは一人の少女。

 崩落した瓦礫に足を捕らえられ、その場から動けないようだった。

 涙を流しながら命乞いをしている。


『ハッハハ! お前ら人間はそうやって命乞いする我が同胞を助けたのか?』


 彼の目にはその姿が滑稽に移った。

 ひとしきり笑うと彼は無表情で彼女に手を向け、重力を強めた。

 さて、人間の少女の肉はどんな味がするのだろうと思いながら。


 彼の目に映る光景は、助けを求める少女がひき肉になる……予定だった。


『……誰だお前』


 しかし、その寸前──少女は何者かによって助けられ、潰したのは瓦礫のみ。

 魔王ヴァルザは、ゆっくりと視線をずらしながら彼に問いた。


「俺? ボランティアで勇者やってる」


『……ッ!』


 気の抜けたような口調だった。

 舐めてるとしか思えない答え。

 魔王ヴァルザは、この男だけは必ずありとあらゆる苦痛を与えたうえで殺そうと思った。


「俺は! 貴様ら人類に理不尽に殺され続けるミノタウルスから生まれた魔王だ! 今度は俺が理不尽な暴力を教えてやる! 次は貴様らの骨が装飾品になり、皮膚が服となる番だ! この最強のスキル『重力制御』で貴様らを……」


「へぇ~凄いじゃん」


 ──パチパチパチ。


『殺して……』


 目の前の男はヴァルザが魔王と名乗るや否や──

無感情な顔で、とりあえず褒めればいいんだろ? 的なテンションで、気の抜けた拍手をし始めた。

言葉を最後まで聞くこともせずに。


『舐めてるのか貴様ああああああ! 死ねええええええい!』


 ──瞬間。スキル『重力制御』のリミッターを開放。


 今まで100倍までに抑えていた重力を10000倍に引き上げ、超局所的に発動する。

 その威力は肉が潰れるのではなく、肉が消滅するほどの力。

 所謂超小型ブラックホールである。


 魔王ヴァルザでさえ、使うのを躊躇していた強大な力だった。


 ──しかし。


『なっ……なぜお前は無傷なんだ!』


 目の前の男は無傷。

 服すらも破れた形跡はない。


「え? 確か……先々々々……忘れた。勇者のスキル『リモートワーク』じゃね? 自動的に俺へのダメージをこの世のどこかに飛ばすんだとさ」


 少し気怠そうにいったその台詞。

 もしかして今のがお前の全力なのか? と暗に語り掛けているようだった。

 そして──


「そろそろ終わらすわ。じゃあな」


 その男はそう言うと、スキルを発動させた。


 剣を生成するスキル『刃物生成』

 剣を聖剣にするスキル『聖剣生成』

 剣の達人になるスキル『剣聖』

 剣に魔法効果を付与するスキル『魔法剣』

 一刀両断のスキル『魔人斬り』

 二刀流のスキル『二刀流』

 三刀流のスキル『海賊流』

 剣を使わずに斬るスキル『無刀』

 順番行動を強制するスキル『ターン制』

 自分の行動を優先させるスキル『優先権』

 一撃を連撃に変えるスキル『多段ヒット』etc……


『ぐうううううううううおおおおおおおおおおおああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!』


 20以上の勇者のスキルを使った攻撃により、魔王ヴァルザは粉々に切り刻まれ、そのまま即死した。

 そして、残った男は少しだけつまらなそうな顔をすると、煙草に火を付け、自分の家へと転移していった。


「あ~あ、つまんね」


 と、呟きながら。

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[良い点] 剣を作って聖剣にして魔法効果を付与して剣を使わずにきるw
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