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21) 第10話 そしてオレとアレの再会

ここまで閲覧ありがとうございます。


ようやく落ち着いたみんなの前で現状を確認した。

小悪魔ちゃんは未だに重症で意識不明、次いでコイシの傷が深ぇ。

他のみんなもいろいろ満身創痍だった。


けどオレだけほぼ無傷。なんか何発かは狼達から引っかかれた気もしてたが雰囲気そう思ってただけらしい。オレって奴は。


狼たちの傷は全部治ってた。どうやら美少女化する時に一変に治った。まぁこりゃ予想外だったぜ。


正直光ってるだけじゃ回復速度が足らんな。何か別の方法はねぇもんか。

わからんことは聞いてみる。それが一番手っ取り早ぇ。

なぁステータスさんよ。女神の力で他に回復に使える術とかねぇのか?


《肯定。初級回復術、ビギニングヒールを使用可能です。》


お、あるんじゃん。

じゃあいつまでも光ってないでそっちをちゃちゃっと使ってみるか。


《否定。重症者の保護もありますが、現在の貴方は脚部装備をまったく身につけておりません。光源を消すことは強く非奨励。光源は効果時間中なら自動的に維持されますので同時使用をおすすめします。》


ふぁっ!?

あ、そっか。オレの着てた腰蓑ってワカバちゃんから貰ったモンだから。


《肯定。推奨名・若草のスカートは現在消失しています。貴方は今現在下半身の肌を晒した状態です。》


へ、変態じゃん。

そりゃ消せんわ。なぁその回復術ってので小悪魔ちゃんの傷も直せんのか?


《不可能判定。彼女は受けた傷が深すぎる。重症回復術リザレクトヒールが必要となります。しかし回復術に頼らない方向で貴方に彼女の回復方法を提案します。》


お、んなのあんのかよっ!


《肯定。貴方は彼女のパンツを探すべきです。》


は、イヤイヤ。どう考えても今パンツで遊んでる場合じゃねぇだろっ!


《否定。その行動が最適解です。

当機は今スグ貴方が彼女のパンツを探すことを推奨する。》


うっせぇわっ、この状況でんなこと言われたら流石に温厚のオレでもキレるぜっ!

ちょっと頼れるって思ったらもう壊れたんかいっ、このポンコツめっっ!!

とりあえずミンナの治療が先だわっ、チッと黙っとけっ!


《……了解。当機はしばらく沈黙します。》


……使えるんか使えんのかよくわからん奴だな。

まぁ今は出来ることやらんとな。



我が根源よ(ビギニング)、|癒やしとなりて傷を癒せ《ヒール》」

「貴方様ぁ、ありがとうございますぅ。」


とりあえず治療は大体終わったな。


いいな、回復魔法。傷を癒せるってのがスゲェいい。

正直女神になろうか迷ってたけど今はとっととなっときゃ良かったって思う位に、この職業気にいってる。だってさ、怪我人助けれるとかスゲェよ。コイツはいい。


とりあえず小悪魔ちゃんの事が心配だし早く街に行かんとな。


そんなことを考えてみんなを呼び集めようとした時だ。

オレの前にコイシが来て、こんな事を言いだした。


「カミサマ、ワカバ連れてく。」

「オメェ……。」


瞬間、オレはコイシを引き寄せて抱きしめた。

ああ、そうだな。認めたくねぇよね。

オレだってそうさ。でも、オレは言わなきゃならねぇ。


「コイシ、すまん。

本当にすまねぇ。ワカバは、ワカバはもういねぇんだ……。

オレがもっとしっかりしてりゃ、こんなことにゃならんかったかもしれねぇのによ。必ず幸せにするなんて言っといてこのザマだ。


でもつれぇけど、これが現実だ。ワカバはもう、いねぇんだっ!!

すまねぇ、分かってくれ、分かってくれよぉっ!」


言ってて辛えな、つれぇ。

でも、でもよ。分かってもらわにゃならん。

今は無理でも、飲み込まなきゃならねぇ。


オレは只々コイシを抱きしめながら、謝罪を繰り返す。

けどコイシはそれから不思議そうな顔で、なんでも無いように言葉を続けた。


「そこにいるよ、ワカバ。ずっと一緒。」


地面の、どこにでも生えてる若葉を指差しながら。

急にオレの背筋が凍った。


「なんで? ワタシ達はどこにでもあるの。だからワカバそこにいっぱいいるよ。

カミサマとワタシ達はカゾクだから。ずっと一緒。

だったらワカバ一緒に連れてく。」


ああ、なんてこったっ!

コイツは、コイツラはそんなことも分かってなかったんだっっ!!

