#4.5 NEVER END ENDING.
鏡は真実を映すというけれど、それは反転した真実――つまり嘘だ。でも、自分自身の姿を確認するにはそうするしかない。嘘を受け入れるしかない。他の何人たりとも認識できる真実を自分自身だけは認識できないから。
向かい合わせの鏡と鏡。つまりまたその嘘を映し出す。ではそれは真実なんだろうか。嘘の嘘、そんな不確かなものでさえ手掛かりになるなら信じるしかない。
悲劇は繰り返す。幾重にも層を成す嘘つきが、逃げ場を無くして君を奪う。寝ても覚めても、目を合わせても背けても何一つ変えられない。また答えを間違える。
そうしたら、もう一度扉を開いて初めから。どうしたらいいのか、ほんの少しのことで結末を変えられるのなら。手を動かす、その一節を指でなぞる、埃くさくて重ねた時間と過ちの量を知る。温度のない部屋光のない部屋、君の温もりを失いたくないのに、暗闇の中で今目に映るものは全部夢なんじゃないかって。『大正解』って花丸貰って褒められて、それと引き換えに嘲笑うようにまた全部奪われるんだ。
君は何度も死んで何度も生きてまた死んでゆく。いくらやり直しても間違いの数だけ命が失われる。失いたくなくても形あるものはいつか必ず壊れる。形がないものだけいつまでも残り続けて苦しめてくるのなら、それが世界の理で正解だと言うのなら、いっそ何もかも初めから無かった方が良かったのに。
壊して壊して壊してみたら、何か分かるのだろうか。例えば、この鏡を一枚割ってみたら――