家族だなんていいながら、オレはコイツラの、こんな事にも気付けなかったっ。


「ちげぇ、ちげぇんだ。確かに若葉はどこにでも生えてる。

けどよ、それはワカバじゃ、オレの家族の、オメェらじゃねぇんだっ。

オレの家族はオメェらなんだよ。オメェらだけなんだ。」


コイシを抱きしめながら、オレは必死に言葉をひりだす。

涙腺なんてとっくに壊れてる。

ああこいつらは、自分と他の区別すらついて居なかった。


「どこにでもいねぇ、ここにしかいねぇんだオメェらは。

オレの、オレの特別な家族はオメェらだけなんだよっっ!!」


必死にコイシを抱きしめる。それしかオレにはできんかった。そうでしかこの感情は。オレの特別なモンだって気持ちは、コイツに伝えられねぇと思ったから。


そん時だ。表情豊かなワカバと違って、それに乏しいコイシが。オレの言いたい事が伝わったのか、そんなコイシが初めて、大きく表情を崩した。


「おかしいね。おか、しいね?」


必死に、声を絞り出す。


「カミサ、マにギュッと、され、るとワタシ、達は幸せな、のに。

な、のに、なの、に。

なん、で、コイ、シはこ、んな、に、寂し、い、のか、な。

くる、しいん、だ、ろ。

なんで、こんなっ、ぅあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


オレ達は強く強く抱き合った。

そうすることでしか、耐えなかったから。

1人じゃあとても耐えられなかったから。支えあって、慰めあった。


こん時初めてオレはコイシと、本当の家族になったんだと、思う。



まだオレにしがみついて泣いているコイシをあやしながら、オレがこれからの事を考えていると。狼さんが俺に話しかけてきた。

状況からかなんだか少しいいづらそうだ。


「女神よ。先程我らはこのようなモノを拾いました。

残る匂いからして貴方様に由来するお召し物なのでは?」


渡されたのは、オレ達がふざけて投げあったあのパンツだった。小悪魔ちゃんのと、コイシのの2枚だけ。やっぱりワカバの分がねぇわ。こんな事でも彼女がもういねぇって事を分からされて、オレはまた悲しい気持ちになっちまう。


「ああ、そっか。じゃあ一応貰っくわ。」


とりあえずオレが預かっといて後から2人に渡せばいいと、ソレを軽く受け取ったその時のことだ。


不思議な事が起こった。


「ふにゃん。カミサマ、そんな乱暴にアタシ掴んじゃらめぇっっ!!」

「は?」


いきなり重症で倒れた筈の小悪魔ちゃんが、急に場にそぐわねぇ艶声を出して起き上がってもだえて始めたんだ。

は、あ、なんで?


《……当然です。貴方が彼女の本体であるパンツを掴んだのですから。》


あ、ステータスさん。そ、それどゆこと?


《当機の映す【栄光の手】の文面のどこに使用回数や重複不能表記があると?

貴方は掴んだモノをダメージ判定を含むバットステータスを打ち消した上で美少女化するのですから当然の結果でしょう。》


は、はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!


《彼女たち器物由来のヒト族の本体はその核となるアイテムの方です。貴方も彼女のパンツを触れた時、それを確認済みでは?》


イヤイヤイヤイヤ、なんか変に発情してただけじゃねぇかっ!!

なんでそれが理由になんだよっ!


《能力発動による急激な肉体の変化には痛みが伴います。この問題を解決する為に貴方には対象を変える際に大きな快楽を対象に与える力が付随されています。ではもし大きく変えなかった時にはどうなるか。


それは対象に快楽のみを与えることになります。


どうやら元々器物の者相手だと貴方の身体から漏れ出る能力の残滓からでも快楽を得てしまうようですが、大した問題ではありませんね。》


え、は、なんだそりゃぁぁぁっっっ!!

そ、そんな珍妙な仕組み、理解できるわけねぇだろぉぉっっっっ!!


《対象に与える痛みを他の感覚を刺激してごまかす性質は生物界でも見られます。具体的には蚊などが代表例ですね。ま、それはともかく。》


おいおいおいおい、待て待て待て待て待て待てっっ!!

て、ことは何か。アレかっっ!!


《肯定。だから当機は言ったでしょう。

貴方は考えうる中で最良の結果を掴んでいる、と。貴方は何1つ失っていません。

さぁ、迷ってる暇などないでしょう。その手で掴むべきものはまだあるのでは?》


「だ、誰か、わ、若葉を。

ワカバが消えた時に落っことしていった若葉を探してくれっ!!

わかったんだ、気づいたんだっっ!!


オレの力なら取り戻せる、なんでも掴みとれるってことにっ!

理不尽な運命なんてぶっ飛ばして、掴みとるんだっ!!

だってオレの力は、全て美少女を変える力なんだからっっっ!!」



こうしてオレ達がパンツを投げることによって始まった一連の騒動は、オレが彼女のパンツを受け取ることで全て丸く収まった。

あん、なんだって、ひどい話もあったもんだって?


はっ、違ぇねぇ。


でもいんだ。最初にいったろ。これは不思議でアレな冒険譚だって。

これはオレが精一杯空回りして、サイコーだって思ったら落っこちて、その次の時にゃあその逆だったりする、そんな不思議な冒険譚なんだから。


そんでもよ。この話にゃあ1つ決まりがあるんだよ。

なんだかんだ色々あっても最後にゃ必ず失ったモンを取り戻せるってぇことだ。


だってよ。

この物語の名はよ。


「全てを美少女にしちゃう女神の俺が失われたアレを取り戻すまで」


なんだから。

さって物語はまだまだ序の口、その本番もまだ始まってもいねぇってハシリだぜ。

長い長い話になるが、よかったらもう少し、付き合っていってくれよな。

話したいこたぁまだまだあるんだ。


でもその前に。

ここが1つの区切りだな。

やっぱカーテンコールは、ハッピーエンドのソレに限るだろ?



「ワカバぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっ!!」

「カミサマっっっ!!」

「「「ぎゅぅーーーっっっっっ!!!」」」


第1章 オレにキミのパンツを下さい 完


NEXT SCENE


第2章 オレがアレへと出掛けたら


NEXTSTORY

「オレは美少女達にアレをつける」


この後ステータスさんに一杯土下座した(白目)


とりあえずこれで1章完了です。

まだ裏とか幕間とか描きますんで第2章はも少し先です。


ここまで読んで下さった皆様に感謝を。

よかったらもう少し読んでやって下さい。


あ、区切りもいいので久しぶりに評価や感想のおねだりをしてみます。

創作意欲に繋がりますのでブックマーク・評価・感想を下さると嬉しいです。



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